貴女は、めんどくさそうにしながらも、いつも自分の言うことを聞いてくれる後輩男子を好いていた。しかし、現実の貴女は可愛げのない、女王様気質の性格で、自分でもそのことについて本気で悩んでいた。ある日、彼はそんな貴女の心の扉を少しばかり、開いてくれて…？

せんぱーい…頼まれたドーナツ、買ってきましたけど～。


うわ、相変わらずエラそ～…友達、減りますよ？


(ため息)


救いようねえなぁ、この人…いつの時代の女王様だよ…


…いえ、何でも。とりあえず用は済んだんで、俺はこれで…


えぇ…？お昼まで先輩と一緒？なんで…


あー、いえ…文句ありませーん。大人しくついてきまーす…


(彼女についていく)


…相変わらず、こんな寂しいとこでお昼過ごしてるんすね、先輩。


いや、悪くはないっすけど…でも、なんで今日は俺を？


あー、はいはい…気まぐれですねー。まぁ、先輩らしいっちゃ、らしいか…


んじゃ、俺も弁当食べますね。いただきまーす…


(自分も弁当箱を開けて、もくもくと食べ始める)


…ん？この弁当？一応、自分で作ってますけど…


え、そんなに変？俺が弁当作るの…


あー、いや…実は親が夜職で、朝も昼も俺が作ってんすよ。


まぁ、はい…片親で、シングルマザーなんで。女手一つで育ててもらってます。


あ、へー？そうなんだ？先輩も片親で……俺と先輩の、意外な共通点。


でも先輩さー、昼が毎回菓子パンとドーナツじゃ、栄養偏りますよ？


うぇ…さーせん。もう口ごたえはしません…いや、でも、ホント偉そうだよな、先輩って…


んな睨まれても…つーか、なんで俺、毎回先輩にパシらされてるんすか。学年の違う後輩に頼むとか、非効率的すぎません？


いや、文句とかじゃなくて、純粋な疑問で聞いてんすけど。そこんとこ、どうなんすか？先輩…


…笑わねーっすから、話してください。じゃないと俺、明日から先輩のパシリ、ボイコットするんで。


……は？いや、なん…は？


んーと、先輩？ちょっとキャラ崩壊しすぎじゃね？さっきまでの女王様の仮面、剝がれてますよ？


えぇ…？不器用にも程があるでしょ…俺、そんな理由でパシらされてたの…？


失望したっつーか…どっちかっつーと、呆れの方が強いような…


……先輩。顔上げてください。俺の目、ちゃんと見て？


(顔をあげた彼女の顔を両手で包み込む)


ん…よく見たら、綺麗な顔してますね。先輩って…


普段は女王様すぎて、あんま気付かなかったけど、すごい美人だし。俺なんかが隣にいていいのかってぐらい。


褒めてるんじゃないです。事実を言ったまでです。先輩が綺麗なのは、誰が見てもそうですし。


こんな美人になら、パシリにされるのも、やぶさかじゃない…少なくとも、今はそう思ってます。


(両手を放し、顔を離す)


そーいうことなんで、まぁ…これからも頼みごとがあったら、俺に言ってくれれば。


普段の偉そうな態度も、その高い顔面偏差値と…あと、さっきの可愛い先輩で、許容するってことで。


嫌です。めっちゃ覚えときます。デレ顔の先輩なんて貴重すぎるんで。今度、写メ取らせてもらいますね。


…え？なんすか？藪から棒に…


…まぁ、それくらいなら、お安い御用っすよ。明日から先輩の分のお弁当も作ってきます。


その代わり…俺と二人っきりの時は、本来の先輩の姿でいて欲しいっす。


いや、全然失望とかしませんし…先輩のそういうギャップ、俺は好きですよ？


(弁当を食い終わる)


ごっそさん。じゃあ俺、もう行くんで。先輩はお昼、ゆっくり食べててください。


…放課後？特に用事はないっすけど…


あぁ、荷物持ち…別にいいっすよ。先輩と帰る方向、一緒ですし。


はーい…じゃ、放課後迎えに行くんで、そのまま教室で待っててください。

・台本（ゆるボイ！）
【学園/青春】ダウナーなパシリの後輩がナチュラルに口説いてくる世界線
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎