あなたはある女性F1レーサーのチームに所属するエンジニアです。
彼女は世界一のF1レーサーでありながらも、高飛車でプライドの高く、手がつけられないほどのわがままなお嬢様だった。
彼女に接する全ての人が彼女に媚びへつらうのに対して、あなたは彼女に対して遠慮することなく、彼女と意見の衝突が多かった。
そんなある日、レース前夜の車庫であなたは彼女の乗る車のパーツの最終調整をしていた所に彼女が現れ…

扉を開ける音)

あーー流石にもう誰もいないわねって…

キャ！…あ、あんたまだいたの？

驚かさないでよ！明日レースなのよ！ビックリしてこけて怪我したらどうするのよ！

ふん！まぁいいわ。ところであんた何やってんのよ。もう夜中の二時なのよ

…部品の確認？なんで？さっきみんなでしてたじゃない

…私が怪我をしないようにって…

わ、私が怪我する訳ないわよ！これでも私は世界一のF1レーサーよ。そこらの有象無象とは違うわ

…なによ、不満そうな顔して、何か文句があるの？いちエンジニアのあなたがこの私に！

…え、そういう油断が一番怖い？

…はぁー何をいうかと思えばそんなこと？油断なんかしてないわよ。私は絶対王者よ、勝つべくして勝つの

王者たる者、事故なんて恐れてはいけないの。…仮にレースで死んでも本望よ！あなたには関係な--

何かを叩く音)

ヒッ！…な、何よいきなり！頭でも打ったの！？

って、なんで泣いてるのよ…

…え、私の前にレーサーだった人の話を知ってるかって？

し、知らないけど…それが何？

…え、レース中の事故で亡くなった？部品の不良が原因で…

……べ、別にあんたのせいじゃないでしょ。F1レースは危険なの…予期せぬトラブルもある世界よ。その人だって、覚悟はあったはずよ

…え、その人の家族も後を追ったってどういうことよ！ま、まさか…

…そう、だからあなたは…いつも夜遅くまで整備をしてるのね。二度と同じ過ちを起こさないように…

でも、それはそれよ。私は大丈夫。あなたが心配する事ないわよこんな女…って

抱きつく)

な、何急に…！ちょ、ちょっといきなりどうしたのよ…！

…え、私のことが好き？…な、なにそれ面白い冗談じゃない。あんたが私を…？

…冗談じゃない、本当に好きって…な、なにそれ…いきなり過ぎない？こういうのはも、もっとこう…夜景が見える高級レストランとか、クリスマスの夜にツリーの下でとかみたいなロマンチックな雰囲気を…想像してた

べ、別に嫌じゃない…けど…、なんで今日なのよ

我慢できなかったって…ば、バカぁ

涙声)

ほんとは…明日のレースに勝った後、あんたに告白するつもりだった…

なに…驚いてんのよ。私があんたみたいなのを好きになる訳ないと思ってた？

バカ…私は…結構前からあんたの事が好きだった

なんでって……それは言わなきゃダメかしら？

…分かった

…私はね、確かに最強のF1レーサー。でも、それだけでしかなかった。みんな、私を私として見てくれない。みんなの目には私とういう人間は映ってないの…『世界一のF1レーサー』『史上最強の女レーサー』みたいな称号でしか私を見てない

それはチームのみんなも一緒、私を腫れ物を扱うように、なるべく怒らせないように、どんなわがままでも聞いて、誰も文句を言わない！…それで気づいたら…こんなにブライドの高い女になって、より一層…みんな離れてって…

でも、このチームにきた時にあんたに会った。トレーニングに来ない私を叱って、私がふっかけた無理難題を拒否して、平気でプライベートにも口出して…うざい、うざかった！…でも、嬉しかった

私を私として見て、こんな私と正面から向き合ってくれた…そんなバカでうざくて、優しいあんたが大好き…

正直に話すとね、私もうレーサー出来ないの

…少し前から目に違和感があってね。病院に行ったの…そしたらさ、病気だって…レースはもう無理だって
　
嘘じゃないよ…次のレースで私は引退。正直…これであの邪魔な称号が無くなるって考えるとせいせいするって思っってた…

…でも…でも…！レースができない私に、走れない私に誰が興味を持つの？

あんたは確かに私を見てくれた…でも、それでも…走ることを辞めた私をあなたがどう思うか…不安だった

だから…最後に勝って、あんたに告って玉砕するつもりだった……でも、それは叶わなかったのね…

囁き声)さっきの…返事返す…私、あんたの事が好き！大好き！世界で一番大好き！愛してる…だから…あんたも私のことを愛して…お願い…

キス)

ん！……あ、や、柔らかいあんたの唇。私のファーストキス…

え、引退したら一緒に暮らそうって…ほ、本当に？う、嬉しい…私…今、世界で一番幸せだ

明日のレース、あんたに捧げる。私の全てをあんたに…いや…あなたに

あなた…愛してる

キス)

・台本（ゆるボイ！）
プライド高めなF1レーサーの彼女に愛の分からせをしたら泣いて愛を囁かれた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ゆぅ