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ヤンデレ魔王
  • ファンタジー
  • ヤンデレ
  • 人外 / モンスター
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
2906文字(約 9分42秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
魔王
視聴者役柄
勇者
場所
指定なし
あらすじ
 あらすじは「勇者としてついに魔王城へとたどり着き、魔王と対峙するがなにやら様子が変で・・・・・・」といった感じです。

 キャライメージは「超嫉妬深い勘違い魔王様」です。
本編
 (歩く足音)

 あぁ・・・・・・来たのね、勇者。

 ずっと待っていたわ?

 うふふふ。

 この日をずっと、待ってたの。

 貴方の様子はずっとこの水晶玉で見ていたから、途中で魔物と苦戦したり寄り道をしたりしたときは・・・・・・すごく、もどかしくてね?

 あぁ、でも。ずっと待っていた甲斐があったわね。

 その顔。すごくかっこよくなってる。

 旅を始めたばかりの頃は軽そうな鎧だったのに、今じゃ立派な鎧も身に着けて・・・・・・。

 水晶玉越しに見るよりも、すごくかっこいい。

 ふふ。

 実は、部下のものから貴方・・・・・・勇者が生まれたって報告を受けてね?

 その日からこの水晶玉で、貴方の事を見ていたの。

 部下の殆どは・・・・・・私の実力を知っているから、勇者なんて取るに足らない存在、なんて言っていたけど。

 用心に越したことはないでしょう?

 ・・・・・・でも、今はそれで良かったと思ってるの。

 だって、貴方の成長をずっと見れたのだもの。

 子供の頃は小さい手と足を動かして、外を走り回って・・・・・・あっ、たまに転んだりしてたわね。

 可愛かったわねぇ。ふふっ。

 ・・・・・・でも、そうしたらあの女。母親よね、きっと。(嫉妬を感じているイメージをしていただけますと)

 あの女が貴方の頭を撫でて、擦りむいた膝に手を添えて・・・・・・。

 あぁ、でも。その頃からよね。

 私の名前を憶えてくれたの。

 魔王、って。大きくなったら魔王を倒す勇者になりなさい、って。

 嬉しかったなぁ・・・・・・あの時の貴方、幼いながらもあんなにキリっとした目で、力強く頷いてくれて・・・・・・。

 昨日のことのように思い出せるわ。

 本当は名前で呼んで欲しかったけれど、これは部下にも言ってないからね。

 それで、貴方は大きくなって、村を出たのよね。

 大きな町に着いたときは目をキラキラとさせて。

 あぁ、そうそう。宿屋に初めて入る時なんかは戸惑っていたっけ。

 うふふ。

 それで、貴方に優しくする女が出てきて。(忌々しそうにいっていただけますと)

 ・・・・・・貴方を見ていて一番辛かったのは、貴方が人に好かれやすいって事よ。

 ただ少し優しくされただけで、あんなに顔を緩ませて。

 あっ、その顔が嫌いって訳じゃないのよ?

 でも・・・・・・その顔があの女どもに向けられていると思ったら・・・・・・。

 ・・・・・・何度も気分に任せて、人間の国を一つ滅ぼしたくなってしまったわ。  

 あ、でも。実質もう滅んでいるみたいなものか。

 ふふ。

 ・・・・・・やがて、貴方は力を付けていって、私の部下を倒すほどに強くなったわよね。

 それでその顔も・・・・・・すっごく、かっこよくなっていった。

 あぁ、部下の事は気にしないで?

 血の気が多い部下たちだったから、私の制止も聞かないで勝手に突っ込んでいったやつらなの。

 弔いはしたけど・・・・・・貴方の事を恨んではないの。

 でも、感謝はしてる。

 だって、貴方がもっと強くなって、その目もかっこよくなっていったもの。

 あぁ・・・・・・私を見つめるその目。

 不思議ね。

 火には触れていないのに胸が熱くて、体が溶けちゃいそうになるの。

 うふふ。

 そして、貴方は今日。ついにここにやって来てくれた。

 ・・・・・・ねぇ?

 なんで、体が動かせないのか不思議でしょう?

 どうしてこんなに隙だらけの私が目の前にいるのに、その剣を抜けないのでしょうね?

 まぁ、そうねぇ。

 私、いくつか種類はあるのだけど、その中にね?

 相手を見ただけで、その人の体はね?石像みたいに、指一つ動かすことができなくなるの。

 それにぃ・・・・・・。

 (行進の音)

 まだこんなに精鋭の部下がいるの。

 皆、自慢の幹部なのよ?

 だから、貴方がどんなに力を付けても、どんなに知恵を身に着けても、どんなに勇気があっても。

 負ける運命なの。

 うふふふ。

 ・・・・・・ところで、不思議にならない?

 なんで、貴方がここまで来れたのか。

 どうして、ここが魔王の城だと分かったのか。

 どうして、ただの人間が魔王の情報を知っていたのか。

 ・・・・・・みーんな、もう支配しているもの。(耳元で囁くイメージをしていただけますと)

 あの国の王様も、人で賑わっていたあの町も、少しさびれたあの村も。

 それに、貴方の故郷も。

 全て、私の掌の上だったのよ?

 人間って単純ね?少し脅せば言う事を聞くのだから。

 それと、勇者の命を差し出せば、ほかの人間には手を出さないって言ったら、むしろ人間たちは、喜んで首を縦に振ってくれたわ。

 皆、私の命令に従ってくれたわ。

 この城の場所、強くなるための方法、それと・・・・・・まあ、いろいろ。

 だから、今の貴方の強さは、私が育てたようなものなのよ?

 母親と私、どっちが貴方を育てたって言えるのかしらね?

 うふふふ。

 ・・・・・・へぇ、まだそんな目で私の事を見てくれるんだ。

 そんな険しい顔も、すごく素敵よ?

 私の事、そんなに思ってくれるのね?

 ・・・・・・今までは誰も、そこまで向き合ってくれなかったもの。

 私が魔王を継いだってだけで、すり寄ってくる人。忠誠は誓ってくれるけど、怯えた表情が混じってる人。

 そんな人しかいなかった。

 だから、ここまで真っ直ぐに見てくれる人が嬉しいの。

 貴方の剣になら貫かれても後悔はないのだけど・・・・・・私ね?

 その・・・・・・えっと・・・・・・(恥ずかしそうに言っていただけますと)

 あ、貴方と、恋人になりたいの。

 最初は、ただの脅威だったし、人間と相いれるなんて思ってなかったの。

 でも・・・・・・水晶越しに見ていると・・・・・・その手に触れたくなったの。

 その声も、その顔も、人間にだけじゃなくて、私にも・・・・・・ううん、私だけに向けて欲しくなったの。

 だから・・・・・・その。

 恋人になってくれない?

 ・・・・・・あっ、そのままじゃ首も動かせないか。

 ん、っと。これで首は動かせるわ。

 それで・・・・・・どう、かしら?

 ・・・・・・そう、断るのね。

 やっぱり、貴方が勇者だから?

 ふふ、そう。

 責任感が強いのね。貴方。

 じゃあ、その責任から私が解いてあげるわね?

 ・・・・・・人間たちを一人残らず滅ぼせば、勇者なんて必要なくなるわよね?

 だって、勇者って人間たちの世界を守る存在なのでしょう?

 なら、そもそも人間が居なければそんなの必要ないでしょう?

 それで、私と貴方は恋人同士になって、それから・・・・・・。

 子供は沢山・・・・・・あ、でも。そうなったら貴方との時間が減っちゃうかもよね。

 じゃあ、結婚してからしばらくは二人きりで・・・・・・。

 そうとなれば・・・・・・そこの者、今から一斉に人間の世界に攻撃を・・・・・・。

 ん?どうしたの?

 ・・・・・・えっ、恋人になってくれるの?

 ほ、本当?

 貴方から言ってくれるなんて・・・・・・すごく、嬉しい。

 私たち、両想いだったのね。

 もう、こんなにあっさり行くのなら、色々と計画を練っていたのが馬鹿らしくなってしまうわね。
 
 うふふ。

 じゃあ・・・・・・うん。

 これから、よろしくね?
 
 あなた。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ヤンデレ魔王
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
一ノ清 カズスケ
ライター情報
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