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このままの君が愛しいから
written by 夜木嵩
  • 全肯定
  • 癒し
  • 甘々
  • 恋人同士
公開日2023年03月06日 19:02 更新日2023年12月28日 14:53
文字数
2257文字(約 7分32秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
彼女
視聴者役柄
彼氏
場所
ふたりの家
あらすじ
無理しすぎるあなたが潰れてしまうことを心配した彼女は、仕事を辞めさせ、あなたを養うことにした。
そうして始まった新たな日常は、彼女の想像通りに上手く回っていた。
これは、それでも心配の尽きない彼女と、面目を気にするあなたの、ある日の出来事。
本編
 (SE:ドア開)

ただいま。

ほら、今日も、手、見せて。

……よかった。
特に傷とかはないみたい。

どうしてって、君、こうでもしないと、平気で自分の傷を隠そうとするでしょ?
手だけで全部はわからないかもしれないけど、こういうちょっとしたところから、私が見ておかないと。

包丁で指を切ったとか、取り立てて言うほどのことじゃないって君は思ってるんだろうけど、そういう細かい傷の積み重ねで、身体も心もボロボロになってしまうんだから。

君を守る彼女として、それに気付くのが責務。
私はそう思ってる。

でも、とにかく今は無理してなければいいの。
前より、よく笑ってくれるようになったし。

私は、今の暮らしの方が、いいなって思うよ。

だけど、気になっちゃう、かな?
彼氏っていう立場で、お金の面を彼女に頼っちゃってるのは、とか、まだ。

私はそんなの、どうでもいいって言ってるのに。

周りがどう言おうと、私にとってはかけがえのない存在として、君がここにいてくれてるの。
外に出ない代わりに、家のことをやってくれて、私の癒しにもなってくれる。

君は、私っていう他の人の、大切な人になってるんだから。
それを恥じる理由なんて、ないでしょ?

周りや、君が思ってるより、難しいことなんじゃないかな。

私は、そんな君が、大好きだよ。

君が情けなく思うんなら、私のわがままに振り回されてるとでも思ってくれればいいから。
だから、このまま。
このままの君を、私に預けるつもりで、さ。

「普通」でいたがる君の気持ちは、確かにわかるんだ。
依存せず自立した大人っていうのが、世の人並みっていう価値観なのは、凄く感じる。

そうして、そのラインに達してない人のことを、みっともないとか、未熟とか、甘えてるとか、言ってしまいたくなることも。

私もね、そんな世の中に生きてるから、自然とそんなものなんだって、疑うことなく周りと変わらない感覚になってた。

そして、誰しもが、当たり前に「普通」になれるものだと、一緒に思ってた。

君が同じように自分を考えてるとしたら、今、こうして私にお仕事を頼って生きてる自分を、「普通」にすらなれない責任を彼女に押し付けてる最低な彼氏、って考えちゃってるんだろうなって。
私なら、そう思っちゃうかも。

でも、頑張ってみたら、それはそれで、やっぱり「普通」なんて到底自分にはできないんだって苦しむだけ。
無理して「普通」になろうとして、ズタボロになっていくの。

それでもなぜか、もっと頑張れば、もっと無理すれば、「普通」になれるって勘違いしてる。
その先にあるのは、自分の破綻なのに、成長だって幻覚が見えてる。

それが、前までの君だったんだよ?

君って、悲しいくらい真面目なのに繊細で、目を離せばどこかで傷付いてる感じがするの。
それでいて、他人のことを傷付けられないから、その分自分が傷付けばそれで丸く収まる、みたいな怖い優しさをいつも振りかざしてて、私、見てられなくなったんだ。

強引に仕事辞めさせて、困惑させたかもしれないけど、君の優しさが本当に怖くて。
混乱させたのは、申し訳ないけれど、それでもこうするのが最適解だったって思ってる。

実際、今の君は、見違えるように晴れ晴れとしてるし。
自分でも、わかると思う。

だから、私としては、どんなに君自身がみっともないとか思ってても、また外で無理しようとすることだけは、頷きたくないの。
このままで、何の問題もないんだから。

君には、知っててほしいことがあるの。

君の思う「普通」は、全然普通じゃなかったこと。
そして、本当の普通があったとして、普通になる必要はないこと。

別に私たちは、普通になるために生きてるわけでも何でもない。
目的があるとするなら、幸せになるため、でしょ?

だから、普通になんてなれなくても、大丈夫なんだよ。
普通に従おうとするのは、それが無難っていうだけ。
考えることも冒険もしない、安全な生き方。

それだけが正解で、他はすべて間違いだなんて、本当は誰も言ってなんかないのに、あたかもそんな風にみんな思っちゃってる。

私がいる限り、君に無理なんてさせない。
君に我慢なんてさせない。

これが、私たちの正解なのなら、誰のどんな声もどうでもいいでしょ?

もし私がいる時に、君のことを馬鹿にする人と会ったら、私、言ってあげるから。
「これが私たちの幸せですが、何か?」って。

私が認めてるというか、半ば強いてるような役割分担だもん。
彼女がかわいそうとか言うような人がいたら、笑っちゃうよね。
何も知らないくせにって。

だから、君は堂々と私に甘えてくれればいい。

私のために家のこと、すっごい頑張ってるんだもん。
今日だって、帰りが遅い私のために、腕を振るってごちそう、作ってくれたんでしょ?

大袈裟じゃないよ。
美味しいんだもん。

むしろ、君はさ、君のために頑張りたいって思える人がいることを誇っていいくらい。
私は、君のこと、誇りに思うし、手放したくないし、愛しく感じてる。

そんな君のどこを情けなく思えるか。

私が許さない。
君にも、言わせないから。

いい?

自分で自分のこと、頑張ってるんだって言える君じゃないかもしれないけど、だからといって貶していいわけないんだからね?

 (切り替えて明るく)

さっ、こういうことは、気にしないのが一番。
私が大切に思ってくれてることだけ胸の中にしまってくれればいいから。

いつも、私に守られてばかり?

……それは、どうかな。

と、とにかく、そんなこと忘れて、ふたりの時間、大切にしようよ。
今日はさ、いつも以上にじっくり癒してほしい気分かな。

君にしか、私は癒せないんだから。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
このままの君が愛しいから
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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