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想いは強く、知るより早く
written by 夜木嵩
  • 姉弟
  • 恋人同士
公開日2022年12月29日 18:48 更新日2022年12月29日 18:48
文字数
2476文字(約 8分16秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
視聴者役柄
場所
ふたりの家
あらすじ
姉弟の一線というものはとうに超えてしまっているふたり。
姉は、この罪深さを知ってなお、あなたを愛すことをやめられないでいた。
しかし、それと同時にこの関係を悩んでもいた。
本編
 (全体的にしんみりと)

……愛してるよ。

ずっと、このままでいたい。

最近、不安になってきちゃうの。
いつかは弟くんも、このままじゃいけないって感じてさ……恋人、とか作って、お姉ちゃんのもとを離れちゃうんじゃないかって。

お姉ちゃんはね、きっと、無理だよ。

もう、お姉ちゃんの心は、弟くんにどっぷりと溺れちゃってるみたいだから。
抜け出せない。
抜け出したいとも思わない。

弟くんとこんなことしてしまうのが、幸せで、幸せで。

んへへ、お姉ちゃん、いけない子、だよね。

……そうは、思わない?

そっか……
お姉ちゃんが、弟くんのことも一緒にいけない子にしちゃったから、そんなのわかんないか。

なら、思わないままにしておこっか。
私たちは、普通の、仲のいい姉弟。

他の人がどんなことを言っても、これが私たちの普通だから、何にもおかしくない。

弟くんだって、本当は、私たちのしていることの意味も、その間に壁があることも、理解はしているんでしょ?

もちろん、そんなこと、知ったところで今更、どうすればいいのって思うんだけれど。

気付いた時には、お姉ちゃん、弟くんのことが好きになってた。

もう、いつだとかもわからないくらい。
生まれた時からこの運命が決まってたくらい、自然で、当たり前のように私の心の中には弟くんへの愛情が芽生えてたから。

弟くんはよく、僕のどんなところが好きなの?って聞いてくるよね。
お姉ちゃんはその度に、カッコいいところとか、優しいところとか、答えてた。

だけれど、本当はお姉ちゃんには、答えられないの。

もちろん、弟くんが本当はカッコよくないとか、優しくないとか、そういう悪い意味じゃないんだよ?
弟くんは、お姉ちゃんにとって、世界一カッコよくて、優しい男の子だから。

でも、だから好きなのかってなると……なんて言えばいいのかな。
カッコいいのも、優しいのも好きになる理由ではあるけれど、お姉ちゃんの好きは、そんなはっきりとした気持ちじゃないんだよね。

もっと、複雑なようで、単純なようで、お姉ちゃんが気付けないくらいの当たり前の中にあるような気がするの。

だから、今お姉ちゃんが持てる限りの言葉で答えるのなら……

やっぱり、運命だから。

これに尽きるわ。

だから、弟くんのこと、お姉ちゃんは嫌いになれる気がしないの。
そんなことなんてないとは思うけれど、もし弟くんがカッコよくなくなったって、優しくなくなったって、お姉ちゃんは弟くんのこと、好きでい続けられるはず。

お姉ちゃんは考えたくないけど、弟くんが他の人を好きになっても、その人と恋人になっても、そして結婚しても……さらにはそんな二人の間に子供が生まれても、お姉ちゃん、諦められるとは思えない。
それだけのことで、弟くんへの気持ちは切れたりなんかしない気がするの。

その時にはさ、弟くんもきっと、「お姉ちゃんも早くいい人見つけなよ」って言ったりするんだろうね。

だけど、お姉ちゃん、ずっと前から、弟くんっていういい人見つけてたのにって、平気で返しちゃうと思うよ。
こんなにも、何もかもをわかり合える大切な人とは、絶対に出会えないから。

そうじゃなかったらお姉ちゃん、もうとっくに新しい出会い、してるはずなんだよ?

お姉ちゃんだって、今まで、学校とか、会社とか、男の人との接点は沢山あった。

それでも、その人たちには、何にも感じないの。
ただの他人っていうだけで、何にも。

それだけ、お姉ちゃんにとって弟くんっていう存在は、心の奥深くにまで刺さって、思考全てを奪っちゃうくらい大きな存在なんだよ。

何より、恋って言葉を知るよりも前に、弟くんに恋してた。
愛って言葉を知るよりも前に、弟くんを愛してた。

私の気持ちは、弟くんへの気持ちと一緒に育ってきて、いつだって心の真ん中には弟くんがいたから。

もう、何も見えない。
弟くんしか見えないし、弟くんしか見ていたくない。

お姉ちゃんはさ、こんなのだから、今の私たちの関係がどうとか、周りが言いそうなこと、もう耳に入れないことにしたんだ。
そもそも、その程度で弟くんへの気持ちは崩れるものじゃなかったから。

弟くんだって、こんな関係でも、おかしくないって言ってくれた。

嬉しいな。
お姉ちゃん、どんなものよりも、弟くんの受け入れてくれる気持ちが一番嬉しいや……

だけどね、弟くんの価値観って……お姉ちゃんが作ってきたんじゃないかって思うの。
弟くんが何も知らない頃から、お姉ちゃんは弟くんのことを大好きで、弟くんが欲しいって思って、ずっと一緒にいた。
そうして、お姉ちゃんは弟くんの知らないことを何だって教えてあげた。
親にも介入させないようにして、ものの名前とか、勉強とか、付きっきりで教えてた。

そして、世の中の当たり前だって。

お姉ちゃん、一個だけ嘘、教えてたんだよ?
本当は答え合わせもしないまま、弟くんの中でその嘘が常識であり続けて欲しかったんだけど……もう、わかっちゃってるよね。

ただ、それでも弟くんはお姉ちゃんのこと、おかしくないって言ってくれた。
幼い時から弟くんの当たり前を作り続けてきた甲斐はあったんだね。

でも、だからなの。
お姉ちゃんが弟くんの目を塞いでいなかったら、弟くんはお姉ちゃんと一緒に、こんな愛に溺れてくれるとは思えないんだ。

お姉ちゃん、弟くんを歪めてしまったのかなって、そこだけは罪悪感があるの。
ほら、お姉ちゃんは、もともとこれだから、弟くんを愛す以外の道はなかったし、こんな今、幸せだし、後悔なんてないし、大丈夫なんだけど。

弟くんは、お姉ちゃんとの道以上の幸せがあったんじゃないかなって思うと、責任、感じちゃって……
自分が幸せになりたくて、弟くんと求め合いたいっていうのもあるけど、弟くんには幸せになってほしいっていう気持ちも一緒にあるからさ……
もちろん、嫌だし、お姉ちゃんの心は受け入れたりも出来ないけど……お姉ちゃん以上の幸せがあるなら、弟くんは選んで、いいんだよ?

……そう、だよね。
そんなこと聞いても、もうお姉ちゃんに染まり切っちゃってる弟くんじゃ、手遅れだよね。

じゃあ……このまま、お姉ちゃんと一緒に、幸せに溺れちゃおっか。

後戻り、出来なくなっちゃおうね。

愛してるよ、弟くん。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
想いは強く、知るより早く
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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