生徒に厳しい先生は、ある日、あなたを生徒指導室に呼び出した
私の受け持つ教科で赤点など断じて許さん
あなたは先生の補習を受ける事になる

(ＳＥ：学校のチャイム)

今日の授業は以上だ。

明日はここからやる。

予習と復習を怠るなよ。

それと、お前。

お前には話がある。

放課後、生徒指導室まで来い。

分かったな？

分かったら返事をしろ！

ふん、それでいい。

では、待っているぞ。

(間)

(ＳＥ：引き戸が開く音。ガラガラなど)

来たか。

そこに座れ。

ふむ……お前は何故、自分が呼ばれたのか分かっているか？

(間)

その様子では、分かっていないようだな。

はぁ……。

(ＳＥ：机を叩く音。バン！など)

中間テストの点数だ！

何だこの点数は！

お前は私を舐めているのか？

何故こんな点数を取るんだ。

(間)

お前の他の教科の点数など知らん！

他がどうだろうと知った事ではない、が！

私の受け持つ教科で赤点など断じて許さん！

何故、お前をここに呼んだかだが、補習の為だ。

もうすぐ期末テストだ。

中間テストでこのような点数を取ったお前を放っておく訳にはいかん。

今日から毎日、放課後は私がマンツーマンでみっちり指導してやる。

(間)

８０点だ。

最低でも８０点は取ってもらう。

お前以外は全員、８０点以上だ。

お前の赤点さえ回避させられれば、私はそれでいい。

では、今日の補習に移るぞ。

(間)

お前……お前は……どうやったらこんな点数が取れるんだ！

教えてすぐにテストをしてこれか！？

お前の記憶力はどうなっている！？

特にここだ！

この時の作者の気持ちを答える問題！

「作者じゃないので分かりません」

お前はアホか！！

確かに誰しもが１度は思った事だ！

そんなもん知るか！と。

気持ちは痛いほど分かる！

分かるがここは我慢しろ！

決められた解答をしろ！

それとここもだ！

女がこの男に惹かれたのは何故か。

その理由となる文章を書き出せ、という問題。

文章を書き出すんだ。

答えはテスト問題の中にあるんだ。

だが、お前の答えと来たら。

「顔がタイプだったから。イケメン許すまじ」

何だこの意味不明な解答は！

こんな答えの問題があってたまるか！

この愚か者が！

大体、お前もイケメンの部類に入るだろうが！

私好みの顔しやがって！

あっ、いや、今のは言葉の綾だ！

それよりもだ！

お前、いつもこんな解答してないだろ！

何故、今日はこんな解答をした？

普段も間違っている事に変わりはないが。

(間)

答えないか……。

まあ、強制はしないさ。

話したくないなら、それでもいい。

だが、補習はしっかりと受けてもらうぞ。

よし、続きだ。

補習の後に小テストを行う。

８０点以上を取れば、今日の補習は終わりだ。

(間)

ふむ、そろそろ小テストと行こうか。

制限時間は５０分だ。

では、始め！

(間)

よし、採点が終わったぞ。

９６点、合格だ。

やれば出来るじゃないか。

まさかとは思うが、わざとふざけた解答を書いていたのではあるまいな？

おい！今、目を逸しただろう！

図星だな！？

図星なんだな！？

お前、どういうつもりだ！

私の仕事を増やすのが目的か！

わざと点数を落とす受験生が居るか！

愚か者！

(間)

な、なな……私と２人きりになる為だと！？

それって、つまり……。

わあああああ！！

ま、待て！早まるな！

お前と私は生徒と教師だ！

それだけは許されん！

お前はまだ高校生だ！

私は今年で２９歳、かっこ処女かっことじだぞ！？

(ＳＥ：壁ドンされる音(――の所で))
こんな歳の離れた女より、同世代の女の子にしてお――ひゃあっ！？

これって壁ドン……やだイケメン……。

ひゃあ！？

お、おい！

私の股の間に足を入れるな！濡れるだろうが！

ではなく、本当にいい加減にしろ！

これ以上は駄目だ！

(間)

なに？

迎えに行くまで待っててくれ、だと？

おい、冗談だろ？

私は２９歳だぞ？

ただでさえ婚期を逃しそうなのに、お前を待っていろと言うのか？

ま、まあ、出会い自体がないのだが……。

うぐぐぐぐ……。

分かった！

３年だ！

３年間だけ待ってやる！

私の連絡先を教えておくから、３年以内に迎えに来い！

過ぎれば、この話はなしだ。

迎えに来られるようになるまで、連絡は一切してくるな。

分かったな！

今日の補習はここまでだ！

さっさと帰れ愚か者！

(間)

全く……強引な奴め。

勢いであんな約束をしてしまったが……大丈夫だろうか……

私……来年……三十路……。

あああああ！

(間)

(かじかむ手に息を吐く)
はぁー、はぁー。

だいぶ寒くなってきたな。

手がかじかんで痛い。

ん？

おい、遅いぞ。

私をどれだけ待たせれば気が済むんだお前は。

遅刻し過ぎだ。

そういう所は、昔から変わらんな。

コホン。

デートに彼氏が遅れてきた時の私の気持ちを答えよ。

(間)

正解だ……って、分かってるなら遅れてくるんじゃない！

この愚か者！

ほら、さっさと行くぞ。

お前が遅刻したせいで、予約時間ギリギリになりそうだからな。

今日は付き合い始めて、ちょうど３年の記念日だろう。

そんな日に遅刻してくるんじゃない。

それと、来月は結婚式だぞ。

今からこんな調子では、結婚式が不安だよ。

全く……仕方のない奴だなお前は。

ほら、早く行くぞ。

・台本（ゆるボイ！）
優しい女教師
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
如月英梨