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異界に吹っ飛ばされたところを保護してくれた神様は厳しくも優しくしてくれる
written by 弐橋 葉
  • ファンタジー
  • 少女
  • のじゃロリ
  • お姉さん
  • ショタ
公開日2024年01月24日 15:37 更新日2024年01月24日 15:37
文字数
1810文字(約 6分2秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
のじゃ口調の神様
視聴者役柄
神様のいる異界に飛ばされた人間
場所
指定なし
あらすじ
目が覚めたら知らない場所に倒れていたあなた。
それを保護していたのは神を名乗る人物でした。
それ以降、その神様の社で過ごしつつ元の世界に戻る方法を模索しています。
これは、そんなあなたと神様の話。

のじゃロリ、合法ショタ、お兄さんお姉さん、おばあさんおじいさん、どんな神様でも演じられると思います。
途中、プチ厨二詠唱があります。
難解な言葉や分かりにくいところなどは原型を留めない範囲で改変して構いません。
本編
ほれ、人間。

いい加減起きんか、太陽が昇る。

『こちら側』に迷い込んだ以上は『こちら側』の習慣に合わせて貰わねば困ると何度言えば分かるのか……。

まあよい、身支度を整えたら 朝餉あさげにするぞ。

今日は鮭を焼いたそうだ、式神どもも張り切っておったわ。


……そう遠い目をするでない。

お主が元の世界に戻れる方法はわしも探しておる。

世界の裏と表の境界、あるいは隙間……そこにたまたま引っかかってしまったのは不運でしかなかったじゃろう。

帰るべき世界が此処ではない以上、ここら一帯を統べる神として対処する義務はわしにもある。

要するに、こちらにいる間はわしが責任を持って面倒を見るから悲観はするなということじゃ。


お主がただの人間であるということは、夜は眠るし時間が経てば腹も減る。

そちらから見れば裏側の世界の住人には不要であるそれらを、不慣れなりに働いている式どもの気持ちも汲んでやってくれ。

ほれ、焼き鮭が冷めるぞ。

お主のために釣られて捌かれて焼かれたのだ、命を頂くのなら良い状態のうちに済ませるといい。


――――――――――――――――――――

(戸を開ける音)

どれ、 朝餉あさげは済ませたか。

今日は天気も良い、少しあたりを散歩してきたらどうだ?

大丈夫じゃ、わしの結界の中ならお主に手を出せる者はおらん。

それに、わしも今日は 大樹たいじゅの下で神力を整えたいからな。

……お主が怯えぬようヒトの形を保つのもなかなか骨が折れるんじゃぞ?


なに? 本来の姿はどんなものか、って?

ふん、見せるものか。

そもそもわしは社の中でしか真の姿にはならぬ。

お主が居るから社の中でも変化の術を使っておるのじゃ。


秘め事は威厳にもなり得る。

この一帯を統べる神としてのわしの姿を知るものは居ない。

あるじとは時に恐ろしく、逆らえぬ存在であるということを忘れられたら困るからの。

それと同時に、守るべき者たちを守り、愛し、見つめるのも神の仕事じゃ。

今は輪の中にお主も含まれておる、つまりこれもこちら側の習慣に合わせろということ。

さ、分かったら式神の一体でも連れて散歩に行くといい。


……なに、 大樹たいじゅを見たい……?

はぁ、別に構わんが……あそこは強い神気を帯びておる。

本来こちらの住人ではないお主にどんな影響が出るかわしにも未知数じゃ。

何かおかしいと感じたらすぐに言うと約束出来るなら、連れて行ってやろう。

約束、出来るな?


……うむ、いい返事じゃ。

このわしが直々に連れて行ってやるなんて本来ならあり得ないことじゃぞ?

道中、足元が悪い。

気を付けてついて来い。


――――――――――――――――――――


さて、これが神の 大樹たいじゅじゃ。

わしが加護する領域の中心にして、わしの力の源でもある。

大地より生命力を吸い上げ、 枝葉えだはから活力を振りまくことでここらの者は元気に暮らしてゆける。

そしてわしはこの 大樹たいじゅが形を得た存在にして管理者じゃ。

……ふうむ、端末という言い方も出来るな。


ええ、と。

確かお主が言っておった……『すまほ』じゃったか?

それの『充電』とやらとおそらく似ている。

此処にいるだけで、わしの中の活力が徐々に満ちていくのじゃ。


……ん、あれは……。

式! すぐにあの枝の隙間を確認せい!


大樹たいじゅに歪みがある、翳りとも言えるな。

もしかするとこれは……もしかするかもしれぬぞ。

……よし、異界の門! やはり……お主が近付いたことで開いたか!

まさか 大樹たいじゅに穴が空いていたとは……どうりでなかなか気付かないわけじゃ。


喜べ、元の世界に戻れるぞ。

だが……そのためにはわしも真の姿へと戻らねばならぬ。

ま、もう会うこともないじゃろう、達者に暮らせよ。


―― 深緑しんりょくにさざめく風の声よ、ゆるやかに流れる川のせせらぎよ。

我が名を持って命ずる。

異界への門、その鍵を開け放て。

身の軽さは木の葉の如し。

あるべき枝へと戻るがいい。

揺れろ、揺れろ、ふたつの世界の 境界あわいを重ね、風に飛んで小鳥のくちばしに咥えて届け。



……さて、無事に元の世界に戻れたようじゃが……。

なんだったんじゃあの顔、せっかく戻れるのだから嬉しそうな顔をすると思ったが……。

んむ、なんじゃ式よ、そう袖を引っ張るな。

なに? 別れの言葉を告げる時間もなかった……?


……愚か者。

そんなことをしては未練になる。

あやつは元から此処にいるべきではなかったのだ、早く忘れるのが正しい。

ただの短い夢だったと思って、あやつにとっての日常に戻るべきじゃろう。


……まぁ、わしは向こう側に渡れることを一言も言っていないし、わしの手元に一度は置いた以上加護に置かれたことも言っていないが……。

時折鏡を覗いて様子見してやるか……。


……ふあぁ、また神力を消耗してしまった。

このまま 転寝うたたねふけるとするかな……。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
異界に吹っ飛ばされたところを保護してくれた神様は厳しくも優しくしてくれる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
弐橋 葉
ライター情報
イラストレーター、ボイスコとして活動中です。
文章を書くのも好きなので合間合間に台本も投稿していきたいと思います。
pixivにも台本をマルチしていますがこちらのほうが早いです。

何か琴線に触れたものがあればお気軽に演じてくださいませ。
使用報告も不要、口調や固有名詞の改変についても良識の範囲でいくらでもどうぞ。
楽しく使って頂くためでしたら如何様にもしてください。
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