スタジオレインで公開している動画作品をフリーシナリオとして公開します。
https://www.youtube.com/watch?v=6QcUZhCzCQU&t=1s

ある日の晩に突如窓から現れたサキュバスの女の子。
目的は若い男からエネルギーを吸い取ること。
しかし、吸い取ろうとしても中々うまくはいかず、悪戦苦闘をしながらも
主人公と仲良くなっていくドタバタラブコメディ三作目

(ドアのインターホンの音)

おはようございます！
今日も来ましたよ！

(ドアの音)

見てください！
今朝妹と一緒に山菜を
摘みに行ったので、
山菜の天ぷらを作りました！
おすそわけです！

タラの芽と明日葉の天ぷら好きですよね？
あなたがこの間おすそ分けをした時、
美味しそうに食べていたので
頑張って取ってきたんですよ！さあさあ！
一緒に食べましょう！

おじゃまします！

(少しの間)

んっふふ♪
朝早く起きて取りに行ったんです。
早起きは健康にいいですよ。

さあどうぞ。
…おいしいですか？
そうでしょうそうでしょう♪

そうやっておいしそうに食べてもらえると
私が腕によりをかけて作った甲斐が…

(思い出したように)

はっ。か、勘違いするな！これは策略です！
あなたに良質な食材を提供することによって、
強烈に誘惑してくる悪質な砂糖の塊たちから
身を守ってあげているのです！健康管理です！
血液をさらさらにして待っていやがれ！です！

(普通にもどる)

あ、そうだ。
近所の直売所で美味しそうな
タケノコを見つけたので、今度さばいた
タケノコをおすそ分けしに来ますね！

…ん？どうしたんですか？
さっきからスマホをチラチラみて…。
え？最新式のゲーム機が手に入らない？

あ～…最新式のゲーム機ですか…
(上から目線で)

ふっふっふ。
実は私、持っていますよ。
見たいですか？見たいですよね！？

特別に見せてあげます！
それはこれのことですね！

軽くて無機質な材質を感じつつも
どこか温かみを感じるフォルム…。

これがゲームなんですね。楽しいです。
私のお母さんが作ってくれました。

私のお母さんはなんでも
作ってくれる自慢のお母さんです。

家にあった不要なダンボールから
このゲーム機を生成してくれました。

私はスマホを持っていないので、
ゲームといえば将棋くずしや
五目並べのイメージしかないのですが、
これがあれば私がスマホを持っていない事を
バカにしてくるちびっこ達を見返せます！

はっはっは！
どうだ、うらやましいだろう！

あなたを含む、みんなが手に
入れられないものを持っている
という優越感がたまりません！

ふふふ、でもあなたなら特別に
触らせてあげてもいいですよ？

私と妹だけで遊ぶのは
なんだか申し訳ないので。

…な、なんですか
そのかわいそうな
生き物を見る目は！

やめてください！
温かい目でこちらを
見ないでください～！

このゲーム機は楽しんですから！
セロハンテープが必要ですが、
自分でキャラクターが描かれた紙を
切り取ってゲーム機に登場させられます！
妹と一緒に毎日遊んでいるんですから！

…。

え？紙で書かれた
キャラたちがかわいいですか？
ふ、ふーん。あなたは見る目ありますね。
そうでしょうそうでしょう。
(うれしそうに)

現在お母さんがゲームで遊べる
かわいい動物のキャラクターを
制作してくれています。

それまでキャラクターが住む村を
作ろうと思っています。

そうだ、あなたもゲームに配置する小物を
作るのを手伝ってください！

どうやら妹によると、
花壇を作るのはもちろん、
家まで作れるみたいです！

このゲーム機があれば
創作意欲が湧きますね！

面白いゲームです！
早速紙と段ボールを用意しますね！


(時間が経って)


ふぅ…うーん。
はっ！もうこんな時間ですか。
夢中になりすぎました。

制作はどうなりました…?
ってなんで怪獣と
ロボットを作ってるんですかぁ！

私の村は平和主義ですよぉ！
ねこちゃんやわんちゃん達は
ロボットに乗って戦いません！

へ？お願いした家と家具を
もう作り終えてたんですか？

ぐぬぬ…あなたって
結構なんでも出来ますよね…。

私も作りました！見て見て！
和室に囲炉裏です。

いいでしょう。いいでしょう。
これでキャラクターたちに禅の心を…

(お腹の音)
はっ！断じて違います！
私のお腹の音ではありません！

こ、これは
油断していたなんて断じてありません！

へ？ホットケーキを作ってくるって？
本当ですか！？

あなたの作るホットケーキは
本当においしいのでたのしみです！

家でも極たまにお母さんが
ホットケーキを作ってくれるのですが、
卵や小麦粉の代わりにお豆腐を
ベースに作っているので、
あまりおいしくなかったりするのです…。

というかほぼ純度100%の豆腐の炒め物です。
最近まで何も疑わず美味しくない
ホットケーキと認識していました。

(少しの間)

はぁ～！
綺麗なまんまるな形に
美味しそうな匂いがします！
(感激するように)

それでは遠慮なく、いただきます！

うぅ…たまごの味と
小麦粉のあじがするぅ

うちのホットケーキは限りなく
お豆腐の味がするものなので、
つなぎがあって
固形物なだけでも感動します！

これが粉物のあじ。
弾力があるパンの生地は
あまいはちみつとバターの
香りとの相性が抜群です！

これは何枚でもいけそうです！
むぐっ！むぐ！はふ！もふ、もんぐ！

ん～おいひいです～！
(涙目になりながら)

もふもふ、もぐもぐ。
んぐんぐ…ごくん。

はぁ…なんという至福な時間。
幸せいっぱいで
もうサキュバス人生に悔いは…。
…ほへ？サキュバス？

はっ！そうでした！
(思い出したように)

ふっふっふ…。
私自身居心地がよくて
すっかり忘れていましたが。

私はサキュバスです！
あなたの精力をうばわせていただきます！

私を絶好調にさせたのが運の尽き。
大好物を食べた私はパワー満タンです！
今日こそあなたを骨抜きに…

って逃げるのか貴様！
へ？お替わりを持ってくるって？

はぁ～ありがとうございます！
それじゃ遠慮なく..。
(うれしそうに)

んぐんぐ。
ん～、おいひいです～！

って違います！
はぁはぁ…あぶなかったです…。

危うくまたあなたのペースに乗せられて、
いつものように穏やかに過ごし、
たくさん遊んだ後お家に帰るところでした。

最近いつものように気持ちよく
12時間眠っていると、
夢の中にご先祖様が
登場するようになりました。

その度にご先祖様に叱られています。
捕食対象であるあなたの精力を
いつになったら吸引できるのかと…。

私が夢の中でご先祖様を
無視してお布団に潜り込んでも、
ご先祖様のお説教はおわりません！

説明が長くなりましたが、
ご先祖様のお怒りをおさめ、
私の快適な睡眠ライフを
守るためにあなたと形だけでも
敵対させていただきますよ！

くらえ！ひっさつ！
うどんタックル～！

(倒れる音)

必殺技の名前は決して
今即興で考えたものでは
断じてありません！

うどんが食べたいです！
大きいお揚げが入ったきつねうどん！

御手を拝借します。
う～。はっ！
エナジードレイン～！

ふっふっふ。
敵である私にパワーを
与えたのがあなたの運の尽きです！

しかし、あなたはいつも
全力で立ち向かう私を
平然とかわしてきます。

なのであらかじめネットで
奥の手を調べておきました。
ネットでは男子は…ってあれ？

どうしたんですか？
いつもなら私の
エナジードレインをうけても
けろっとしているのに。

なんで気を失っているんですか！
おきてください～！

無反応…。完全に気を失っています。
大丈夫ですか？痛かったですか！？

…もしかして
私のパワーが上がっている？

それともよくある設定で
ご先祖様の加護的な何かが
私に備わったのでしょうか。

いえ、ご先祖はそんな
能力はないはず…。

そ、それにしても
ついにやりましたよ！
ご先祖！ついについについに！

いつも戦いにならず
いい雰囲気に丸め込まれてきた
因縁の戦いに終止符を
打つことができました…!

これでもうこの家に通わなくても…。
………っ。

今日まで短い間でしたが
私にとっていい強敵でした。

強敵であるあなたに
勝利することができたのは
うれしいですが……

サキュバスとして
ここに来れなくなるのは
同時にさびしくもあり…。

精力は生命エネルギーなので
吸いすぎると危ないので
次に吸えるターゲットを
探さなければなりません。

これまで財布を忘れてレジに
お菓子を持って行ってしまった時に
お金を貸してくれたり、
小学生達に絡まれた時も
助けてくれたことは感謝します。

しかし、あなたがこのまま
精力が枯渇してしまい、目が覚めない事に
なってしまったとしたら、私はこれから
誰に手料理をご馳走したり、
ご馳走されたりしたらいいのでしょうか…。

…はっ！
このままだと妹を数に入れなかったら
私のお友達は近所のワンちゃんしか
いなくなってしまいます。

森で出会った小動物達は
出会いがランダムすぎて友達の
数に入れられません！

んぐ…。
何か私の理想通りに
事が進んでしまうと
違和感があります！

ほんとはいつもみたいに
ノーダメージなんですよね？
無理しなくてもいいんですよ！？

(ゆさゆさ揺らす)

ははは！
その手にはのりませんよ！
何度あなたに騙されたと
思っているんですか！

ん～！
演技はわかったので
起きてください～！

…。

んぐぐ。
魂が抜けたように動きません。
こうなれば吸い取った
精力をこの方に戻して
力を取り戻してもらいます。

せっかく苦労して
吸い上げたのに戻すとなると
ご先祖にまた小言を
言われてしまいますが
背に腹は代えられません！

失礼します。
このままくっついて体に触れていれば
私の体を伝って力が流れていくはずです。

ぎゅ…。

しかし私はあれだけ
この方の精力に固執していたのに
また戻したいなんて
思うのは複雑な心境です…。

すでに眠っていますがよりエネルギーが
流れるように耳元で
サキュバスの息を吹きかけます。

ふー、ふー、ふー。
(息吹きかけ)

ふー、ふー、ふー。

気持ちよく眠ってますね。
私が心配しているのを
よそに呑気なものです。

ん…。
心臓はちゃんと動いているし、
寝息もあるから命に別状はありませんね。
よかった…。

さあ、もう少し続けますね。
うんしょっ…。

っと…。
少し恥ずかしいですが、
あなたの顔を私の胸に当てて…

ぎゅ～...
私の鼓動が聞こえますか？
(ささやき)

トクン…トクン…
トクン…トクン…
と脈をうっていますよね。

あなたが気を
失っているから出来る事です。

体を密着させて、
私の心臓に近ければ近いほど
あなたの元へ力が
戻りやすくなるはずです。
(ささやき)

まだ目は覚めてないですよね？
…よし。

うぅ…こんな大胆なことは
本来好きな男性ができた時に
やってあげる事だと思います。

ぎゅ…
ぎゅ…

私はまだ好きな方が
できたことがないので、
このようなことをするのは
あなたがはじめてです。

正直顔が熱くなるぐらい
恥ずかしいですが…

恥ずかさよりも…
いつも通り元気になって欲しいから。

妹に抱きつく時はなにも感じないのに、
いまは緊張で鼓動がはやくなっています。
なぜでしょうか。

これはより早く力を送るためですからね。
勘違いしないでください。
私とあなたは敵同士なんですから。

ふぅ...ふぅ...
ふーふー
(耳元に息を吹きかける)

ふーふー
いつも息を吹きかけるとあなたが
ぴくっと動くので、
その姿を見られないのが
残念です。

ぎゅ～
ぎゅ～

…。
これだけ力を送れば安心ですね。

ああ、エナジードレインの連発と、
私のパワーを流し込んだせいで
頭がくらくらしてきました。

私の疲れ具合からしておおよその
パワーを注ぎ込めたようです。

少し眠ったらおそらく
通常通り目がさめるはず。

それまで私も一緒に眠りますね。

それにしても、いつも一方的に襲撃兼
遊びにくる私を受け入れてくれて
ありがとうございます。

またいっしょに…
目が覚めたら…あそんでください…

くーくー
くーくー
(サキュバスが寝てしまう。)

少しの間

くーくー
ん～…はっ！
能力を使いすぎて
眠りすぎてしまいました！

能力が枯渇して、
貧血のような感覚です。

空腹で歩くとフラフラします…。
ちょっとパニックになって
力を送りすぎました…。

はっ！いつから眠りから
覚めていたんですか！？

体はなんともありませんか？
体が動かないとかは？

…へ？エナジードレインが
発動する前に、うどんタックルで
気を失ったふりをして
そのままの流れで熟睡してた？

昨日は徹夜でアニメを
見てたから寝不足だったって…。
紛らわしい事をしないでください～！

あ、いえ、
この状況は…ちがいます！

サキュバスの能力的に、
私の心臓付近に相手の顔を
近づければ近づけるほど威力を
発揮できるのです～！

さ、はやく私から離れてください！
私の所為ではないとわかったので、
もう心配しませんから！

ふう。体が熱くなりました。
しかし、やっぱり
私のエナジードレインは発動して
いなかったのですね。

通りで精力を
吸い上げたはずなのに全く
力が湧き出ていないはずです…。

なのに…なのになのに！
私は自分のパワーをあなたに
流してしまったので力が出ません！

うぅ…すごく肌の艶が
良くなりましたね…。
私はおかげさまで貧血気味です。

んぐ…もとはといえば
あなたが紛らわしい事を
するからですよ！

私のエナジードレインが
効き過ぎて死んじゃったと
思っちゃったじゃないですか！
心配したんですから！

この借りは大きいですからね！
魔族の執念深さを
舐めないでください！

ふっふっふ。
100年経っても私の
執念はあなたの子孫まで及ぶのだ。

いつ貴様を襲うかわからない執念の恨み、
びくびくしながら末長く待っているがいい！

ということで、
もう当分あなたのことを許しませんからね！
ん？どうしたんですか、いきなり動いて…。

あ…ほ、ホットケーキ…ですか。
んぐ…。私を懐柔するつもりですか…?

ば、馬鹿にするな！
私は誇り高きサキュバスの一族。
ホットケーキごときで
丸め込まれたりはいたしませ…!

(お腹の音)
…っ。
こ、これは泣いていない！
ホットケーキの事を考えると
自然と目汁が溢れてくるのだ…。
なぜなぜどうして目から汁が止まらない！

ひ、卑怯だぞ！
あなたはどんな魔族よりも狡猾で、
意地悪です！

魔力を使い果たした私に対して、
魔族でもしないような卑怯な取引を…！

んぐぅ..。
こ、これで勝ったと思うなよー！

いただきます！
はぐ、んぐ、もふ、もぐもぐ！

うぐ、んぐうぅぐ！
もぐもぐ！

んぐ、おいひい！
おいひいでうー！(泣きながら)

んはー！
ごちそうさまです！
あなたのホットケーキは
いつもおいしいです！

また来ますから！
またリベンジしますから！

それまでたくさん
お料理のレパートリーを
増やしておいてください！
ついでに枕を濡らしてまっていろー！

あと徹夜は不健康なのでちゃんと
寝てくださいね！
夜11時にはベッドインしてください！

それじゃまた！
また一緒にゲームしましょうね！
おじゃましました！

(ドアの音)

・台本（ゆるボイ！）
頭が弱いサキュバスの精力吸収作戦♡３
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ふかひれどん@スタジオレイン☔