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船上の歌姫と秘密の指かき
written by 叶富 圭
  • 耳かき
  • 寝落ち
  • 甘々
  • 睡眠導入
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公開日2025年12月30日 10:13 更新日2025年12月30日 10:13
文字数
1868文字(約 6分14秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
包容力と芯の強さを兼ね備えた女性
視聴者役柄
流されるがままやってきた人生の迷い子
場所
深夜の船上 甲板のベンチ
あらすじ
現実から逃げ出してクルーズに乗り込んだあなた。
眠れず夜風に当たろうと甲板に出ると、クルーズショーで見た歌姫が静かに黄昏ていて……。
本編
(波の音)

ん~ん~~~……はあ~。(全身で欠伸をする)
ん? こんなところ、誰も来ないと思ってたのに…。
あなたも…夜風に当たりに来たの…? こんな時間に?
ふ~ん…眠れないのね…。

ふふっ……そうね…私も人のこと言えないか…。
あれ? もしかしてあなた……さっきのステージ見に来てくれてた人?
うん…覚えてるよ…。最前列に座ってるのにずっとくら~い顔してたんだもん…。
私の歌が微妙なのかな~ってちょっと凹んでた。
そんな、謝らなくても…冗談だから。君が悩みを抱えてそうだな?って今分かったからさ……。……眠れなくて、こんな時間に甲板まで出てくるほどのね……。

……眠れないなら……子守歌でも歌ってあげようか? ……今なら膝枕と耳かきもつけてあげよう。

うん…素直なのは良いことだ。じゃあまずは耳かきからだね。
はいどうぞ。お膝においで……。
(太ももに頭を乗せる)

じゃあ、耳かきしていくね……。
といっても、棒をいれると船が揺れて危ないから……この指で、だけどね。
まずは…お耳の周りから…。
(指かき、穴の周りから)
……ん? 膝が温かい? 私の? ……そうかも。さっきまで歌ってた興奮が収まらなくてね……。
うん。私は歌う事が好きだからさ。劇場で歌う場所がないから……こんなクルーズに乗り込んで、歌いに来るくらいね。
でも、楽しいよ? 自由に歌える場所がある、小さな幸せを感じられるから…。
まあ、楽しくなったぶん、眠れなくて夜風でクールダウンしないといけないのは困りものだけどね……。
君は? どうしてこの船に? 観光? ちょうど平日でお客さんも少なくていいよね…。
……違うの……? えっ? 会社に行くのが嫌すぎて……行く当てもなく船に乗っちゃった……?
それはまあ……。辛かったね……。
あぁ……電波が届かないから船に乗ったんだ……。
それは賢いというかなんというか……。下船したら、ちゃんと連絡するんだよ? 今は……目的地に着くまでは逃げててもいいからさ…。

ねぇ…何が辛かったのか、吐き出してごらん…?。私と、この海が一緒に君の哀しみを癒してくれるよ……。な~んて、こ洒落たこと言ってみたりして……。
あ~……。上司もキツイし、何のために仕事してるか分からなくなったんだね……。
……あるある。自分がなんのために苦しんでるのか分からなくなると、ほんとにしんどくなるよね……。
明かりもなく、行先も分からないまま、闇夜に包まれた海で、船を前に進めるようなものだから……。

耳の奥のほう、やっていこうか。大丈夫。じっとしててね。
(指かき、耳奥の方)

私もね? なんで歌ってるのか、分からなかった時もあったんだ。
この船のお客さん達は…私の歌を聴くために船に乗るわけじゃない。
ただ目的地に向かうための船旅の…ほんの暇つぶしに聴きに来るだけ。
退屈な船旅だもんね…しかも、電波も通じなくなるからスマホも満足に使えない。だから、案外たくさんの人が聴きに来てくれるんだよ。
今も全く悔しくないわけじゃないんだ。それでも最初はもっと酷くて、どうせ私の歌なんて興味ない。そんな人たちに歌ってもしょうがない、なんて思ってたんだ。
私が歌うべきなのはこんなステージじゃない!……ってね。今考えると酷いよね。
でもさ、どんな経緯であれ、せっかく聴きに来てくれてるみんなに、そんな風に思いながら歌うなんて、とっても失礼なんじゃないかな?って気づいてね。
来てくれる人たちは、私の思いとは裏腹にね、一緒に手拍子してくれたり、小さく口ずさんでくれたり、楽しそうにしてくれたんだ。
それを見て、はっとさせられたよ。
今歌ってる私こそが、目の前のお客さんたちを楽しませないでどうするんだ!ってね。それからは、目の前のことに、前向きに取り組めるようになった気がする……かな?
そして、それに気づけた私は…とっても幸せ者だよ。
……君みたいにね、一生懸命やってても、自分が何のために苦しい思いをしているのか、分からない時もある。それが一生続いてる人もいるかもしれない。
……だから私は、目の前にそんな人がいたら、ちょっとでも手助けしてあげたいなって思ってるんだ。

……どんなに暗闇の航路を走っていても、必ず光はあるって、信じてるから。

……だから、この指かきもその一環だよ。
さあ、仕上げしよっか。
タオルで、お耳をきれいにしてあげよう。
(タオルで耳をごしごし)

すっかり、お耳もきれいになったんじゃない?
これで、私の子守歌をしっかり聞いてくれるかな?
……さっきのステージだと心ここに在らず、だったもんね。
もう一回、私の歌を聴かせてあげる……。

♪こ~げ こ~げ こぶね~ ゆっくりと~
♪ゆら ゆら ゆら ゆら 夢のよう
(繰り返し)

(Row Row Row Row YourBoat:日本語訳より)
参考 https://www.youtube.com/watch?reload=9&v=GZe3G_ek__w
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
船上の歌姫と秘密の指かき
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
叶富 圭
ライター情報
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