学校の帰り道、気分を変えいつもとは違う道を通っているあなたは運命的な出会いをする
駅前、多くの人が行き交う中、一人の少女がギターを片手に音楽を奏でていた。
お世辞にも上手いとは言えない演奏だったが、あなたは彼女の何かに惹きつけられ、気付けば彼女の奏でる音楽に夢中になっていた。
一通り演奏が終わり、大きくため息を吐いた彼女にあなたは意を決して声をかけたのだが……

…はぁ、今日もお客さんは0か〜。分かってはいたけど、プロまでの道は険しいな…

って、あ、あなたは…！も、もしかして…いや、もしかしなくても…さっきの私の歌…聴いてくれてましたか？

そ、そうですか…ありがとうございます！…その、もし良ければご感想的なのを頂けませんかね…

…え、震えるぐらい最高だったですか…

涙声)…あ、すみません。あまりに嬉しすぎて…涙が……こんなつもりじゃ…無かったんですけど

ありがとうございますお兄さん。私の歌を聴いて褒めてくれたのはお兄さんが初めてです…

…え、ファンになってもいいかって……も、勿論です！と、というかむしろファンになってくれるんですか！？

あ、ありがとうございます！！その…なんだか心の底から報われた感じがして…私…凄い幸せです！

お兄さんが私のファン第一号ですね…ふふっ

あ、あのお兄さん…もし良ければこの後、もう一曲だけお付き合い頂けませんか？？

ありがとうございます！

そ、それでは聞いて下さい…『夢』

ギター)

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って、君何見てるの？そんなに熱心にスマホなんか見つめちゃって…私にも見せてよ

えーー見せてよ！そんな必死に隠されたら気になるじゃん！このままじゃライブに集中できないよ？それでもいいのかな？

ふふっ、相変わらずこの手は君には効果抜群だねー。どれどれ…拝見させて頂きますよーって…

ちょ、ちょっと！！こ、これ…デビュー前どころか君がファン一号になった時の奴じゃん！な、何でこんなの残してるのよ！

…え、大切な思い出だから…なの？……そっか、これさ懐かしいね。もうこれ何年前かな…君がファン一号になってから色々頑張ったなぁ…

色んなとこで路上ライブしたり、ライブハウス借りてほぼ観客0の中もやって…最初は全然だったけど、どんどんフォンが増えてきて…

なんかアニメとか漫画みたいだよね…ファン0人のアーティストが路上ライブから…こうやって武道館でライブ出来るようになるなんて…

それもこれも君のおかげだよ。あの時君が私の歌を聴いてなきゃ…今の私は無かったと思う…いや、なかったね

な、なんか照れくさいけどさ…ほんとにありがとうね

ファン一号からリピーターに、マネージャー…そして私のパートナーか。私も大概だけど、君も漫画みたいな人生だね

…あ、言おうと思ってたんだけど…このライブが終わったらさ…私引退して君と結婚したいの

え、聞いてないって？うん、今初めて言ったからね…

そのさ…私はもう十分良くやったと思うんだ。これまで休まずに駆け抜けてきてさ…少し休息が必要だと思うんだよ…そしてそれは君も同じ

それにさここまで色々忙しくて、君とそういう時間取れなかったしさ…もうそろそろ君に甘えたいなって思ったの

ははっ君の真っ赤な顔最高に可愛いね！

って…そろそろ出番みたいだね。さ、君！行こうか！またあの時みたいに私の歌…一番近い場所で聴いてね！

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みんなーー来てくれてありがとう！！

歓声)

私、ついにここに来れて今すっごい幸せです！それもこれもみんなのおかげです！

歓声)

今日は私にとってもみんなにとっても忘れられないライブにしよう！

それでは聞いてください…『夢』

・台本（ゆるボイ！）
無名アーティストのファン一号になった話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ゆぅ