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天才エンジニアが喪った恋人をデータ復元して幸せになる話。
written by しおぱいたん
  • インモラル
  • カップル
  • 恋人同士
  • シリアス
  • ファンタジー
  • 切ない
  • ヤンデレ
  • サイコパス
公開日2021年09月09日 16:36 更新日2021年09月09日 16:36
文字数
3399文字(約 11分20秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
ヒロインが高校生の時、最愛の恋人(聴き手)が事故に遭い、意識を「アースガルズ(人間の精神をインターネット上に移せる技術)」に移した。
恋人(聴き手)の意識データを抽出し、人工的な肉体に定着させる技術を研究。意識の抽出、肉体への定着に成功した。

しかし、定着の際に記憶データが崩壊。
復旧できず、複雑な感情を抱いて生活していたある日、聴き手が「喪っている筈の記憶」を思い出す。

聴き手は確かにまだ生きているのだと理解したヒロインは生気を取り戻し、いちゃらぶ生活のために努力するのだった!
というシチュエーションボイス!!
本編
……あ、起きた? おはよう。今日は早いね
私? あ~、私は今から寝るところ~……

いや~、なんていうか夜中って静かで誰にも邪魔されないからさ、
ついつい夢中になって作業しちゃうんだよね
本当は暗い内に寝たいんだけど、気が付いたら朝になってんの

不思議だよね? 特定の時間軸まで一瞬で移動しているとしか思えないよ
この問題の解決は、ちょっと難しそうかもね~

あはは、冗談だって。わかったよ。もうちょっと早めに寝るようにする

それで、調子の方はどう? 身体に異常はないかな?
例えば……思考に靄(もや)がかかったような感覚があるとか、手足の痺れとか

そっか、なら良かった。……まぁ、私が用意した肉体なんだから、
不具合なんて起こるはずが無いんだけどね~

あはは、よく知ってるね。正解~。私に人体の知識はないからね~
その肉体は、知り合いの研究者に作ってもらったやつだよ
私がやったのは、キミの人格データを肉体に反映した事だけ

あの娘もなかなかいい感じにイカれててね~
人体のすべてを解き明かすんだ~ってず~っと研究しまくってるんだ

可笑(おか)しいよね。この世で一番人体に詳しいのにさ、
睡眠時間削りまくって、人体に悪影響な事ばっかりしてるんだから

……まぁ、研究者って人種は、大体頭のネジ吹っ飛んでるんだけどね~

ん~? うん、そうだね。私も吹っ飛んでるよ~?
まともな神経してたら、人格データを人工の肉体に定着させようとかしないでしょ

だって、それって死者をもう一度蘇らせるのと同じことだからさ
もしも神様が居るとするなら、大激怒間違いなしの所業(しょぎょう)だもん

もしかしたら、無間(むけん)地獄とかに落とされちゃうかもね?

あはは。ず~っと責め苦を受けるだけとか暇そうだし、
生きてるうちに、脳内だけで解けそうな問題をストックしておかなきゃだね~

実際に地獄の仕様を分析してみるのとかも面白そうかもね
どのくらいの罪状を悪にするのかな? 地獄間(じごくかん)の移動方法は?
咎人(とがびと)の蘇生方法は? 獄卒(ごくそつ)はどんな生き物に近いのかな?
興味が尽きないよ

だって、神様が本当に存在するなら、この世に仕様書があるってことでしょ?
きっと、神様同士でウォーターフォール開発とかしてるんじゃないかな?
うーん、でも神様が1人なら、アジャイル開発とかもあり得るかも?
全知全能って言うくらいなんだから、1人で創ってもおかしくないよね~

……アースガルズを創るだけでも、私達は何十年もかかったっていうのに

電気やインターネットの発明までを開発期間に含めるなら、
数百年単位で時間がかかってる、とも言えるかな

そ~んな途方もないことを、1人でやるなんて、神様はバケモノだよ~

ん~? あー、そっか、まだその話をしてなかったっけ
アースガルズっていうのは、仮想現実空間を構築して、
死んだ人間の人格データをインターネット上に保存する技術のこと

要するに人工的な天国、みたいなイメージかな
元々は私の研究じゃなくて、お爺ちゃんから引き継いだものなんだ

何人もの研究者が集まって創り上げた、叡智(えいち)の結晶
それが、アースガルズっていう技術ってわけさ

……お爺ちゃんは、ずっとアースガルズの研究にお熱でさ
自分の死後、アースガルズを管理できる人間を用意するために、
小さい頃から色んな知識や技術を叩き込まれたよ

私は超天才だから、その目論見(もくろみ)通り管理者に成ったわけだけど……
正直最初は、まったく乗り気じゃなかったよ

……別に信心(しんじん)深かったわけじゃないけどさ、
生命には寿命があって然るべきだと思ってたから

だから、自然の摂理に反したアースガルズがこの世にあること自体、
あんまり気持ちの良いものじゃなかったんだ

……だけど。キミが交通事故に遭って生死を彷徨(さまよ)ってるところを見て、
私は一切の躊躇(ちゅうちょ)なく、キミの意識をアースガルズへ転送した

矛盾してるでしょ? 自分でもドン引きの掌返しだった

良く思っていなかった技術をためらいもなく使い、
強制されてきた勉強も、これで役立ったんだって納得して……
自分の中で、それまであった倫理観が崩壊した気がしたよ

私にとって、キミっていう存在は、自分の倫理観を捨ててでも、
他の何を犠牲にしてでも、失いたくない存在だったんだ

……天才だからって理由で腫れ物扱いしてた人達とは違って、
キミは、私を1人の人間として見てくれたから

あはは、まぁ、他に友達とかも居なかったからかもしれないけどね

研究者で仲良くさせて貰っている人達も居るけどさ、
こんな風に気兼ねなく話をできるのは、キミだけだもん

…………なんて。……照れくさくて、
長口上(ながこうじょう)を並べちゃったけど……

簡潔に言うと、ラブ。アイ・ラブ・ユー
キミのことを、愛してるんだよ

この愛は、今は一方通行でも良いんだ
キミに、私と恋人だった時の記憶が無くても、良いの
だって私は、キミと一緒に生きるためにキミを引き戻したんだから

でも、すぐにまた惚れさせてあげるから、覚悟してね

……っと、そろそろ仮眠を取っておかないとかな
アースガルズの再構築も今週中に終わらせておかないといけないし

早めに仕上げないと、ま~た暴動が起きちゃうからね~
まったく、天才使いが荒いったらありゃしないよ~

……ん~? コラコラ、な~にを突っ立ってるのさ?
キミも一緒に来るんだよ? ほら、こっちこっち

【ヒロインの寝室へ移動】

さて、と。じゃあ、ちゃんと私が寝るまで手を握っててね~
え~? 折角キミの体を用意して触れ合えるようになったんだから、
寝るときくらい、甘えたって良いでしょ?

それに、……寝ている間なら、キスくらいまでは許してあげるからさ
あはは、冗談冗談。いや~、本当にキミはからかいがいがあって面白いよね

うん。2時間くらいしたら、起こして
たぶん全然起きないと思うから、本気で起こしてね

あはは、それじゃあ、おやすみ

【聴き手「おやすみ、シキちゃん」と言う想定】

【記憶にある筈のない『呼び方』に驚いて起き上がる】――え?
…………いま、私のこと、シキちゃん……って呼んだ?

私、キミが受肉してから、呼び方のことなんて教えてないよね?
……別に、記憶が無くても、言うような呼び方だけど……
キミ、ほぼ初対面の女性相手に”ちゃん付け”なんてできないし……
……アースガルズに干渉して、キミの人格データを引っ張り出した時に、
記憶データの抽出には失敗したはずなのに……
私の知ってるどんな知識にも該当しない、おかしなことが起こってる……

……あは、あははは、あはははははっ……!
すごい……すごいなぁ……っ。これは、科学で説明がつかないことだよ

本当に神様が居るのかな? 解明できていない未知の法則があるのかな?
私の組み上げたソースコードが、断片的に記憶データを抽出したのかな?

…………ううん。今は、全部どうでも良いや……
嬉しい……っ。……またキミに、呼んで貰えてすごく嬉しいよ……っ

あははっ……、すっごく驚いた顔してるよ
やっぱり、全部の記憶を取り戻したわけじゃないんだね

でも、私は、すごく救われた気分だよ……
正直ね、記憶データの抽出に失敗して、人格データだけで受肉が成功した後、
キミがキミであることの確証を得られなかったんだ

……それが今、まさに、キミがキミであることの証明が成された
キミは、本当に……っ、帰ってきてくれていたんだね……っ

ありがとう、ありがとう、帰って来てくれて……っ
もう、どこにも行かないでね……ずっと、ずっと私と一緒に生きて……

もしもキミが終わるとしても、二度とアースガルズになんて転送しない
キミが終わるときには――、私も一緒に終わる

私達の気持ちも、人生も、決意も全部――私達だけのものだから
精一杯生きて、魂に刻み込もう。私達が生きた証を……

…………。……あはは……ごめん。ちょっと感極まっちゃった
記憶が戻ったって言っても、断片的に戻っただけだもんね

……ふふっ。仮眠取ろうと思ってたのに、目が覚めちゃったよ
いや~……人間はモチベーションに動かされるっていうのは、
よく言ったものだよね

睡眠不足でコンディションも最悪なはずなのに、
今なら、速攻でアースガルズの再構築を終わらせられる自信があるよ

……さっき、すぐに惚れさせてあげるから覚悟してね、って言ったよね
ごめん、キミに覚悟の時間はもう無いや

超特急で仕事を終わらせて、猛烈アプローチする
たぶん3時間くらいで終わるから、覚悟を決めたいならその内に

それじゃあ、またあとでね。――ダーリン♡
【恋人時代聴き手が「シキちゃん」呼びで、ヒロインが「ダーリン」呼びだった。
 呼び方の記憶が戻ったので、「ダーリン」呼びにした、という想定です】
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
天才エンジニアが喪った恋人をデータ復元して幸せになる話。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
しおぱいたん
ライター情報
サークル「ぱいたん工房」のしおぱいたんです!

当サイト開発&運営のサークル「減塩旅団」の代表もしています!
※「ゆるボイ!」に関するお問い合わせは、チアリちゃん(公式twitter)へご連絡ください~!

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YouTubeで投稿したことのある音声作品の台本となっています。

色々な活動をしていくので、今後ともご贔屓に~!!!!
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