邪気眼系の中二病を患っているヒロインと、公園デートをするお話！

天の神が微笑んでいるようね
『いい天気だね～！』

灼熱（しゃくねつ）の業火が我が身を焦がす
『う～ん、日焼けしちゃいそう……』

否！　豊穣（ほうじょう）の神を称え、我、汝（なんじ）と共に顕現（けんげん）せん！
『でも、こんな日はお外で過ごさなきゃ、勿体ない！』

天地創造の７日目――迷える魂が現世を彷徨（さまよ）う
『せっかくのお休みだし、お散歩ついでにピクニックに行かない？』

で、ででで、デート？！　ま、まぁそうかな！
君がそのつもりなら、デートってことにしても、良いけど～！

えへへ～……そっか。……デート……
……――はっ！　……こほん

ククク……契約は成った！　いざ行かん、エデンの園へと！
『えへ、それじゃあ行こっか』

【自然公園へ移動】

魔が放ちし瘴気（しょうき）すら、浄化されていくようね！
『う～ん、空気が美味しいね～！』

生命の息吹、眷属（けんぞく）達の声、我を称える声が心地よい
『葉擦（はず）れの音、鳥達の声、とっても癒されちゃう』

それに～、君と一緒に居るから、いつもより景色が綺麗に見えるかも……
――な、なんでもない！　なんでもないよ！　なんでもないったら！

うあ～、もう！　――と、問おう！

汝のお腹は満腹か？！
『お腹空いてる？！』
今こそ狂乱の宴を！　ヴァルプルギスの夜の開幕よ！
『お昼ごはん作って来たから、一緒に食べよ？』

汝の願いを叶えし、禁じられし供物
『君の好物も、たくさん作って来たんだよ！』

さぁ、魂の安息としようではないか
『お腹空いてるでしょ？　ほら、こっちに座って！』

【広場へ移動】

災厄の箱よ！　覚醒の時来たれり！　その混淆（こんこう）なる秘めたる力を解放せよ！
永劫（えいごう）の時を超え、出でよ！　
『お弁当、オープン♪』

ククク、これぞ我が究極魔術――……その……ど、どうかな？
本当？！　やったぁ！　えへへ～、よかったぁ……
……――はっ！　……こ、こほん！

ハーッハッハ！　我が究極魔術に恐れ慄いたか！
『美味しそうに食べてくれて、嬉しい！』

集いし星が呼び起こす、光射す道！
『オムレツも上手にできたの！　食べて食べて！』

王者の鼓動、今ここに群れを成す！　天地鳴動（てんちめいどう）の力を見るがいい！
『ミートボールも、たくさん作ってみたの！』

漆黒の帳（とばり）下りし時、冥界の扉は開かれる！
『おにぎりもあるからね！　中身は、割ってからのお楽しみ！』

絶対零度の紅き雫――！
『喉が乾いたら、冷たい紅茶もあるからね！』

我が胸を天使たちが叩いていたわ
『すごく緊張したけど、作って良かった……！』

此度（こたび）の魔術は、法の書を解読するようであった
『レシピ本をはじめて読んだけど、結構難しかったよ～』

えへへ、本当に嬉しいなぁ……

…………。……契約者よ。古の誓約（せんやく）その魂に刻まれているかしら？
『昔、約束したよね。こうやって一緒にご飯を食べようって』

オリュンポス神の導きも、永劫とはいかぬ
『でも、パパは外出をあまり許してくれなかったから、ずっと約束を果たせなかった』

我が父は、偉大なる魔王ぞ！　……然（しか）し……
『もちろん、パパは大好き！　でも……』

翼の折れしエンジェル……
『今のままじゃ、ダメなの』
……パパから聞いたの。
私は、ママにとって「生きた証」なんだって

ママは生まれつき体が弱かったからか、
自分がいつ天国に導かれるか、わかっていたみたいでね

パパとの愛の証をこの世に残したい一心で、私を産んでくれたの

ママには、私を産まないでパパと少しでも長く一緒に生きて、
幸せな時間を作るっていう選択肢だって、あったと思う

でも、そうしなかった
自分の命を賭けて、私を産んでくれた

ママがどんな覚悟で私を産んでくれたのか
それはまだ、こどもの私には計り知れないけど……

自分の命を賭けてでも、愛する人との「生きる証」を残したいという気持ちは、わかるわ

すごく、すごく悩んだ。
この答えを出すまで、とってもかかった

でも、決めたわ。私は、ママの「生きる証」だから
ママができなかった分も、精一杯、自分の気持ちのままに生きるの

それが、ママが私に託した願いだから

…………今のまま、君と友達で過ごしているのは、楽だと思う
関係を進めるのは、怖いことだもの
良いことだけじゃなくて、きっと悪いこともあると思う

……怖い。怖いわ。
怖いけど……それでも伝えるわ――！

すぅー……ふぅ。すぅー……はぁ……
…………。あのね、その、私は……えっと
君に伝えたいことがあってね……

だから、その、えっと、えっと……

――汝、健やかなるときも、……って、ち、違う！　違う違う！
違わないけど、ままま、まだ早いっていうか、その、あの……！

えっと、えっと……

我の力に焦がされぬよう、我が寵愛を受けよ！
『私ともっと一緒に居てください！』

……や、やり直させて……
次はちゃんと、君の目を見て言うから

すぅー……ふぅ。すぅー……はぁ……

――好きです。私の恋人になってくれませんか？
……うぅ、うううぅぅう……恥ずかしぃ……

こ、言の葉は不得手、地獄の業火に焼かれるが如く！
秘めたる意思を伝える秘術は無いものか……っ！
『もっとたくさん伝えたいことがあるのに、恥ずかしくて言えない……っ！』

な、汝の答えを！

【聴き手「ＯＫ」の返事をした想定】

――っ！　ほ、本当……？
本当に、本当だよね……？　やったぁ……！

えへ、えへへ……どうしよう、嬉しくて顔が戻らないよ
すっごく幸せなのに、ドキドキしすぎて心臓が爆発しちゃいそう

ククク……ハーッハッハッハ！
我が真紅の邪眼の元――契約は今ここに成った！

新たな世界の扉、我が右手と汝が左手で、共に押し開けようぞ！
『これからは恋人ととして、一緒に居てね』

私、自信がついたよ！
君と恋人になれたんだもん、きっと友達だってすぐにできるよね！

ママの分までたくさん、たっくさん楽しいことをして、
いつか天国に行った時に、私の話をいっぱいしてあげたい！

私を愛してくれるパパに、いつも良くしてくれるメイドさんに、恩返しがしたい！
君と一緒に世界を見て「生きた証」を残したい！

……あっ、え、えっと、その生きた証っていうのは、
最初は思い出とかで、……その、あ、あかちゃ……とかは……
も、もうちょっと段階を踏んでからお願いしたいなぁって……！

でも、私が一人前になって、パパに認めて貰えるようになったら、
２人のあ、ああ、あああ――愛の証……も。
の、残そうぞ！！

ククク……我らが力、魔王に示さん！

……？　魔王は、魔王だよ？
だって私、君の恋人になったんだよ？

正式にお付き合いを認めて貰うために、パパに報告しなくっちゃいけないわ！
パパを説得するのは、魔王討伐より大変だから、気を引き締めないと！

聖戦に向かう前に、まずは宴よ！
しっかり食べて、万全の状態で戦場へ赴こうぞ！！

ククク、魂が猛（たけ）るわ……！

フフ、フフフフ、ハーッハッハッハッー！！！！

・台本（ゆるボイ！）
†邪気眼系中二病お嬢様の告白†
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
しおぱいたん