〜試合編〜

はじめまして！わたしが今日の対戦相手です！

よろしくお願いします！

え？どうかした？

あたし、何かおかしなこと言ったっけ？

あ、なるほどね！

通訳なしでも話せてるのがすごいってことか！

やはは！いや〜、それほどでも！

うん、実は君の国の言語を喋れるように勉強したんだ！

えっとね、これからあたしたちは国と国との親善試合をするわけじゃない？

なんていうか、お互い国の威信をかけて戦うわけだけど…えーと…

やっぱりそれでも戦うのは、あたしたち生身の個人じゃん？

だからその、えーっと…

直接戦う相手とは通訳とかそういう、壁？みたいなのを介さないで向き合いたいっていうか…

あ、あー！ごめん！あたし、バカで！

言いたいこと、うまく伝えられなくて…

と、とにかく！あたしが君との試合を楽しみにしてたってこと！

ん？…そうそう！あたしはこの国の騎士！

自分で言うのもなんだけど、結構強いよ！

そういう君こそ、東洋の国の、優れた剣の使い手…

たしかサムライ？っていうんだっけ？

そうそう！そのサムライっていうのと一度戦ってみたかったんだ！

あ、君も楽しみにしてくれてたんだ？嬉しいなぁ！

うん！君の期待を裏切らないように頑張るね！

あ、そろそろ時間だ。準備しないと。

そうだね。お互い全力、手加減なしで戦お！



お疲れ！すっっっごく、良い試合だった！ありがとう！

ううん、こちらこそ！

こんなに全力出したのは久しぶりだよ！

君、想像以上に強かった！ホントに！

あはは！ありがと！

これでも一応、この国の上に立つ身だからね。

弱いと誰もついてこないし、示しもつかないから。

あれ？言ってなかったっけ？

あたし、この国の姫だよ。

ついでに騎士団長もやらせてもらってる。

あ、あー！そんな畏まらないで！

剣と剣を切り結んだ仲じゃん！

今さら遠慮し合いっこはなしだよ！

そうそう！お互い全力でぶつかった者同士、対等だから！

それに結局、時間切れで決着つかなかったし。

そ、勝負も引き分けだし、どっちが上とかそーいうのはなし！

だからさ…これからは友達ってことで！

改めてよろしくね！

君のことは、えーと…サムライ君って呼ばせてもらおうかな。

もー、姫さまとか堅苦しいよ！

騎士ちゃんとか、ひーちゃんとかでいいんだよ？

むー…ちょっと堅いけどまぁいいや。

そーいう頑固なところもサムライの特徴って聞いたし。

あ、あたし、もう行かなきゃ。

うん、そっちの使いの代表とお話ししなくちゃいけないから。

あ、サムライ君！今日はホントに楽しかった！ありがとう！

うん、また戦お！次こそはちゃんと勝つからね！



〜来訪編〜

サムライ君、久しぶり！

そそ、あたし！覚えててくれたんだ。よかった〜！

あ、今日はちょっと仕事でね。

そうそう。国同士のお付き合いってことで、今度はこっちから使節を派遣することになったんだ。

え？そうだよ？使節の代表があたし。

一仕事終えたから、ちょろっと抜け出してきちゃった♪

どーどー！大丈夫大丈夫！

ホントちょっとだけだから！平気平気！

そーいうことだからさ、この辺案内してよ。



わー！綺麗な川！

これ、水遊びしていいかな？

ふふっ…それ！

隙だらけだぞ、サムライ君♪

あ、今のは王室秘伝の技、水鉄砲！

子どもの頃、よく練習してたんだ〜。

ぶっ！……ふふ、サムライ君もやるね…

こうなったら…戦争だー！



はぁはぁ…年甲斐もなくはしゃいじゃった…

えー、サムライ君だってムキになってたじゃん。

お互い様だよ。

ふふっ。でも楽しかった。

こんなに思いっきり遊んだの、子どもの頃以来だなぁ。

さーて、そろそろ戻らなくっちゃ。

いい加減、みんなに心配かけちゃうからね。

え、なに、どうしたの？小指なんか出して。

ゆびきりげんまん…

へ、へー、東洋ってそんな恐ろしい風習あるんだ…

え？針千本飲ますのは方便みたいなもの？

なーんだ、よかった〜！

万が一、約束守れなかったらホントに針千本飲まされるのかと思った〜！

うん、そういうことなら…約束、しよっか。

次に会った時はあの時の試合の再戦するってことで。

どっちが勝っても恨みっこなしね！

ゆーびきーりげーんまーん、うーそつーいたーら、はーりせーんぼーんのーます、指切った♪

うん、約束ね。

あ、そうだ。

せっかくだし、勝った方が負けた方に何か好きなことを要求できるってのはどう？

じゃあ、あたしは…サムライ君をお婿さんにする！

うん！あたし、サムライ君みたいな優しくて強い人が好みだから！

サムライ君は？あたしに何かしてほしいことある？

もちろん、いいよ。

観光でうちの国に来るっていうんなら、案内してあげる。

また会えるの、楽しみにしてるね♪



〜再戦編〜

サムライ君、久しぶり…ってほどでもないか。

うん、ちょっとね…あれから色々あって…

ねぇ、サムライ君…

いきなりでゴメンだけど、あたしと結婚して。

うん、ホント急なのは分かってる。

でもあたし、このままだと好きでもない人と結婚させられちゃう…！

政略結婚っていうやつかな？

今あたし、国内の高位の有力貴族の息子と結婚させられそうになってるんだ…

うん、直接会って話したけど…

この人とは無理だなって思った。

自分の生まれを鼻にかけてつまらない自慢話ばっかりしてきて…全然楽しくないよ…

けど父上はこの縁談を強引に押し進めようとしてるみたいで…

あたし、嫌だって何回も言った。

でも父上はあたしの意見なんか全然聞いてくれない。

父上だけじゃなくて、周りの人もみんな、この縁談に賛成してるみたいで…

父上も他のみんなも、有力な貴族と繋がることはこの国の安泰に繋がるの一点張り。

だから、ここまで逃げ出してきちゃった…

ねぇ、お願い。あたしと結婚して。

あたし、結婚するならあんな男よりサムライ君の方がいい。

サムライ君はいつもあたしと本気でぶつかってきてくれたから…

あたし、生涯を共にする人くらい自分で選びたいよ…！

サムライ君、お願い…！

あたしのことを助けると思って…！

え…なんで、なんでそんなこと言うの？

あたし、本気だよ？

本気でサムライ君のこと好きなんだよ？

姫さまは周りに迷惑をかけるべきじゃないって…

そっか…サムライ君までそんなこと言うんだ…

サムライ君ならあたしの気持ち、分かってくれると思ったのに…！

もういいよ…そういうことなら、あたしにも考えがある。

サムライ君、この前の約束覚えてる？

そう。あたしが勝負に勝ったら、サムライ君をお婿さんにするってやつ。

今からあたしと勝負して。

サムライ君に勝って、あの時の約束、守ってもらうから。

やだ…ヤダヤダ！

あたしはサムライ君がいい！サムライ君じゃなきゃヤダ！

いいから早く剣を抜いて！

サムライ君は絶対あたしのモノにするから！

勝負だよ、サムライ君。絶対負けないから！



はぁはぁ…やっぱり強いね、サムライ君は。

でも負けない！絶対に勝ってみせる！



勝負有り、だね……あたしの勝ち。

これで分かったでしょ？あたしが本気だってこと。

これがあたしの、サムライ君への愛の証明。

ううん、後悔なんてしないよ。

これはあたしが自分で選んだ道だから。

サムライ君の意思を踏み躙ってでも、あたしはサムライ君が欲しい…！

うん、分かってる。

きっとみんな、反対するに決まってる。

けどそんなの関係ない。

みんなには意地でも、あたしたちの結婚を認めてもらうから。

いきなりは無理かもしれないけど、サムライ君には少しずつでいいから、あたしのこと好きになって欲しいな。

あ、そうだ。結婚する者同士がやることといったら、これだよね。

(キス)

ごめん、式をあげるまで我慢できなくって…

こんなの間違ってるって……ううん、間違ってないよ。

あたしは自分の気持ちに素直になってるだけ。

サムライ君…あたしたち、ずっと一緒だよ？

どんなことがあっても、あたしはサムライ君を見放さないから。

これからよろしくね…あたしの素敵な旦那さま♪

・台本（ゆるボイ！）
誰よりも明るくて強い姫騎士と真剣勝負した結果、強引に求婚される
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎