10年前にその田舎から上京して社会人になり帰省したあなたは自分を出迎えてくれた女性に違和感を覚える。
どこかで出会った気がする、何か大切なことをこの人に伝えた気がする。
それ以上に何かもっと違和感を感じる。
何か頭の中で大切なことが抜け落ちてるような気がする…
忘れたい、でも忘れたくない何か。
マタアイニキテホシイダレカノキオク

それでさ〜、それが面白くってさ〜
（インターホンが鳴る）
？おばさーん、誰か来たの〜？
え！？久しぶり！おっきくなったね〜、最後にあって何年ぐらいだ？10年ぐらいかな？
そりゃこんなに背も伸びるわけだ。
うんうん、昔から君はハンサムだと思ってたけど私の目に狂いはなかったね！
どう？新社会人として生活してひと段落ついたけど。
ん？さっきからどうしたの？
最高レアリティが単発で当たったみたいな顔して。
あっ、それを言うなら鳩が豆鉄砲を食ったような、か。
あははははは…
えぇぇぇぇぇぇぇ！？
私のこと覚えてないの！？
嘘ぉ！？驚きのあまりお姉ちゃんリアルに膝から崩れ落ちちゃったよ…。
いや、にしてもショックだわ…
いつからこんなに冷たい子になっちゃったのかしら…
やっぱり東京が君を変えてしまったのかしら…よよよ…

冗談冗談ww
10年前って言ったら結構前だもんね。
それに私もその頃は結構忙しくて今みたいなお盆の時期ぐらいにちょっと一休みして君と遊んだりしたぐらいだから覚えてなくても仕方ない仕方ない。

まぁ、10年前の君は私にまた会いに来てなんて言ってくれる可愛いショタっ子だったんだけどね。
存在を忘れられてるとは…いやはや…つれぇですなぁ…

近所に住むお姉さんとかなかなか忘れないと思うんだけどなぁ…結構他人からしたら羨むシチュエーションだと思うよ？羨ましすぎて台本だって書けちゃうよ。マジ羨ま。（興奮気味で）
え？作者が憑依？なにそれーwしてないしてないw

あっそうだ、そんなことより！今、買い物行こうかって話をしてて叔父さん達が車出してくれてるんだけど君はどうする？行く？

そっかぁ、まぁ今来たばっかりだもんね。
じゃあ私も行かないでおくよ。
君とゆっくり話したいこともあるし。

暑かったでしょー？
今、お茶入れたげる。
ほい、どうぞ。
いやぁー暑いね〜。ほんとなんでこんな暑いんだろ。
いや、あっつ！クーラー入れてんのに暑すぎる…
死ぬ…リモコンリモコン…あった…暖房！？
……クーラー壊れてるんですけど…嘘ぉ…
最悪…汗が…気持ち悪い…
お風呂入ろっかなぁ…
君はどうする？お風呂入る？
おっけ、じゃあ入ろっか。
は？一緒に決まってんじゃん。
なにそんなに驚いてんの？
いいじゃん昔も入ったんだし今も変わんないってw
そんなに照れなくてもいいじゃん！
早くお洋服脱いで！
ほら早く入ろ！いいじゃん、ねぇ、ねぇねぇねぇ（必死さが怖い感じで）

ぽ

どうしたの？何か思い出したような顔してるね。
どうしたのかな？
何か思い出したのかな？
知り合いにこんな背の高いお姉ちゃん居たっけって思ってる？
それとも白いワンピースに帽子を被った女の人に思い当たる節でもあるのかな？

ぽぽ

私、知ってるよ。
君、女性恐怖症なんでしょ？
君がそうなったのがいつからなのか覚えてる？
そう、10年前。
10年前に何があったか覚えてる？
覚えてないのね。

ぽぽぽ

私はなんで君が10年前のことを忘れたのかも知っている。
君の家族がお寺に君を連れて行って10年前の女性恐怖症の原因である記憶を消してもらうように頼んだからなの。
そろそろ君も何か分かってきたんじゃない？

ぽぽぽぽ

君は10年前にとある女性に初体験を奪われた。
その女性は君の親族の知り合いを装って君の家族に紛れ込んだ。
それはのちに怪異であることがわかった。
しかし時すでに遅し。君は助からなかった。
その女性に好き放題され、初めての体験に戸惑い女性に恐怖を感じるようになった。
そうして貴方の親御さんは貴方をその怪異が手の届かないところへ送った。
数年は君をこの村に入れないだったり色々対策はしていた。しかし10年も経てば意識も変わる。

なによりも一番の問題が誰にも知られず残っていた。
どうしてもその女性のことを忘れることができなかった君はお寺に連れて行かれる前にその怪異を封印しているというお地蔵様を壊してこう言ってしまった。

また会いにきて。と。

ぽぽぽぽ

会いに来たよ。

・台本（ゆるボイ！）
きっと貴女が会いに来る。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
烏丸