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落ちこぼれ先輩を守ろうと、冷酷なヤンデレ叔母に立ち向かい……
written by バルビュス
  • 学校/学園
  • カップル
  • お姉さん
  • ヤンデレ
  • 年上
公開日2021年08月15日 01:34 更新日2021年08月16日 20:23
文字数
2922文字(約 9分45秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
男子高校生。両親は海外勤務
場所
学校及び視聴者の自宅
あらすじ
海外勤務の両親に代わって保護者となった叔母だが、それは監視とも言っていい冷たいものだった、
苦しむ主人公は同じように孤独に佇む女子高生を見つける。
しかし叔母はようやく見つけた居場所をも否定しようとするのだった。
勇敢に立ち向かう主人公が知った真実とは。
本編
もしもし、おはよう。

成績表と健康診断結果、確認しました。

いずれも良好ね。

今後ともこの水準を維持するように。

あなたからなにか報告することは?

……ないのね。

じゃあ、また来月に……なに、やっぱりあるんじゃない。

……一緒に食事?

そんな時間はないわね。

というか、あなた何か勘違いしてない?

姉さんたち……あなたのご両親が事業で世界各地を飛び回っているから、
わたしが二人の代理としてあなたの指導監督にあたっているというだけ。

血縁関係上やむを得ないと思っているけど、馴れ馴れしくされても困るんだけど。

変な下心を持つ暇があったら、あなたの学校のOGでもある
私の顔を潰さないよう学業に励むことね。

それじゃあ、改めて来月に。





うわあ……これが君の叔母さん?怖いねえ。

君の話だけでも怖いのに、音声で聞いちゃうと本当にすごい迫力だね。

ねえ、どんな顔してるの?写真とかさ……。

持ちたくない……うん、わかるよ……最後にあったのが小学生の頃だったら、
顔もあんまり覚えてないよね。

ごめん、変なこと聞いちゃったね。

え、暗い話題でごめんって……そんな、気にすることないよ!

むしろ……私に言えてほんの少しでも心が楽にならなかった?

……そっか、よかったあ。

この教室で初めて会ったときはさあ、夕日がとってもきれいとか、
他愛もない話で終わったけど、なんか、心が暖かくなったんだよ。

その後も、私の話すことといえば失敗したとか、うまくいかないとか、
体さえ良くなればとか、そんなことばかりだったけど、
君はただ黙って聞いてくれた。

教室に夕日が差し込むと、体がポカポカするけどさ、
私、心もポカポカするようになってたんだよね。

かっこわるいところや、悩んでいることも素直に打ち明けられる、
お互い本当に思っていることを言い合える、
君とはそんな仲でいたいの。

これからもお互い心を温めあおうね。





もしもし、おはよう。

成績表と健康診断結果、確認しました。

いずれも良好ね。

今後ともこの水準を維持するように。

……ところで、あなたのほうから
報告すべきことがあるんじゃないかしら?

……知らないって、とぼけても無駄よ。

……もういい、猶予期間は与えたんだから遠慮しないよ。

あなたと交際を始めた女子生徒のこと。

……甘く見ないでよね。あなたからの報告だけ受け取って
終わりだと本気で思ってた?

姉さんたちからも指導監督に使えってことで、
まとまった額のお金も預けられてるし、人を雇って調べさせてもらったの。

まああなたくらいの年齢なら交際自体は無理もないけど、
相手ってものを選びなさいよね。

素行に問題は見られないがろくに授業に出席しないで留年つづき、
退学処分寸前って……なにこれ。

病気のせいって……言い訳はあなたからのものだけでお腹いっぱいよ。

こんな落ちこぼれに割いている時間なんてあなたにはないはずよ、
即刻絶交を言い渡しなさいあなたがやらないなら私が言います!

さあ、好きなほうを選んで。

……あなた自身がやると。

わかりました。

最後に、三日後に話があるので、そちらに行くから。

それまでに片付けといてね。





待ってたよ、会いたかったんだから!

ねえ聞いて、検査数値がどれも良くなってるんだって!

君と出会ってからなにもかも少しずついい方向に動き始めたと思うんだ、
本当にありがとう。

私ね、やり直そうと思うの。

放課後に空き教室に入って登校したふりなんかやめる。

周りからなんて言われても、学校に通い直すよ。

これで君と一緒に登校できるね。

それとさ、このガイドブック見て、この教室もいいけど、

他のところにも行ってみない?このお店とかどう?

この間勇気を出して一人で行ってみたからさ、案内できるんだ。

いい加減先輩らしく、君をリードできなきゃね。

……さっきから顔色が悪いけど……やっぱり私と外を歩くのは嫌?

それとも……なにかあったの?ひょっとして例の叔母さんと……。

……そ、そうなんだ。

……もう、君に近寄るなってことね。

……君の保護者でしょ?そこから言われたんならどうしようもないよね……。

……こ、これで、君とは……これっきりで……。

え、本当に思っていることを聞かせろって、本当だよう!

こんな私を優しく受け止めてくれる君が、私のせいで、
ほんの僅かでも苦しむなんて、そんなの、そんなの耐えらんないよう!

だから私は君とお別れするしかないんだ……でも……
君が遠くに行っちゃったらまた私は……一人。

またこの教室でうずくまって一人ですごすしかなくなる……
それももう嫌。

どっちも本当だよう!

どうしよう、どうしよう……。

……それ、本当?

どんなことがあっても私を守ってくれるのね。
ずっと一緒にいてくれるのね。

……わかった、君を信じるよ。

君の叔母さんにはなんて……ええ、今夜来るんだ!?

そのとき話し合うんだ……わかった、私も一緒に行くよ。

止めないで、さっき一緒にいてくれるって約束したでしょ。

二人で立ち向かって、乗り越えるんだ。





……男の人の部屋って初めて来るなあ。

うん、わかってる、まず私が叔母さんに挨拶して、
その後は君が説得するんだよね。

……よし、時間だね、さあ来い!

……来ないねえ。

……どうしたの、君の顔すごい汗。
向こうは機械じゃないんだから、そりゃ遅れることもあるでしょ。

まあ……君がそうなるのもしかたないか。





あなたと話すときはいつも時間ぴったりに通話を始めてたからね。

……あらら、完全に固まっちゃって。

やっぱりオバさんの制服姿なんて、
若い男の子が見たら引いちゃうのかなあ。

なんてね。

ようやく気づいた?

あなたの落ちこぼれ先輩の正体は君の叔母さんでしたー。

ってこと。

そんなに驚かなくてもいいでしょ、私と姉さんが何歳違いだと思ってんの?

あなたとはそれこそ姉弟と言っても通るよ。

なんでこんなこと……って、とぼけても無駄よ。

夕日の差し込む教室で、だべってた女の子を見つけるって、
あなたの本棚の二段目、左から五冊目のライトノベルの
主人公とヒロインが初めて出会うシーンじゃない。

開き癖がついているくらいだから、お気に入りでしょ。

私も二人の再会シーンにぴったりだと思ってさあ。

やっぱり私たち、波長もぴったりだね。

本当はこの姿でもっとたくさん思い出を作りたかったんだけどね。

でも抜け道いくらでも知ってるとはいえ、学校にはそう入れないし、
あなたが「先輩」のことを調べ始めれば、こんな嘘すぐバレちゃうし。

なにより……わたしはあなたが小学生の頃からずっと狙ってたんだけど、
そのあなたがすぐ側にいて、
私に夢中になってくれたんだって思うと、
もう我慢が効かなくなっちゃったの。

ちょっと、へたりこんじゃって大丈夫?

いきなりいろんなことが起きちゃったからね、しょうがないか。

今日は二人でゆっくり休も。

でも明日からは忙しくなるからね、あなたの荷物、
全部私の家へ運び出さなくっちゃ。

姉さんたちが感づく前に作っておかなきゃいけない
既成事実がたくさんあるんだから。

え……これからどうすればって、簡単だよ。

ほんのついさっき、こんなふうに私を堅く抱きしめて誓ったでしょ、
どんなことがあっても君を守るって。

あなたは勇気を振り絞って私から私を……フフフ、守ってくれたんだから、
あとはずっと一緒にいてくれればそれでいいのよ。

もう誰にも渡さない。
絶対に離さない。

落ち着いたらさっき紹介したお店に行きましょうね。

一緒に食事って、あなたの方から言い出したことだからね。

それからまた……二人でゆっくり、あの教室で夕日を眺めましょうか。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
落ちこぼれ先輩を守ろうと、冷酷なヤンデレ叔母に立ち向かい……
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
バルビュス
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