ある日の夜、自分以外誰も居ないはずの部屋に一人の女性が現れた。真っ暗なローブを身にまとい、キラリと光るナイフを片手にあなたの首元にそれを突きつけた。
あなたの目の前に突然現れた女性の正体は暗殺者であり、助けも抵抗も出来ない状況の為、あなたは死ぬ覚悟をしたのだが……

雷雨)

素足で近づく)

……動かないで、動いたら喉かっ切っちゃうよ

そう、大人しくして。そうしたらもう少し長生き出来る

そう、私は暗殺者。依頼で君を殺しに来たの。いつもなら気が付かれる前に殺すんだけど、今日は気分が違うから、少し話をする

まぁ……今回の依頼が少し引っかかってね。君に幾つか質問をする。それに正直に答えて、別に正解とかはない。私にとってその答えが望ましくなければ君が死ぬだけ

それじゃあいくよ？

君は奴隷売買とかしてる？

してない……か。じゃあ……武器の密輸は？

それもない……じゃあ、この人を知ってる？

写真を取り出す)

知らない……か。そう……やっぱりね

……一体何がって顔だね。まぁ答えてあげる。君、多分罪を被らされてる。しかも結構めんどくさいやつに恨まれてるっぽいね

余程君が邪魔だったんだね。かなり大金を積まれてね……早く殺せって言うんだもん

でもまぁ安心して、私は君を殺さない。というか殺せない

私が所属してる暗殺ギルドの規約に、依頼者の嘘が発覚すれば……暗殺はしないの

運が良かったね。君は死なない。でも……まだ安心は出来ないよ

うん、だって相手は君を殺したいんだよ？暗殺ができないなら……普通に殺してくるでしょ

……気が変わった。君にひとつを提案をする

君……私の夫になれ

何を言ってるか分からない？……理屈は簡単。暗殺ギルドに所属する私の夫になれば、あなたには誰も手を出すことができない

こう見えて私は一応ギルドマスターだし、権力者にも顔がきく

まぁ君の暗殺を依頼したやつは大したことの無い人間、この件に関しては後でどうにでもなる

ちなみに君に拒否権は無い。拒否すればどうせ死ぬ……君はまだ死にたくないでしょ？

だよね、じゃあ君は今から私の夫。私は君の妻

明日の正午、また来る

それじゃあ……

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扉をノックする音)

ガチャ

……どうも、初めまして。この度あなたの婚約者となった男爵家の者です。不束者ではありますが、どうぞよろしくお願いします

……立ち話もあれですし、上がってもよろしいでしょうか？

ふふっありがとうございます、それでは失礼致します

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どうされましたか？先程から…そんなにソワソワされて

……昨日の？よく分かりませんが、何かありましたか？

私とあなたは初対面なはずですが……何かお心あたりがございますか？

数秒空けて)

はぁ……君という男は本当に鈍いね

暗殺者はね、沢山の戸籍を持ってるの。昨日の今日で君が気まずいだろうと思って、わざわざ別の戸籍の人物を演じたのだけど……

そう、男爵家の令嬢。本物はもうとっくの昔に亡くなってるけど……

まぁそんな事はともかく、君の暗殺の件色々進展があったよ

昨日、依頼者が突然死してね。原因は分からないけど……首を掻っ切られた後があったとか、なかったとか……まぁどうでもいいけど

でも、まだ安心はできない。君を疎ましく思ってる人は思ったより多いみたいだ

だからこの男爵家の令嬢という身分を使って、君に嫁入りする事にした

何を目を丸しているんだ？昨日言ったはずだ、君は私の夫になり、私は君の妻になる

だが、暗殺者という身分では出来ない。だからこの身分を使って、正式に書類を通し婚姻する

傍目から見れば貴族同士の結婚だ。まぁ色々何かしら予期せぬ事があるかもしれんが、その辺は私とギルドに任せればいい

外ではこの身分でいるが、君の前だけでは素を出させてもらう。それで構わないだろ？

飲み込みが早くて助かるよ旦那様。それじゃあこれからよろしく頼む

……だが、一点問題がある。すまないが、私は生まれてこの方恋愛等をしたことがない

だから……旦那様、ご指導ご鞭撻の程を頼む

・台本（ゆるボイ！）
俺を〇しに来たはずの暗殺者ちゃんと婚約しました
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ゆぅ