束縛の強い彼女に、ヤンデレではないかと聞いてみた。

「え？　私が、ヤンデレ？　えっ、嘘だよ。ないない。
私はあんな、別れるぐらいなら君を殺して私も死ぬ、みたいなこと言わないよ？

今君に別れようなんて言われたら、確かに立ち直れないだろうけど、そんな過激なことしてまで君を繋ぎ止めようとはしないもん。

それでも、君は私のことをヤンデレって言うの？
何が君をそう思わせてるのかな？

え？　メールがしつこい？
ごめんね、迷惑だったんだね……
それなら謝るけど、私、君から反応をくれないのが寂しくて、気付いてほしいなって何度も送っちゃってたんだ。

え？　反応してくれないとすぐ浮気だって疑うのもやめてくれ？
まあ、それは一番君にされたくないことだし、君も疑われたくないだろうから、違うよって送ってくれるかなって思って……

君は、してないんだよね？
それなら何度も疑うのは失礼だったよね。ごめんね、彼氏を信用できないなんてひどい彼女だよ。

うん、時間も夜遅かったりして、しつこかったよね。
わかった。これからはもう夜遅くにメールなんて送らない。

でも……それだと夜、寂しいからさ、君が良かったら、寝落ち通話しない？
君の声を聞きながら寝られれば、寂しくならないもん。
いいかな？　ありがとう。
最初からそうすればよかったね。君の声はメールじゃ聞けないもん。

そうだよ、私はただ寂しいだけなの。
君が勘違いしてるように病んでるわけじゃないんだよ。

え？　まだ聞きたいことがある？
うん、君を監視してるんじゃないかってこと？

してるよ。
でも、それって監視されると困ることがあるから嫌なんじゃないの？
やましいことがなければ、見られても大丈夫だよね？

え？　やましいことはないのに嫌なの？
ずっと彼氏でいるのも疲れる？

彼氏でいたくないときなんてあるの？　それって浮気じゃ……

この前君が同窓会に行った時？
うん。君にお店教えてもらってたから、近くの席で見てたよ？

確かに君は、普段私に見せないちゃらけた様子だったね。
でも、それくらい私は平気なのに。君はクールな彼氏でも目指してた？

ふふっ、そういう見栄っ張りなところ、可愛いよ。
でも、見せたくないのはそこじゃないと思ってた。

え？　急に怖がって、どうしたの？
だって、それは彼女に見せてもいいんでしょ？

君、何人かの女と楽しそうに話してたよね？
へえ……仲が良かっただけ……

でも、あの女たちの中に、君のこと狙ってそうな女もいたよ？
それって、君が彼女持ちだってこと、言わなかったからじゃないの？

気付かなかったって、ちゃんと警戒してもらわないと困るんだよ。私の彼氏なんだから。

はあ、やっぱり監視しておいてよかったでしょ？
そう。私がおかしいんじゃなくて、君が彼氏として未熟なだけなんだから。
心配性って言われるならちょっとはわかるけど、彼氏に浮気させないのは彼女の役目でしょ？
だから、私は問題ないんだよ。

え？　まだ聞きたいことがあるの？

同窓会の時の女ね……君が心配することなの？

……いなくなった？
連絡がつかないんだ。

で、それをどうして私に？
君を狙ってたっていう女に私が何かしたとでも言いたいの？

そうか……そうだね、君の疑ってる通りだよ。
でも、それの何が問題なの？

だって、私の君に手を出そうとする女でしょ？
君を守るための正当防衛だよ。私は当然のことをしたまで。

え？　許されない？　
それを言うなら、君も同罪なんじゃないかな。
君があの女たちに近寄らせないようにすればよかっただけだもん。
君が私を責める資格はないんだよ。

でも、これじゃ私は普通の彼女じゃいられないよね。
ほら、君ももう私を優しい目では見てくれない。

もう、諦めるしかないか。
どうせ、何もしなかったら浮気して離れていくような君だもんね。
だったら、愛してくれなくてもここにいてくれた方がいいよ。

決めた。今から私、君を支配するね」

・台本（ゆるボイ！）
彼女はきっと狂ってる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩