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- サキュバス / 淫魔
公開日2022年01月13日 22:58
更新日2022年01月13日 22:58
文字数
2655文字(約 8分51秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
上司の騎士
視聴者役柄
その部下
場所
指定なし
あらすじ
瀕死の重傷を負った女騎士との会話。
皇女護衛の極秘任務を請け負ったあなたと、あなたの上官の女騎士は、その任務の最中、突如として暗殺者集団の襲撃を受ける。
命からがら逃げるが、その最中、女騎士は瀕死の重傷を負ってしまう。
なんとか追っ手を撒き、洞窟のような隠れる場所を見つけ、そこに隠れる二人だったが、彼女の傷は思いのほか深く、見つかるのも時間の問題。
そんな一幕。
※タイトル変更は可能です。
【注意】
・台本に咳き込むシーンがありますが、咳のシーンを表現上苦手に感じる場合はカットして構いません。
・台本上キスシーンがありますが、リップ音の規制があるサービスを利用する場合、ここは無音にしてください。
皇女護衛の極秘任務を請け負ったあなたと、あなたの上官の女騎士は、その任務の最中、突如として暗殺者集団の襲撃を受ける。
命からがら逃げるが、その最中、女騎士は瀕死の重傷を負ってしまう。
なんとか追っ手を撒き、洞窟のような隠れる場所を見つけ、そこに隠れる二人だったが、彼女の傷は思いのほか深く、見つかるのも時間の問題。
そんな一幕。
※タイトル変更は可能です。
【注意】
・台本に咳き込むシーンがありますが、咳のシーンを表現上苦手に感じる場合はカットして構いません。
・台本上キスシーンがありますが、リップ音の規制があるサービスを利用する場合、ここは無音にしてください。
本編
ゲホッ! ゲホッ!
クソ、手酷 くやられたな……。
少し、休憩にしよう。
一応、追手は撒 いたはずだ。
(どさりと座る)
見つかりにくいところに横穴があってよかった。
怪我はないか?
良かった。安心したよ。
君が傷ついていたらどうしようかと、撤退しながら気が気ではなかったんだ。
私か? 見ての通りだよ。
利き手の右こそ無事だが、左は折れて使い物にならない。
足だって立つのがやっとだ。
連中、多分だが毒の武器も使っているな。
傷口が焼けるように熱い。
腹部も貫かれていて内臓も物理的に傷ついている。
まあこれは……まあまあ致命傷……だな。
つまりまあ……、コンディション的にはまずまずといったところだ。
そんな顔するな。私は……まだ死なないよ。
君だって聞いたことがあるんだろう? 私の噂を。
そうだよ、その『純粋な人間じゃない』っていうやつさ。
それは事実だ。
私の祖母 はサキュバスでね。
私には四分の一、魔族の血が流れているんだよ。
とはいえ、だから何かできるというものでもないけどね。
せいぜいこんな風に、少し死ににくいことと、
多少のエナジードレインが使えるくらいだ。
ゲホッ、ゲホッ……。
流石に痛いな……少し、話を続けても良いか?
その方が……気が紛れる。
ん? ああ、突然消えた姫様なら無事だし、
任務も成功だよ。
私たちが襲われた時点で成功だ。
さすがに、あの数で襲ってくるのは予想外だったがな……。
けほっ、訳がわからないって顔をしてるな。
100人の護衛を付けた大行列で姫様の護衛をしていると見せかけ、
そこが注目されている間に、少数精鋭、私と君の二人で姫様を護衛して王都へ向かうという極秘任務。
そう……聞いていただろう?
けれど、それすらも偽情報 だ。
敵を欺 くには、まず味方から、とはよく言ったものだ。
本物の姫様は今頃もう、100人に護衛され、無事王都に到着している頃だろう。
つまり、……ゲホッ……逆賊 と内通 している者がいることが確定した。
あとは反応を見れば、誰が内通者かは自 ずとわかるだろう。
まあ、大方の予想はついている。
今頃は捕らえられているだろう。
ああ、私たちが護衛していたのは幻術だよ。
姫様が突然消えたように見えたのはそういうことだ。
姫様本人はおろか、影武者の一人も死んじゃあいない。
うちの宮廷魔術師殿は優秀だからな。
ゲホッ! ゲホッ! ……。
ふふふ……、困ったものだ。
騎士というのは守る戦いには無類 の強さを誇 るが、
既に勝った戦いではその力を発揮しきれない。
いや、特殊な能力とかの話じゃあない。
気持ち、精神のあり方としてね。
私はさ、既に勝利条件を満たしてしまっているんだよ。
襲撃者をこちらに引き寄せた時点で既に勝ち、
その上、君に傷ひとつ付けずに立ち回れたのだから、
これはもう百点満点といってもいいだろう。
ゴホッ! ゴホッ! ……。
百点だよ。君がなんと言おうと、私の中ではね。
さあ、もう行け。
私のことは置いていくんだ。
君は無傷だ。
敵の目を掻 い潜 って逃げるのは造作 もない。
……。
ダメだ。行け。
君は任務の前に言っていただろう。
この任務が終わった後、想い人にその想いを告白する……って。
私はね……心配だったよ。
そういうことを言う奴はだいたい、命を落とすと相場は決まっているんだ。
だから、……君は行くべきだ。
運命の女神の気が変わらぬうちに、
戦乙女 が君の魂の光に目を付けヴァルハラに連れ去ろうとする前に。
ゲホッ、ゲホッ!
私はもうダメだ。
……確かに、魔の血を引く私ならば、
そうすぐに死にはしないだろう。
けれど、治療術もなしに回復はできない。
ここにいても事態は好転しないだろう。
いずれ奴らに見つかって、命を奪われる。
……実をいえばね。私はここまで気力だけで来たんだ。
本来ならばもっと早くに動けなくなっていたはずだ。
だけど、君を。
君のことを守りたいという気持ちで……、
その気力だけで何とか逃げ延び、ここに隠れることができたんだ。
けれど、もうダメだ。
さっきも言っただろう?
ゲホッ、ゲホッ……。
私はもう、勝利条件を満たしてしまった。
君がほとんど無傷だと聞いて、安心してしまったんだ。
だからもう、死力を尽くして何かをすることは……、できないんだ。
……。
ゲホッ! ゲホッ……。
……頼む。もう、行ってくれ。
そして、君は……、
君が愛する人にその思いを告白しろ。
君は、愛するもののために、絶対に生きて帰らなければ行けないんだ。
(間)
……エナジードレイン?
なるほど。
確かに、君と口づけや体液交換をして生命力を奪えば、
もう少し回復できて逃げ延びることができるかもしれない。
…………死んでも御免被 る。
君は……接吻 までならば許容 される、と考えている口 なのか?
意外と……、軽薄なんだな……。見損なったぞ。ふふふ。
ゲホッゲホッ!
君の唇を、君が思う大事な人から奪うくらいならば。
私はここで死ぬべきだ。
君は今思いついたそのアイデアを忘れてくれ。
さあ、はやくここから……んっ……。
(キスをされる。間)
ゲホッ! ゲホゲホッ! 馬鹿! この大馬鹿者!
私にこんな狼藉 を! やめっ…………んっ……。
(キスをされる。間)
やめて……。これ以上は、これ以上の口づけは、
意味が、違ってくる……。ん……。
(キスをされる。間)
最低。……君は最低だ。
ゲホッ……。
どうして、やめろと言ったのに、唇を奪った。
せっかく……せっかく君への思いを押し殺していたのに……
あんな口づけをされたら……もう、無理じゃないか……。
君のことが……好きだ。
……嗚呼 、言ってしまった。
言うつもりは無かったのに。
言うべきでは無かったのに。
でも……好き……好きなんだ。
止めておくつもりだったのに……。
胸に秘めたままにするつもりだったのに。
……君が好きだ。
強く、優しい君が、
笑顔が素敵な君が、
いつでも冷静で聡明 な君が、
こんな私にもついてきてくれる君が堪 らなく好きなんだ……。
私は、どうしたらいい……。
死ぬのが……怖い。
こわいよ……。
(間、吐息)
はあ……。
ゲホッ……。すまない。
取り乱した……。
(間)
なに……?
そうか。そうだったのか。
君の想い人というのは、私だったのか……。
ああ、そうだったのか……。
私は、ひどく恥ずかしい勘違いをしてしまっていたようだ。
……。
ああ、私のエナジードレインは半ば自動的に働くものだからな。
君の唇から、少し生命力を貰ってしまった。
……おかげで、少し体力は回復できた。
怪我が治ったわけではないけれど、
今なら……逃げることもできるかもしれない。
えっと、君の方は、大丈夫か?
不調になるほど生命力を奪ってはいないと思うんだが。
良かった。
その……だな。
もう一度、軽いものでいいから、
もう一度、口づけをくれないか?
……。
少し、緊張、するな。
(無音)
……。ありがとう。
初めての接吻が、血の味で申し訳なかった。
そう……だな。
……わかった。生きて、帰ろう。
(立ち上がる)
そして、もう一度、落ち着いて、君とキスがしたい。
……帰ろう。
気を抜くなよ。
クソ、
少し、休憩にしよう。
一応、追手は
(どさりと座る)
見つかりにくいところに横穴があってよかった。
怪我はないか?
良かった。安心したよ。
君が傷ついていたらどうしようかと、撤退しながら気が気ではなかったんだ。
私か? 見ての通りだよ。
利き手の右こそ無事だが、左は折れて使い物にならない。
足だって立つのがやっとだ。
連中、多分だが毒の武器も使っているな。
傷口が焼けるように熱い。
腹部も貫かれていて内臓も物理的に傷ついている。
まあこれは……まあまあ致命傷……だな。
つまりまあ……、コンディション的にはまずまずといったところだ。
そんな顔するな。私は……まだ死なないよ。
君だって聞いたことがあるんだろう? 私の噂を。
そうだよ、その『純粋な人間じゃない』っていうやつさ。
それは事実だ。
私の
私には四分の一、魔族の血が流れているんだよ。
とはいえ、だから何かできるというものでもないけどね。
せいぜいこんな風に、少し死ににくいことと、
多少のエナジードレインが使えるくらいだ。
ゲホッ、ゲホッ……。
流石に痛いな……少し、話を続けても良いか?
その方が……気が紛れる。
ん? ああ、突然消えた姫様なら無事だし、
任務も成功だよ。
私たちが襲われた時点で成功だ。
さすがに、あの数で襲ってくるのは予想外だったがな……。
けほっ、訳がわからないって顔をしてるな。
100人の護衛を付けた大行列で姫様の護衛をしていると見せかけ、
そこが注目されている間に、少数精鋭、私と君の二人で姫様を護衛して王都へ向かうという極秘任務。
そう……聞いていただろう?
けれど、それすらも
敵を
本物の姫様は今頃もう、100人に護衛され、無事王都に到着している頃だろう。
つまり、……ゲホッ……
あとは反応を見れば、誰が内通者かは
まあ、大方の予想はついている。
今頃は捕らえられているだろう。
ああ、私たちが護衛していたのは幻術だよ。
姫様が突然消えたように見えたのはそういうことだ。
姫様本人はおろか、影武者の一人も死んじゃあいない。
うちの宮廷魔術師殿は優秀だからな。
ゲホッ! ゲホッ! ……。
ふふふ……、困ったものだ。
騎士というのは守る戦いには
既に勝った戦いではその力を発揮しきれない。
いや、特殊な能力とかの話じゃあない。
気持ち、精神のあり方としてね。
私はさ、既に勝利条件を満たしてしまっているんだよ。
襲撃者をこちらに引き寄せた時点で既に勝ち、
その上、君に傷ひとつ付けずに立ち回れたのだから、
これはもう百点満点といってもいいだろう。
ゴホッ! ゴホッ! ……。
百点だよ。君がなんと言おうと、私の中ではね。
さあ、もう行け。
私のことは置いていくんだ。
君は無傷だ。
敵の目を
……。
ダメだ。行け。
君は任務の前に言っていただろう。
この任務が終わった後、想い人にその想いを告白する……って。
私はね……心配だったよ。
そういうことを言う奴はだいたい、命を落とすと相場は決まっているんだ。
だから、……君は行くべきだ。
運命の女神の気が変わらぬうちに、
ゲホッ、ゲホッ!
私はもうダメだ。
……確かに、魔の血を引く私ならば、
そうすぐに死にはしないだろう。
けれど、治療術もなしに回復はできない。
ここにいても事態は好転しないだろう。
いずれ奴らに見つかって、命を奪われる。
……実をいえばね。私はここまで気力だけで来たんだ。
本来ならばもっと早くに動けなくなっていたはずだ。
だけど、君を。
君のことを守りたいという気持ちで……、
その気力だけで何とか逃げ延び、ここに隠れることができたんだ。
けれど、もうダメだ。
さっきも言っただろう?
ゲホッ、ゲホッ……。
私はもう、勝利条件を満たしてしまった。
君がほとんど無傷だと聞いて、安心してしまったんだ。
だからもう、死力を尽くして何かをすることは……、できないんだ。
……。
ゲホッ! ゲホッ……。
……頼む。もう、行ってくれ。
そして、君は……、
君が愛する人にその思いを告白しろ。
君は、愛するもののために、絶対に生きて帰らなければ行けないんだ。
(間)
……エナジードレイン?
なるほど。
確かに、君と口づけや体液交換をして生命力を奪えば、
もう少し回復できて逃げ延びることができるかもしれない。
…………死んでも
君は……
意外と……、軽薄なんだな……。見損なったぞ。ふふふ。
ゲホッゲホッ!
君の唇を、君が思う大事な人から奪うくらいならば。
私はここで死ぬべきだ。
君は今思いついたそのアイデアを忘れてくれ。
さあ、はやくここから……んっ……。
(キスをされる。間)
ゲホッ! ゲホゲホッ! 馬鹿! この大馬鹿者!
私にこんな
(キスをされる。間)
やめて……。これ以上は、これ以上の口づけは、
意味が、違ってくる……。ん……。
(キスをされる。間)
最低。……君は最低だ。
ゲホッ……。
どうして、やめろと言ったのに、唇を奪った。
せっかく……せっかく君への思いを押し殺していたのに……
あんな口づけをされたら……もう、無理じゃないか……。
君のことが……好きだ。
……
言うつもりは無かったのに。
言うべきでは無かったのに。
でも……好き……好きなんだ。
止めておくつもりだったのに……。
胸に秘めたままにするつもりだったのに。
……君が好きだ。
強く、優しい君が、
笑顔が素敵な君が、
いつでも冷静で
こんな私にもついてきてくれる君が
私は、どうしたらいい……。
死ぬのが……怖い。
こわいよ……。
(間、吐息)
はあ……。
ゲホッ……。すまない。
取り乱した……。
(間)
なに……?
そうか。そうだったのか。
君の想い人というのは、私だったのか……。
ああ、そうだったのか……。
私は、ひどく恥ずかしい勘違いをしてしまっていたようだ。
……。
ああ、私のエナジードレインは半ば自動的に働くものだからな。
君の唇から、少し生命力を貰ってしまった。
……おかげで、少し体力は回復できた。
怪我が治ったわけではないけれど、
今なら……逃げることもできるかもしれない。
えっと、君の方は、大丈夫か?
不調になるほど生命力を奪ってはいないと思うんだが。
良かった。
その……だな。
もう一度、軽いものでいいから、
もう一度、口づけをくれないか?
……。
少し、緊張、するな。
(無音)
……。ありがとう。
初めての接吻が、血の味で申し訳なかった。
そう……だな。
……わかった。生きて、帰ろう。
(立ち上がる)
そして、もう一度、落ち着いて、君とキスがしたい。
……帰ろう。
気を抜くなよ。
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剣城・アイスドーラ・凍子です。
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