とあるお嬢様に仕えるあなた。
休まずに働いていた、あなたにお嬢様から声がかかる。

おはようございます。皆様。

今日も１日、良き働きを期待していますよ。

わたくしからの忠告は１つです。

休息はしっかりと摂る事。

体調が優れない人は、今ここで申し出て下さい。

(空ける)

いらっしゃらないようですね。

ですが、少しでも体調が優れないと感じた場合は、すぐに仕事を中断し、休息を摂って下さい。

その方のお仕事は他の方が引き継ぎ、滞らないようお願い致します。

もし、手が足りないのであれば、わたくしに仰って下さいね。

そのお仕事はわたくしが引き継ぎます。

宜しいですね？

それでは各自、それぞれのお仕事を開始して下さい。

ああ。あなたにはお話があるので、わたくしの部屋までついてきて下さい。

(空ける)
(お嬢様の仕事部屋)

お仕事の途中で少し散らかってしまっているの。ごめんなさいね。

椅子にかけて下さい。

わたくしの椅子は引いていただかなくて結構です。

わたくしが自分でやりますから。

(空ける)

さて、単刀直入にお聞きします。

あなた、しっかりと休息を摂っていないでしょう？

嘘は仰らなくて結構です！

目の下にクマを作っている今のあなたに何を言われても信じません。

あなた、わたくしに仕えて間もない新人の方ですよね？

わたくし、採用の時に言いましたよね？

体調には気を遣うようにと。

しっかりと休息を摂り、お仕事に支障が出ないようにするよう、お願いしたはずです。

わたくしの指示が聞けない方は、解雇致しますよ？

(強めに相手の言葉を遮るように)
解雇が嫌と仰るなら！！

しっかりとお休みになって下さい。

一生懸命、お仕事に取り組んで下さる事は、とても有り難く、感謝しております。

ですが、睡眠の時間を削り、仕事の時間を増やすのは、効率が落ちてしまいます。

体調を崩し、お仕事が出来なくなってしまった場合、その時間で終わらせる事が出来る仕事が滞ってしまいます。

働く時間を増やせばいいというものではないのですよ。

後は食事です。

あなたは、まともな食事を摂っていないでしょう？

それでは余計に体調を崩してしまいます。

バランスの良い食事を摂り、睡眠もしっかりと摂る

休暇には、趣味などでストレスを発散する。

それもお仕事の内ですよ。

わたくしが決まった休日を設けていないからといって休まないのは論外です。

お仕事をする日や休日は、皆様に任せています。

働きたい日に働く、休みたい日に休む。

それぞれの予定に合わせて休みが取れるようにする為に決まった休日を設けていないのです。

(空ける)

大丈夫？

大丈夫だと仰る方ほど、無理をなさっているのです。

わたくしの指示を無視し、体調を崩された場合、あなたを部屋に軟禁し、強制的に休んでいただきますから、そのつもりで。

睡眠をしっかり摂れているか、食事はバランスよく摂れているかなどを、わたくしが監視します。

軟禁期間もわたくしの一存で決定します。

食事のメニューも、わたくしが全て決め、わたくしが作ります。

あなたに決定権はありません。

軟禁されたくなければ、自身でしっかりと休息を摂ってい下さいね。

今、この屋敷には居ないのですが、あなたにとても似ている方がいらっしゃいます。

わたくしの身の回りの事を、他の方より多くお任せしていた方なので、休む事を遠慮したのでしょう。

その方がどうなったか聞きたいですか？

(空ける)

いえ、解雇した訳ではありませんよ。

１ヶ月の強制休暇を与えました。

今は実家に帰省されています。

親と過ごせる時間はそう長くない。

ですから、親孝行しなさいと強制的に休暇を与えました。

彼には内緒で、ご両親から定期的に連絡をもらっています。

家のお手伝いなどは別ですが、もし、休暇中に少しでもお仕事をしたら……ふふ、張り倒します。

ええ、思い切り、平手打ちをお見舞いさせていただきます。

あなたも注意して下さいね？

休まないと、張り倒して、気絶させ、強制的に眠らせますよ？

(空ける)

はい、何ですか？

生活費？

ああ。あなたは、ご両親にお給料の半分以上を送っているのでしたね。

安心して下さい。

有給休暇、という便利なものがあるではないですか？

それを使いなさい。

でも、ではありません！

そんなに仰るなら、こうします！

わたくしからあなたへ、指示やお願いでははく命令です！

有給休暇を使い、しっかりと休み、お給料も受け取りなさい！

異存は認めません！

いいですね？

へ・ん・じ・は？

はい、上出来です。

では今日から、目の下のクマが消えるまで、身体を休めて下さいね。

お仕事をしているのを発見した場合は、わたくしからの命令を無視したという事で、軟禁ではなく監禁させていただきます。

あなたが休む事を嫌がる理由が、もし、周りが働いているのに休むなんて出来ないという理由なのであれば、その考えは捨てなさい。

人はそれぞれ異なります。

お仕事の速さもそれぞれなのです。

周りに合わせる事も重要ですが、完全に合わせるのは不可能です。

周りの人達と自分を一緒にしてはいけません。

他人には他人の、あなたにはあなただけの良さがあります。

それぞれの足りない部分を補い合う事が、皆様と一緒にお仕事をする意味だと、わたくしは思っています。

今のあなたに足りていないのは休息です。

それを補うのは、わたくしや周りの務めです。

無理をして周りに合わせ、ストレスが溜まり、ここで働くのが嫌になってしまうのは、気分がいいものではありませんからね。

ここで働きたい、働いていて良かったと思っていただけるような環境を作るのも、わたくしの務めです。

周りに気を遣うのは大切な事ですが、自身を苦しめるような気の遣い方をしてはいけません。

自分を大切になさい。

周りに気を遣う事は、想像以上に疲れますからね。

はい、何でしょうか？

何故、自分にここまでして下さるか、ですか。

ここで働いて下さっている皆様は、全員わたくしの大切な家族です。

家族を大切に想うのは、何かおかしいでしょうか？

あなたも、わたくしの大切な家族の一人なのです。

さて、長くなってしまいましたね。

わたくしはお仕事に取りかかります。

あなたは、休んで下さいね。

足りないものや、欲しいものがあれば仰って下さい。

わたくしが用意致しますので。

(空ける)

早速お願いですか？

どうぞ、仰って下さい。

(空ける)

わたくしの手料理が食べたい、と？

いいですよ。

お仕事に取りかかる前に、疲労回復料理を作らせていただきますね。

では、今日も、よい１日を。

・台本（ゆるボイ！）
お嬢様に説教される話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
如月英梨