私の彼氏が疲れて帰ってきた。いつも以上に疲れているみたい。
ワケを聞いてみたら傷つくのは当然のことで。
いつも無理してるし、甘えさせてあげたい。
そう思って抱きしめたら、素直じゃない彼氏が思った以上に甘えてきた。

【】：状況
（）：声色 or SE

【読み手が仕事から帰ってくる。疲れている模様】

ただいま。
はぁ……疲れた……。

ん。ただいま。
隣、座ってもいい？　ありがと。

（ソファーに深く座る音）

疲れてるみたいだね、って？
……まぁ、うん。ちょっとね。
はぁ……。やっぱ落ち着く。

何かあったっていうか、言うほどのことでもないからいいよ。大丈夫。

俺の言う大丈夫って、そんなに信用ないのか。
大丈夫っていう人ほど、ヤバい時が多いって聞くこと多いけどさ。
……言いたくない、って言ったら？

別れるって、それはやめてくれよ……。
今、ただでさえメンタルにキてるのに。冗談でも冗談に聞こえないって。

信用できないってわけじゃないけど、コトがコトだけに喋りづらい言いますか……。
まぁ、元カノ関連なんだけど……。

別に浮気とかじゃないよ。
ただ、昔付き合ってた子と偶然仕事で一緒になってさ。
露骨に避けてきたり、目線合わせてくれなかったり。
昔の好きだった気持ちと今の、キミとの生活が混ざっちゃって。

もしかしたら、キミもいつか俺のことが好きじゃなくなるのかな。
とか思って勝手にしんどくなっただけだよ。
うん、キミは悪くない。俺が勝手に不安になっただけ。
その子とはもう会わないと思う。商談はなくなったし。

だから大丈夫なんだよ。俺がちゃんと立ち直れたら、大丈夫だから。
ちょっと布団に入って寝たら、多分明日にはスッキリするからさ！
うん、大丈夫……。

【聞き手ちゃんが抱きしめる】

えっ……。い、いきなりどうしたのさ。
別に、いま抱きしめても何もないよ？　俺は大丈夫なんだから！
……だいじょうぶ、だから。

【数秒沈黙】

……優しいよね、本当に。
こんな惨めな俺なんかのことを抱きしめてくれるなんて。

好きだから、か。そっか。……そっかぁ。
ごめん。ちょっと、甘えてもいい？
ん、ありがとう……。

【読み手くんが抱きしめる】

はぁ……。なんか、あったかいな。
いつもはさ、もっと頼れる男になりたかったんだ。
こう、キミを抱き寄せて、元気か？　みたいなの。
そういうのに憧れてたんだよ。

でも今日は、なんか逆転してる。
キミが頼れる恋人で、俺は甘えたがりで。
自分でも素直じゃないって思ってるんだけど、今日だけはなんかどうでもよくなってきた。

うん。すぅー……はぁー……。いい匂い。
ヤバいかも。もっとギュッとしたくなってきた。
すぅー……はぁー……。やっぱ好きだ。キミのことが好き。
好きすぎてどうにかなりそう。もっともっと。チカラいっぱい抱きしめたい。

あー、好き。好き。
甘え始めたら止まんなくなってきた。好き。好きすぎる。
はぁ……。今日ヤバい。もっとキミを味わいたい。
病みつきになりそう。キミなしじゃ生きていけない。キミじゃないとダメだ。

すぅー……はぁー……。
……落ち着いてきた、気がする。

落ち着いてきたら、自分でめっちゃ恥ずかしいこと言ってたの思い出したわ。
うわ、はっず。こんなつもりじゃなかったんだけど。

……ごめんな。もしかしたら。いや。これからもこうやって甘えるかも。
だから。その。……嫌じゃなかったら、付き合ってほしいな。これからも、ずっと。

・台本（ゆるボイ！）
メンタルが弱った素直じゃない彼氏が甘えたがっている
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス