毎日毎日、付きまとってきては罵倒をしてくる後輩女子！

自分への好意や心配ありきで言ってくれているのはわかるが、疲れる時もある。
荒療治だけど、ちょっときつめにからかってみるか――！

と思い立った聴き手が、屋上から飛び降りるふりをして、後輩女子を素直にさせる台本です！

（大学の屋上に居る聴き手の元に現れるヒロイン）

またこんなところに居たんですか、先輩

友達が居ないと、いつも１人ぼっちで寂しいですよね
見ているこっちが悲しい気持ちになってきます

世間では華の大学生活なんて言いますが、先輩には関係ないみたいですね
昼食の時間に１人で食事を取るだなんて、人間性を疑われますよ
もっと他人とコミュニケーションを取ってみてはどうですか？

何事も、行動しなければ成功しません
宝くじだって、当選確率は塵芥（ちりあくた）のようなものですが、
実際に当選する人は居るんですから

……先日の講演会で実業家が言っていたのを、もう忘れたんですか？
何かをして失敗することは失敗じゃない。何もしないことが失敗なのだと
先輩の人生は、ずっと失敗続きですね
ほら、失敗続きの先輩。そんなところに居ないで、こっちに――

（聴き手、屋上の手すりに手をかける）

……何の真似ですか？　つまらない冗談ですね
そんなだから、１人で昼食を摂る羽目になるんですよ

早く行きますよ。ここは風が強くて寒いですから

……ねぇ、早くしてくれませんか。それ、つまらないって言ってますよね
人付き合いの無い先輩は知らないかもしれませんが、
世の中には良い冗談と悪い冗談があるんですよ

今、先輩がしている冗談は、後者の悪い冗談です
毛ほども面白くありません。ただただ不快です。さっさとやめてください

……はぁ……いい加減疲れてきました
昼食を摂る時間も無くなってしまいますし、先に行きますよ
…………。……しつこいですね。冗談もほどほどにしてください
……それに、先輩にそんな度胸無いでしょう。度胸の”ど”の字もありませんから

（聴き手、手すりにまたがる）

なっ……？！　ちょっと、冗談はいい加減にして
私も、そろそろ堪忍袋の緒が切れ――、

（聴き手「もうほっといてくれ」という想定）

……いいえ、できません。……馬鹿なんですか？
ここで先輩を放っておいたら、……自殺幇助に問われる可能性がありますから

早くこちらに戻ってきてください。私にも、大学にも迷惑ですよ
考え無しもほどほどにしてください

（聴き手「お前に罵倒されるのが辛い、もう楽になりたい」という想定）

…………え？　え？　な、何を言って……？
私……？　私が……え？　私に……？　な、なんで……？

だ、だって先輩、嫌な素振りなんて、一度も……
いつも、先輩のことを考えて、だから、私、私は……

嘘……だって……、そんな……

（聴き手、柵を越えようとする）

い、いやっ！　やだ！　お願い、お願いします……！
やめて！　やめてください……死なないでください……っ！

やだっ、……うっ……ぐすっ……嫌です……
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……嫌です、嫌なんです……

私っ……私のことは嫌いで良いですからっ！　お願いです……
飛び降りないでください……死なないでください……お願いします……

いつも罵倒してごめんなさい、つきまとってごめんなさい……
お願いします……やめてください……お願いします……お願いします……

（ヒロイン、幼い頃に聴き手が誕生日プレゼントで渡した、「なんでも１回だけ言うことを聞く券」を思い出したように取り出す）

あっ……こ、これっ！　これっ……！
お願いします……やめてください……っ！

全部……全部……私のダメなところ、全部直しますから……
教えてください……ダメなところ……
お願いします……戻ってきてください……先輩っ……！

……うぅ……やだ、やだやだやだ……やだ……

………………あっ。……そうだ……そうだよね……っ……

先輩……ごめんなさい……先輩を追い詰めたのはっ……私です
……だから、私がっ……私が死にます……
ひぐっ……だから、やめて……

（聴き手、ドッキリ大成功のプラカードを出して、戻ってくる）

え？　……は？　…………。…………ッ！
（聴き手を全力でビンタして）最っ低

…………本当に、最低。最低、です……
……やって良い冗談と、悪い冗談があるって、言いましたよね

……嫌です、許しません。絶対に許しません
笑って許せる範囲を超えています。一生許しませんから

…………。……でも、そうですね
……今まで、言い過ぎていたかもしれません

恥ずかしさや照れくささを暴言で誤魔化して……
それを受け入れてくれる先輩に甘えていました……

……私の方こそ、人間関係の構築ができていませんでしたね……

……ですが。それを差し引いても、さっきのはやり過ぎです
化粧もぐちゃぐちゃになってしまいましたし、昼食を摂り損ねました
責任を取って貰わないと、割に合いません

……折角ですから、たまたま財布に入っていたこの券を使いましょうか
私の命令を、何でも１回きいてくれるんでしょう？

……うるさいですね。たまたま入っていただけです。話を逸らさないでください

いいえ。さっきのはドッキリだったんですから、無効です
命令する側が無効と言っているんですから、無効です

……命令される側は、ただ黙って命令を聞いていれば良いんですよ
…………。…………ちゃんと聴いていてくださいね
…………――に、なってください

……何ですか？　聴こえなかったんですか？
ちゃんと聴いていてと言ったのに、そんなことも守れなかったんですか？

頭だけじゃなくて、耳まで悪――……コホン
……もう一度言いますから、しっかり聴いていてくださいね

…………――恋人になってください

……今度はちゃんと聴こえたみたいですね
先に言っておきますが、拒否権はありませんよ
先輩が作った、何でも１回命令できる券なんですから

…………。……本当は、この券を使って結婚して貰うつもりでしたが……
私も、もっと自分を磨かなければいけないと、気付きました

プロポーズは先輩からさせてやりますから、覚悟していてくださいね
……絶対に、素直で可愛い彼女になってみせますから

・台本（ゆるボイ！）
毎日暴言を吐いて来る罵倒っ娘の前で××未遂をしてみた結果。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
しおぱいたん