勇者様！
またこんなお怪我をなさって……
いくら私があなた様の傷を癒せたとしてもあなた様はこの国の救世主なのです！
もしもあなた様のお体に何かあったらと思うと私はどうにかなってしまいそうです……！
お願いですからあまり無理をなさらないでください……
これは決してこの国のために言っているのではありません。
私は勇者様のお体だけを心配しているのです。
勇者様のそのお体に傷がつくたび私の心にも深く傷ができてしまうのです。
こんな勇者様をいつまでも前線に投じ続ける無能な王の国など私にとってはどうでもいいことなのです。
いざとなればこの国如きいつでも見捨てる覚悟は出来ております。
私の心には勇者様ただ一人なのです。
ですから勇者様？私を見捨てないでくださいね？
（間があるといいと思います）
ところで勇者様？
あなたと一緒に前線へと赴いたあの女戦士は
一体どこへ行ったのですか？
（少し間があるといいと思います）
あの女……勇者様の身になにかあったらどうするというのだ！
そのような不届き者が勇者様の側に片時でもいたと思うとヘドが出る……！
クソ、クソ、クソ、あの女探し出して必ず始末してやる……！
ああぁ勇者様……失礼致しました……
勇者様の前でこのように取り乱してしまうとは……
それで勇者様、あの女はそのまま行方不明なのですか？
ふふふ、しかしそれは勇者様にとって僥倖というもの。
勇者様もそろそろお分かりになったのでは？
所詮私以外の人間などあなた様の元からすぐに離れて行くのです。
この前の魔法使いだってすぐにあなたの元から消えていなくなったではありませんか。
私にはあなた様だけ。
あなた様には私だけ。
私はもうあなた様のものなのです。
あなた様のためならば私はなんだって致しましょう。
あなた様が望むのならばこの国を……いや世界だって破壊することも容易いのです。
勇者様だって世界最高の僧侶の私が必要でしょう？
あなた様についていけるのは私だけですもの。
もしも勇者様に私がいなかったらば勇者様は永遠に孤独。
あなた様は勇者が故に普通の人生を失いました。
そんなあなた様が安らげる場所は、私をおいて他にありません。
私のそばにいる時にだけ、あなたは人の幸せを得られるのです。
しかし、それで良いではございませんか。
二人でずっと、旅を続けましょう？
永遠に……

・台本（ゆるボイ！）
二面性僧侶さんに共依存する
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
リトルブリッジ