口が悪く、いつも罵倒してくるメイド
ご主人様のあなたを学友に侮辱されたメイドは怒りを露にする

……きて下さい。

起きて下さい、ご主人様。

起床時間はとっくに過ぎていますよ

今日こそは、ご自分で起床なさるかと思って、少し待ってみましたが、期待ハズレでした。

やはり、ご主人様は１人では、まともに起床する事も出来ない無能なんですね。

ほら、早く着替えて、そこで顔を洗って、持ってきた朝食を食べて下さい。

(間)

は？

まさか、着替えを私に手伝えと仰るのではないですよね？

子供じゃないんですから、それくらいメイドにやらせずに、ご自分でなさって下さい。

殴りますよ？

(間)

はぁ……。

少し寝ぼけているのでしょうか？

そこに立って、気をつけをして、目を瞑って下さい。

ほっぺを少しこちらに向けて下さい。

はい、その位置です。

(間)

心の準備は出来ましたか？

(間)

はい、分かりました。

では……。

(ＳＥ：軽くビンタする音)

(間)

お目覚めになられましたか？

まさか、ほっぺにキスをしてもらえるとでも思ったのですか？

ご主人様の頭はお花畑でも広がっているのでしょうか？

私がご主人様にそのような事をするはずがないでしょう。

ほら、そんな馬鹿な事ばかり言ってないで、さっさと朝食を食べて下さい。

食べないなら、エクストリームあーんで、ご主人様のお口に朝食を押し込みますよ。

ご主人様は学生なのですから、規則正しい生活をして勉学に励んで下さい。

将来、当主となられるのですから、その自覚をしっかりと持って下さい。

ご主人様の成績が下がると困るんですよ。

旦那様に注意を受けるのは、私なんです。

お給金が下がったら、ご主人様の身体で支払っていただきますよ？

それが嫌なら、勉強して下さい。

今の成績を見ても、明らかに馬鹿なんですから、旦那様くらいになって下さい。

馬鹿なんですから。

本当に、馬鹿なんですから。

(間)

はい？

学校に行きたくない？

ご主人様……お尻の大きさが倍くらいになるまで叩きますよ？

いくら勉強が嫌いだからといって、サボるのは感心しませんよ。

そろそろ、お時間ですから登校して下さい。

付き添いは要りますか？

(間)

不要ですか。

では、さっさと行ってきて下さい。

(場面切り替え)
(間)

(午後、ご主人様が帰宅する時間)

そろそろ、ご主人様が帰宅なさる時間ですね。

お出迎えに行きましょうか。

(ＳＥ：足音)

ん？

あれは、ご主人様とご学友の方々でしょうか？

(足音を止める)
(間)

お帰りなさいませ、ご主人様。

そして、ご学友の皆様、いつもご主人様がお世話になっております。

(間)

はい、何でしょうか？

(間)

ええ、私はご主人様の専属メイドですが、それが何か？

(間)

すみません、私の聞き間違いでしょうか？

今、私のご主人様を侮辱する言葉が聴こえたような気がしましたが。

(間)

どうやら間違いではないようですね。

ご主人様の気持ちを汲み取れないとは、私もまだまだですね。

まずは、謝罪を。

ご主人様、今朝は失礼致しました。

お気持ちに気付けず、理由も聞かずに登校させてしまいました。

これでは、専属メイド失格ですね。

もっと精進しますね。

(間)

さて、あなた方、私のご主人様を侮辱した罰を受けていただきましょうか。

あなた方の言葉は、ご主人様の心に深い傷を残すものです。

言葉は時に、どんな刃物よりも鋭い凶器となって相手を傷付けます。

私はご主人様に対して、絶対的な信頼を置いています。

ご主人様が毎日、努力されているのも知っています。

あなた方の言葉は本気で相手を傷付けようとして放たれています。

そして、どんな理由があろうとも、冗談や嘘であろうとも相手に対して「死ね」という言葉だけは決して口にしてはなりません！

ご主人様と私は強い信頼関係で結ばれています。

それは、ご両親にも負けない程に。

だからこそ、私の罵倒でご主人様は傷付かないんです。

お互いに理解していますからね。

もし、ご主人様が私の言葉で傷付いていたら、私は今ここに居ませんよ

即刻クビでしょう。

私の口がとても悪い事は、私もご主人様も分かっています。

しかし、あなた方はそうではない。

私の大切なご主人様を傷付けた罪は重いですよ。

ご主人様へ謝罪し、今後一切関わらないのであれば罰を軽くしてあげましょう。

もし、謝罪しないのであれば、私が直々にあなた方の頭を地面にめり込ませてあげますよ。

(間)

謝罪は無し……と。

女と思って舐めていると痛い目に遭いますよ？

私は、ここにメイドとして雇われるまでは、アサシンでしたので……。

ですので、あなた方など、相手にならないんですよ。

元アサシンが言葉で他人を傷付けるなと言った事がおかしいですか？

いえ……何もおかしくはないですよ？

私は全て、直接手を下していて、言葉で他人を消した事は１度もありません。

(ＳＥ：風切り音)

(間)

まずは１人……。

このように、あなた方を無力化するなど、赤子の手をひねるようなもの。

この方のように、頭を石の地面にめり込ませたくなかったら、謝罪をして、ご主人様と私の前から消えて下さい。

(大きく息を吸って、思い切り叫ぶ)

さっさと失せろ！！このクズ野郎ども！！

そのゴミみたいなツラ！２度と見せるな！！

(間)

ふぅ……久しぶりに叫んでスッキリしました。

っと、いけない。

昔の私が出てしまいましたね。

もう安心ですよ、ご主人様。

(間)

はい？

アサシンをやっていた事ですか？

あんなの、相手を牽制する為の嘘に決まっているじゃないですか。

真に受けないで下さい。

はい？

私がご主人様を信頼している事？

おや、伝わっておりませんでしたか？

先ほどのゴミ……じゃなく、ご学友の言葉には傷付いて、私の言葉は受け止めて下さるので、伝わっているものかと。

あー、でも、これだけは誤解のないように言っておきますね。

私はご主人様が嫌いで罵倒している訳ではないです。

口が悪いだけです。

今更治せませんのでご理解いただけると有り難いです。

私が変に丁寧になっても気持ち悪いでしょう？

私はご主人様を大切に想っていますから、ビンタは私なりの愛情だと思って下さい。

ほら、早く部屋に行きますよ。

私が勉強を見てあげますから、一緒に頑張りましょう。

ちゃんと出来たら、ご褒美に、抱きしめて頭ナデナデしてあげますよ。

・台本（ゆるボイ！）
本当は優しい毒舌メイド
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
如月英梨