朝目が覚めたら目の前にいた睡魔(物理)に誘惑されちゃうお話です。
こういう朝を迎えるのもいいでしょ？

……あれ？起きた？

あーあ、起きちゃったかぁ。残念。

出来ることならもうちょっとだけ君の寝顔を見つめたままでいたかったんだけどな。
その方が私も職務放棄できて楽だし。
起きちゃったら私の仕事増えるじゃん。めんどいなぁ。

ん？私？
// 嫌そうに
えー、名乗らなきゃダメ？
私、人間の好奇心ってやつ、すっごく嫌いなんだよねー。

なんでわざわざ君たち人間の頭を活性化させなきゃならないのさ。
私の仕事増えるじゃん……ぶつぶつ

君、そんなに私のこと知りたいの？
しょーがないなぁ。
本当は教えたくないけど、このまま黙ってたらどんどん君の意識が覚めてきそうだから教えてあげるよ。

私はねー、えーっと……あれ？なんだっけ。
確か……睡魔？とか、そんな呼ばれ方されてた気がする。
人間の三大欲求？とか言うやつのひとつを司る悪魔……らしいね。

自分のする仕事とは直接関わりないから、うろ覚えだけど。

別に覚えてなくても良くない？
だって無駄な事覚えるのってめんどくさいし。
覚えてもいい事ないし。

それで、君の好奇心は満ちた？
そう？よかった。
ふぁ……// あくび
それじゃあ、説明も済んだことだし一緒に二度寝しよっか。

……なにその反応。
さっきも言ったでしょ。
私は人間の睡眠欲を司る悪魔だって。
睡眠欲を増幅させて人を堕落させるのが悪魔の仕事だって。

あれ？仕事内容については言ってなかったっけ？
……。
ま、別にいいじゃん。

そんな事より、今はまだ寝てようよ。
今日やるべき事も、やりたい事も、全部放り出しておし寄せるまどろみに身を任せて……船でも漕ぎだそう。
私もそばにいてあげるからさ。

仕事とか、勉強とか、別にどーだってよくない？
あえて起き上がって疲れにいく意味がわからないよ。

それくらいなら、こうして寝てる方がエネルギー使わないし、楽でしょ。
寝てる間は嫌なことなんて忘れてられるし、何よりなにも考えなくていい、動かなくたっていい。
これ以上ないってくらいに省エネしてると思うんだけどなぁ。

それにさ、私って省エネ主義し、こいつなら堕落させられるって思った人の前にしか現れないんだよねぇ。
そんな私が君の前に現れた意味、考えるまでもないでしょ。

……ひと目見て思ったんだよね。
お布団の中で誘惑してればころっと懐柔出来そうって。
事実、今の君は既に目を覚ましているにも関わらず、私とのお話にかまけておふとんから出られてない、そうでしょ？

別に二度寝は恥ずべきことじゃないよ。
人間なら誰しもだらけたくなっちゃう時くらいあるもんね。
私はそんな一歩を踏みはz……一歩を踏み出す勇気が出ない人のお手伝いをしてあげてるだけなんだから。

だから……寝ちゃお。
私も君が安眠できるように優しく包容してあげるからさ。
おとなしく睡魔に襲われちゃえ〜。

ぎゅぅーっ。
どう？あったかくて気持ちいいでしょ。
なんせこのあったかさともふもふ感を再現するためにおふとんとこたつの研究を頑張ったんだから。
君みたいな人に振りほどけるはずがないよ。

ん？意外だった？
私だって一応は悪魔だからね。
人を堕落させるための研究だけは真面目にやってるんだよ。

て言うか、そんなこと考える暇があったら、早いとこ私の誘惑に負けて寝ちゃえよぉー。
私のお仕事は君を寝かしつけることなんだから、寝てくれないと困るの。
それに、あんまり長い間起きてられると私の方こそ寝られなくなっちゃうんだからさ。

ま、別にいいけどさ。おふとんの中で穏やかにしてれば。
お布団の中で私のふわふわもこもこで人肌よりちょっとあったかい身体に優しく抱きつかれてたら、そのうち寝ちゃうだろうし。

私としては君と一緒に無意な時間を過ごしてればそれで満足だし、そもそも今の君には自分が置かれている状況にあらがうだけの意志なんてなさそうだしね。

……なんて、言ってる間にもううつらうつらしてるし。
もはや私の声すら聞こえてなさそう。

ま、それがお仕事だし、私の声と誘惑で眠りに堕ちちゃうのは嬉しいことだからいっか。考えなくても。

それじゃあ、えっと……なんて言えばいいんだっけ。
あ、そうそう。確か……

おやすみなさい。
睡魔に負けちゃって遅刻確定になったおばかな人間さん。
// いたずらな笑いをして終了

・台本（ゆるボイ！）
睡魔(物理)に襲われたあなたはおふとんから出られない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
えとのわーる(Stella)