気付けば毎朝隣で寝ている同級生に監禁されるまでのお話。

（1日目）

……おはよ。

え？　びっくりした？

でも、普通そうか。

目が覚めたら、大好きな同級生の胸の中。

朝から予想外の幸せだね。

え？　私のこと好きじゃなければ、幸せでもない？

ひどいなー、こんなに優しく抱き締めてあげてるのに、冷たいこと言う君にはこうだ！

ぎゅーーっ。離れられないようにきつく抱いちゃいます。

私のこと大好きって言えない素直じゃない君にはちょっとくらい苦しくても我慢してもらわないとね。

そうだな、私のこと大好きって言えたら離してあげてもいいよ。

あ、言ってくれない限りだんだんと抱き締めが強くなるからねー。

ぎゅーーーっ。

言ってくれた！

うん。私も大好き。

あんまりイチャイチャし過ぎると、学校遅れるからベッド出よっか。

早く準備済ませて、一緒に学校行こうね。

（2日目）

……おはよ。

何さ、今日も？　って当たり前でしょ？

私は君と一緒の朝を迎えたいの。

それより、今日もおはようって返してくれなかった。

昨日はびっくりしててそれどころじゃなかったんだろうなって許してあげるけど、流石に今日は言ってくれないと。

はい、おはよう。

え、どうしてここにいるのか？

もー、そんなの、聞くまでもないでしょ？

私が、君のこと大好きだから。

それ以外の何でもないよ。

え、そういうことじゃない？

鍵の掛かった家の中にどうやって入ってきたのかって？

そんなの、教えないよ。

もしかしてだけど、それを知った君は私が明日入って来られないように対策をするつもりだったんでしょ？

だったら、君には絶対教えない。

そんなことよりも、もっと私たちが愛し合える話をしようよ。

将来のこととか。

結婚はいつにしよっか。まず、私たちの本分は学業だからね。新婚生活に浮かれて勉強を何にもしないなんてことはいくら何でもよくないと思うんだ。

だから、大学を卒業してからとかになるのかな。

うう、私たちのゴールはまだまだ遠いね……

それじゃあ、子供はどうする？

え？　もちろん君と私のだよ。

私は欲しいけど、何人って聞かれると困っちゃうかも。

一人だけでも愛情を注いであげられれば十分だとは思うけど、どこかで兄弟がいた方が子供にはいいって話も聞いたんだよね。

それこそ、君が望むなら野球チームもサッカーチームも作れるくらい頑張るのもありだと思う。

それはダメ？　そっか、経済的なことも考えないといけないからね。

今の私たちが将来どれくらい稼げるかなんてわからないから、今答えを出すのは確かに早すぎたかも。

でも、私は君の子供が欲しいってこと、覚えてくれると嬉しいな。

そろそろ、ベッドから出ないとね。

今日も一緒に登校だね。

（3日目）

……おはよ。

うん、返してくれて嬉しい。

それよりも、今日はどうしたの？

君の部屋じゃなくて、リビングのソファーで寝るなんて、よっぽど疲れてたのかな。

何かと事情はあると思うからこれを責めたりはしないけど、ソファーで寝られちゃうと狭いから、隣にいられないんだよね。

だから今君に乗っかってるんだよ？

なんだか、私が君を食べようとしてるみたい。

いつもよりも君に近いから、興奮しちゃう。

もしかして、君がソファーで寝たのって、私に食べられちゃいたいから？

……そんなわけないか。

でも、この気持ちは鎮めてもらわないと困るよ。

こんなにも私を虜にする君がいけないんだよ？

……いいよね。

（キス・長め）

……んはぁっ、気持ちいい。

初めてだったからわかんないけど、こんなに幸せを感じるのは君としたからなのかな。

そうだよ。今のが初めて。

……君も、そうなのかな？

そっか、ごちそうさま。

あーあ、このままもっと楽しみたかったけど、もう時間だね。

今日も一日、がんばろっか！

え、今日委員会で早く行かなきゃいけないの？

いいよ、私も一緒に行く。

ダメ？　そんなにギリギリなの？

……わ、わかった、行ってらっしゃい。

確か、委員会には君の幼馴染がいたような……

とにかく、私も学校に行かないと。あ、鍵閉めなきゃね。

（4日目）

……おはよ。

どう？　お目覚めの気分は。

痛くなければいいんだけど……大丈夫そうだね。

え？　もしかして、君はなんでこんな仕打ちを受けるのかわかってないの？

でも、そうか。それが分かってたら、昨日あんなことするはずなかったもんね。

何のことって、出来れば自分で気付いてほしいんだけど？

一体昨日の何が私を傷付けたのか、君はわかるかな？

シンキングターイム！

ごー、よーん、さーん、にー、いーち、ぜーろ。

……ねえ、本当にわからないんだ。

昨日、この部屋に幼馴染連れ込んだよね？

……何してた？

ふーん、勉強会ね……

ねえ、この写真見て？　ベッドの上で君と幼馴染がキスしてるところ。

昨日撮ったんだけど、これが勉強会なのかな？

は？　勉強はした？

いや、そこを疑ってるわけじゃないの。

こんなこと、私に隠れたつもりでしてたんだって怒ってるんだよ？

……え？　なんで私が怒るのか？

逆に聞いていいかな？

毎朝一緒でキスまでした相手が他の異性と仲良くしてるんだよ？

嫌だよね？　問い詰めたくなるよね？

え？　そもそも朝君の隣にいるのは私の勝手？

そういうこと、言うんだ？

君もそんなに拒んでないかなって思ってたんだけどな……

つまり君は、私の気持ちは勝手なものだから、こうして監禁して問い詰める理由にはならないって言いたいんだよね？

……そんな都合のいい考えが通るとでも？

仮に私の君との恋愛的関係が成立しなくて、確かに勝手な行動になるとしたら……

この監禁だって私の勝手になるでしょ？

だから、私が君を監禁していることに正当な理由なんていらないね。

かといって私だって無意味な監禁はしないよ？

君と幼馴染の関係をちゃんと断って、私しか見えないようにしないとって思ってるんだ。

でも、することは簡単だよね。

私がずっと君の隣にいればいいんだもん。

誰も寄せ付けず、君の人生の登場人物を君と私だけにしちゃうの。

恋心も欲望も、私にぶつける以外なくなっちゃえばいいんだよ。

私を拒めない君が大好き。

私に逆らえない君が大好き。

私しか見えない君が大好き。

私が全てな君が大好き。

これからは毎朝じゃなくて、君の過ごす時間ずっと、私と一緒だよ。

これは、私の勝手な命令。君は、命令に背けるかな？

・台本（ゆるボイ！）
同級生は今朝も僕の隣に
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩