1
狐神娘と出逢い、夜空の星を見た。
written by うながりぅ
  • 切ない
  • 人外 / モンスター
  • お狐さま
  • のじゃ
  • 女性演者
公開日2024年07月01日 20:38 更新日2024年07月01日 20:38
文字数
2065文字(約 6分53秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
のじゃ口調
視聴者役柄
特に無し
場所
野外、山の中
あらすじ
これは、魂を導く神様の…ほんの一部のお話。今宵も彷徨える魂を輪廻へと送るべく、その務めを果たす。
本編
//(神楽鈴)

ここらに気配を感じて来てみれば、これはこれは。珍しい者がいたもんじゃ。
お主…人間か?

……ふふ。そうか。人間、か。まだ言葉は交わせるようじゃの。

…して、人間の迷い人(まよいと)よ。こんな人里離れた山奥に…それもこんな夜更けにたった1人でなにをしていた?

ほぅ、夜空の星を?確かにここならばよく見えそうじゃのぉ。

…なんじゃ?ワシのことが気になるかえ?

そうじゃのぉ。お主からみてワシはどう見える?

//(少し間)

……ふむ。狐っ娘のこすぷれ?をした、ただの女(おなご)に見えるとな?

かっかっか!そうかそうか!

そのこすぷれ?とはよぉわからぬが、この耳と尻尾は偽物ではないぞ?それにワシはただの女ではない。

そうじゃのぉ…お主らの言うところの

「神」…みたいなものじゃな。
まぁワシの場合はお主らのよく知る、恵みや加護を与える存在とは少し違うのだが…

そんなことより、お主のことを聞かせておくれ。
こんなところまできてなにか理由があるのか?

……ふむ。記憶が朧げなのか。ただ、この星空だけは憶えていたと。

そうか。他にはなにも憶えておらんのか?

いやよい、悪かった。少し落ち着け、無理に思い出そうとせんでもよい。

誰も急かしてはおらぬゆえな。ゆっくりでよい。

//(しばらく間)

ほう……何か思い出したか?では聞こうか。

ふむ……ふむ………。

そうじゃったか、この星空は……大切な人と見た光景なのじゃな。
じゃけど、その大切な人が誰かまでは思い出せんと。

そうか………。

//(隣に座る)
隣…失礼するぞ。

はぁ…星が綺麗じゃのぉ。

その大切な人は、このように隣に座っておったのか?

…そうか。さそがし仲が良かったのじゃろうな。
今やこんな見ず知らずの神と見ているわけじゃが、かっかっか!

む…?なんじゃ?
……ほほぅ??

ワシのような綺麗な女性が隣にいるのは緊張するか?
くく……かっかっか!お主、よもや神であるワシを口説いておるのか?

面白いやつじゃ…♪

なに、気にするでない。嬉しかったぞよ?
もっとも、その言動が素であったのならば…お主の大切な人はさぞ苦労したのじゃろうなぁ。

こんなすけこましなやつじゃなぁ、くくく…!

それで、その大切な人とはもしやお主の……む?
どうした、ぼーっとして。

…そうか。なにもないならよい。

ふむ…これはあまり時間が無さそうじゃのぉ…少し急いだ方がよいかもな。

さて、ワシが何の神か…まだ話しておらんかったの。

ワシは、死者の魂を輪廻へと送る役割を担っておる。

そう、輪廻転生。新しい魂へと生まれ変わることじゃ。

大半の場合はワシの手を借りることなく輪廻へと送られるのだが…稀に強い未練を抱き、現世に留まろうとする魂たちがおるのだ。

聞いたことがあるじゃろ。悪霊、地縛霊などと呼ばれるものを。

残念ながらそういうものたちの魂は、長く現世におると穢れが生じてしまう。そうなってしまっては輪廻の狭間には送ってやれぬのだが…
そのままにしておくことにもできぬ。世に迷惑をかけてしまうからな。

わかりやすいので言えば、生身の体に取り憑き蝕む…呪いと呼ばれたりもする。

そのようなことを起こさぬためにも、穢れた魂を祓うのもワシの役目。
じゃが、巧妙に隠れるやつもおるでのぉ…現世にはしばしば迷惑をかけてしまっておる、いやはや面目ない。

…はは。何故こうも詳しく話すのか、という顔をしとるのぉ。

ここまで言ったのならば、お主も薄々は察しているのではないか?

…己の今の状況に。

すぅ…………。

あぁ…そうじゃ。お主の肉体はもう…とうに朽ちておる。今は魂だけの状態じゃな。

お主の、大切な人と会いたいという未練が…現世に留まらせているのじゃろう。

じゃが、記憶が朧げと言ったな。それはのぉ…善なる魂が薄れ始めておるのじゃよ。

生身の魂は酷く脆い。このままではお主は…悪霊と化してしまう。

そしてその時はもう近いということじゃの。残念じゃが、お主の大切な人と会うことを叶えることはできん。

今すぐに輪廻の狭間へと逝かねば、手遅れになる。

…わかっておくれ。仮に出会えたとしても、その頃にはお主は悪霊に成り果て…その者を傷つけてしまうかもしれぬ。

それをお主は望むのか?

それに……そうなってしまってはもはやお主を輪廻へ送ることもできぬ。ワシの手で魂ごと消し去るしかなくなるのじゃ。

ワシはそんな酷なことをしたくはない。
できればこのまま送ってやりたいのじゃ。

のぉ、お主よ……頼む。

//(少し間)

……そうか。
よく決断してくれた、感謝する。

ふっ…そうじゃな。あと少しくらいならよいじゃろう。
大切な人の代わり…とは到底いかぬじゃろうが。

他の誰でもない、神であるワシがお主を褒めてやろう。
よく頑張ったの…偉いぞ、人の子よ。

あぁ…本当によく頑張った。じゃから後は…ゆっくり休むとよい。

眠りにつくまで、ワシが隣にいてやる。

うむ…おやすみ。良い夢を見よ。

………ふぅ。

見上げるは
星降りそそぎし
夜の空
思い出胸に
輪廻へと発つ

//(神楽鈴)

うむ……無事輪廻の狭間へと逝ったようじゃな。
手遅れになる前で助かった。

迷い人(まよいと)の魂は1人でも多く救わねば…それがワシの、送り手としての務め。

じゃが、難しいものじゃのぉ…結局彼奴の大切な人と最後に会わせてやることは出来んかった。

じゃからせめて、これだけは願おう。

汝の来世に、幸多からんことを。

……達者でな、人の子よ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
狐神娘と出逢い、夜空の星を見た。
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
うながりぅ
ライター情報
うながりぅと申します。
主にシチュエーションボイス用の台本を投稿してます。pixivでも同様に台本を投稿してます。
【得意ジャンル】
甘々/メスガキ/ヤンデレ/女性優位等、男性向けメイン。その他もたまに書くかもです。
有償販売利用の条件
概要欄等に当名の記載、それとX(旧Twitter)やメール等で一言お声をかけていただけると幸いです。
利用実績(最大10件)
うながりぅ の投稿台本(最大10件)