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君という光
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • お嬢様
  • 再会
公開日2023年05月08日 18:24 更新日2023年05月08日 18:24
文字数
2238文字(約 7分28秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
お嬢様
視聴者役柄
男性
場所
お嬢様の部屋
あらすじ
——私は、そんな君に愛されることを決めたのです。

目を覚ましたあなたは、見知らぬ部屋にいた。
そこには、あなたを知っているという知らないお嬢様がいて、あなたのものになりたいと願いを口にする。
本編
お久しぶりですね。

そう……ですか。
確かに、最後に会ったのも十年ほど前になりますものね。

お互い、大人になったということも踏まえると、この姿を見て私をわからないというのも仕方ないのかもしれません。

ですが、私はずっと、この時を夢見ていたのですよ?

私はずっと、君という光を追いかけてきたのですから。

(明るく)やっと、捕まえた……!

ええ、ずっとです。
私がこの家に生まれてしまったせいで、忙しさという意味でも、束縛という意味でも、君と遊ぶことができなくなった時から。

ただ、会いたいとばかり、胸の中で叶わないことを願い続けていたのです。

やはり、待ち望んだ再会と喜ぶには、あまりにも時間が経ちすぎましたね。
君は、この姿を見ても思い出してくれないのですから。

名前、聞けば思い出してくれるでしょうか?

そうです。
それが、私。

しかし、すぐに思い出してくれなかった時点で大方想像は付きましたが、そんな子もいたなぁと、かすかな記憶を探るような反応……胸が痛いですわ。

でも、不思議なことに、素敵な殿方になられた君を見ると、痛みと一緒に、こみ上げるものを感じてきます。

それどころか、私の気持ちが入り混じって、自分自身を御することができなくて……

すみません。
君の胸、少し借りてもいいでしょうか?

失礼します。

 (以下3行泣きながら)

んっ、んんっ……
なんでだろ、なんでだろ……
抑えられないや……

 (数秒間すすり泣き)

ねえ、撫でてほしい。
君の温かくて、優しい手が欲しい……

 (女、男の胸を離れる)

って、あっ……ごめんなさい。
私ったら、肝心なことを忘れていましたわ。

今、君の手は縛っていたわね。
撫でられないようにさせたのは私なのに、撫でてほしいなんて、なんて滑稽なことを。

大丈夫ですわ。
君の胸を借りたおかげで、少しは落ち着けたようですから。

いいのよ。
そんな簡単に君の拘束を解いていたら、君が逃げ出す隙だらけになってしまうでしょう?

やっと捕まえた君をつまらないミスで逃がすくらいなら、私は自分自身にだって鬼にならなくちゃ。

そんな悲しそうな顔、しないでください。
私だって、君を傷付けるようなこと、本当はしたくないのですから。

だから、私の願いさえ叶えてくれるのなら、すぐにでもこんな拘束、解いてあげますわ。

私の心も、そうすれば締め付けるものはなくなるのだから。

私の願い、聞いてくれますよね?

嬉しい。

私……君のものになりたいです。

今、まるで君を私のもののように縛り付けているけれど、私は、君のものになりたいのです。

もう一度、あの頃のように私の手を引いてほしい。
君だけが、私の光だったから。

あの頃の君は、まさかそんな風に恋われていることも、知りはしなかったのでしょうね。
もしかすると、あの頃なんて遡る必要はないのかもしれませんが。

責めることなどないのです。
子供の頃ならば、無理もありません。
むしろ、私ですら、それが恋だなんて気付けはしなかったのですから。

それが恋だと知る時には、既に私はこの家の手厚い庇護のような籠の中。
また会おうなんて口約束さえ交わしていなかった私たちなのですから、もう、君がどこにいるかすらもわからないまま。

まるで、私より先に家の者が私の恋に気付いていたのではないかというぐらいに、求めた時にはもう、遠いところに私は引き離されてしまっていたのです。

後悔なんて、何の役にも立ちませんね。
私の心に、ずっと真っ暗な影を落とし続けるだけです。

だから、忘れることなんてできなかった。
君との思い出に、ずっと光を求め続けていたから。

私がこんな大きな家の娘だとも知らず、ただ一人の対等な人間として、私の知らない自由な世界へと、いつも、いつも、会う度に連れて行ってくれた。

きっと、お勉強という意味では私の方がずっと頭が良かったとは思うけれど、あの時の私には、君の方がはるかにたくさんのことを知っているように思えた。

無邪気な笑みも、ちょっと強引なところも、そのくせ私のことを強く気にかけるところも。
んふふっ、全部、私の記憶の中にある、宝箱にしまっているのです。

大切な記憶だけれど、それは今だって私の気持ちが、十年以上も昔の時に置き去りのままだという意味で。

光がどんなに眩しくても、触れられないのならば、そこにあるのは虚しさだけ。
私は、ずっと過去に胸を締め付けられているのです。

あの時の君より、思慮分別だってしっかりして、無邪気な心も知ることを知ってしまったということを胸に言い聞かせても……でも……それでも、君に触れ、君に導かれ、君に私を作られたい気持ちは揺るぎません。

それくらい、あの時の君は私の幼い人生を彩って、色を教えてくれた、私に必要な存在なのです。
この胸は、本能のように覚えていますわ。

私のことを、ただ君を求め続けるだけの女にしてしまうくらいに。

これは、君の責任に違いありません。
君は、私の心を奪ったのですから。

物事は、最後まで責任をもって全うするのが当然なのなら、私というものに対しても、それは同じこと、ですわよね?

君は、奪った心をちゃんとものにして、最後まで手放さず、どこへも行かないように、大切に抱え続けてくれますよね?

私は、そんな君に愛されることを決めたのです。

願いだけれど、必ず叶えますから。

もう、ここまで来てしまえば、君に頷いてさえもらえばいい。
私は、待ちきれなくなっているのですよ?

まさか、君が私を焦らすなんて意地悪なこと、しませんよね?

あの頃から変わらない、真っ直ぐな瞳……君は、わかってくれるはず。

お願いです。
もう一度、私の心に、光を灯してくれますか?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
君という光
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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