少し長めのシチュエーションボイスです。
お嬢様に休みなさいと命令される台本です。

(ＳＥ : ドアの開閉)

おはようございます。

今日も精が出ますね。

(使用人が椅子を引く音)

椅子くらい自分で引けますよ。

この屋敷の方々は、わたくしに対して少々過保護なのではないですか？

身の回りの事をしていただけるのは、大変嬉しく存じます。

ですが、使用人に任せきりにすると、あなた方の休む時間が無くなります。

あっ、朝食は少し待って頂けますか？

その前に、あなた個人にお話があります。

他の方々は少し外して頂けますか？

(他の使用人が出て行く足音、ドアの開閉)

お話の前に、あなたもそこに座りなさい。

畏れ多いと？

わたくしが許可を出しているのです。

早く座りなさい。

はぁ……。

あなたは本当に融通が利かないのですね……。

あなたは以前にも、休みなさいという、わたくしの命令を疎かにしようとしました。

あなたは、お仕事に対しては物凄く真面目で素早くこなして下さいます。

ですが、休む事となると、それを極端に嫌いますよね？

他の使用人の方々はしっかりとお休みになられていますよ？

なぜ、あなたは休む事を遠慮しているのですか？

大体、察しはついているのですが……。

あなたには、わたくしの身の回りの事を他の使用人よりも多くお任せしています。

その事が重荷になっているのではないですか？

主であるわたくしに一番関わる緊張などもあるでしょう？

そのように常に気を張っていては、身体を壊してしまいますよ。

休む事も仕事の内です。

質が良く、効率のよい仕事をする上で、休息は必須です。

しっかりと休まず、思考力が低下し、集中力が散漫になっていると、ミスが増えて余計に手間がかかってしまいます。

ですので、あなた個人に命令です。

今日から１ヶ月間はお仕事を禁止致します。

しっかりと身体を休めて、１ヶ月後にまたお仕事を再開して下さい。

自身の時間をもっと大切になさい。

街に遊びに行くも良し、部屋で静かに過ごすも良し、ご両親やご友人に会うのもよいでしょう。

お仕事をしていると、なかなかご両親の家にも戻れないでしょう。

お仕事をしている以上、両親と過ごせる時間は多くないのです。

親孝行してあげなさい。

旅行などに行くのでしたら、わたくしに言って下さい。

金銭面は全て、こちらで負担致します。

(少し空けて)
申し訳ない、と？

あなたは少し勘違いをしていますね。

この１ヶ月間のお休みは「お仕事」です。

今のあなたのお仕事は「休む事」です。

お仕事にかかる費用を主が負担するのは当然でしょう。

他にも必要な物があれば遠慮せずに言って下さい。

直ぐに手配致しますから。

えっ？

なぜ、自分にだけここまでして下さるのか、と？

あなた以外の使用人の方々は、しっかりとお休みになられていますし、必要な物があれば、直ぐにわたくしに伝えて来られますよ。

使用人の方々の要望を聞き、しっかりと休ませる。

それは、お仕事の効率を上げるだけが目的ではないのです。

不満やストレスを軽減し、お仕事に全力であたって頂けるようにとの配慮です。

使用人に不満を抱かせる主など、主失格ですからね。

わたくしの下(もと)で働いて頂く以上、わたくしは使用人の要望に応え、環境を改善する。

それが出来て初めて、主と呼べるのではないでしょうか？

あなた方使用人が居て下さるお陰で、わたくしは自身のお仕事に集中出来る。

わたくし自身のお仕事の効率を上げる為でもあるのですよ。

どこか１つが滞れば、連鎖的に全てが悪くなる。

結果として、わたくしは自身の首を絞める事になります。

それを防ぐ為ですよ。

こんな長々としたお話はここまでにしましょう。

では、しっかりとお休みなさい。

１ヶ月後に、あなたの元気な姿を見せて下さいね。

もちろん、それまでに顔を見せて下さっても良いですからね。

屋敷でのお仕事は禁止ですが。

(少し空けて)
はい。

行ってらっしゃい。

(ドアの開閉)

ふぅ……。

(独り言)
全く、彼の頑固さには苦労しますね。

(独り言)
人生は長いようで短いのですよ。

(独り言)
もっと自分の為に時間を使いなさい。

(独り言)
普段、仕事に打ち込み過ぎて、休みにする事が無いなんて事にならなければ良いのだけれど。

(独り言)
お休みの間のお話を聞くのが、今から楽しみですね。

ふふふ。

・台本（ゆるボイ！）
お嬢様に強制休暇を言い渡される
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
如月英梨