0
海賊の女を騎士に転身させたが、最終的に拘束された
written by 松平蒼太郎
  • 告白
  • ファンタジー
  • 拘束
  • ヤンデレ
  • 部下
  • 海賊
  • 騎士
  • 男勝り
公開日2021年12月31日 08:53 更新日2021年12月31日 08:53
文字数
2310文字(約 7分42秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
海賊/騎士
視聴者役柄
騎士/剣聖
場所
とある王国領内
本編
おい、テメェか?

あたしの仲間をやったのは?

気絶させただけって…

やったことには変わりねーだろうが!

…あぁ?そうだよ、あたしがこの海賊団の頭領だ。

そーいうテメェは王国の騎士ってやつか?

へー…王国の騎士なだけあって、随分立派な身なりしてやがるな。

あたしの仲間やった礼、返させてもらうぜ。

いくぞ、こらぁっ!



はっはっ…

なんつー強さだよ…

うっせ…!あたしはまだやれる…!

は?……マジかよ、これ全部お前一人で…⁉︎

たしかに周りに全く兵がいねえと思ったら…

もうすぐ増援が到着するって…

くそッ!いいよ、あたしの負けだ!

煮るなり焼くなり好きにしやがれ!



し、失礼します!

本日より近衛騎士団配属になりました!

は、はい!

これから国を守る騎士として精進いたします!

よろしくお願いします!



はい…なんでしょう?

え…二人きりだから口調元に戻していいって…

いえ、しかし…あなたはわたしの上司ですし…

うぐっ……ま、まぁたしかに敬語使うの未だに慣れねえんだけど…

じゃあ遠慮なく聞かせてもらうぜ。

なんであたしと仲間を騎士団、しかも皇帝陛下直属の近衛騎士団に引き入れたんだ?

海賊を正規の騎士団に引き入れるなんて、正気じゃねえよ。

いや、だってその…いろんな奴らが反対しただろ?

あたしらみたいな荒くれ者の集団がいきなりこんな出世したら、周りの奴らみんな反対するだろ?ふつう。

そ、そんなふうに説得したのかよ!

いや、必要としてくれんのは嬉しいけど、言い過ぎだろ!

もう決まったことだからって…

わーったよ。やれるだけのことはやってやらぁ。



つ、疲れた…

いや、人前でお行儀よくすんのも訓練も両方…

騎士って楽じゃねーんだな…

つか結局、海賊ん中で騎士団に残ったの、あたしだけじゃねえか…

あいつら、みんなそろって退団して下野しやがったし…

けどありがとな。

あいつらの働き口の世話までしてくれて。

あ、あたしは辞めるつもりはねぇ!

なんでって…まだお前に借りを返せてねえからな。

あたしら海賊なんて、海で暴れまくってた荒くれ集団でしかねえし、問答無用で殺されても文句は言えなかった。

けどお前は殺すどころか、騎士として陛下に仕えさせてくれた。

腕前を見込んでもらったんだから、騎士としての役割くらい果たなきゃダメだろ。

…義理堅いんじゃなくて、貸しをつくったままなのが嫌なだけだ。勘違いすんな。

それより、あたしはお前が剣聖だって呼ばれてたことに驚いてんだけど。

どーりで滅茶苦茶強えーわけだ。

そりゃ、あたしらが束んなっても敵わねえわな。

…っておい、大丈夫か?

いきなり咳しだして。

変なとこに唾、飲み込んだか?

それとも風邪か?

あっそ…ならいいけど。

わーってる。今度の諸外国との会談だろ?

お前が遠征でいない間、陛下のことはきっちり守るからよ。まかせとけ。

おぅ。お前も無茶すんなよ。

まぁ、あんだけの強えぇお前に限って、万が一もねえだろうけど。

んじゃ、あとは風呂入って飯食って寝るだけかぁ。

お疲れさん。そんじゃー、また明日な。



はぁはぁ…

くそっ!なんでだよ!なんでこんなことに…!

テメェら…!こんな卑劣な真似しやがって…!

うるせぇ、このテロリストどもが…!

革命だかなんだか知らねえが、陛下は絶対殺させねぇ!

…⁉︎お前、なんでここに…⁉︎遠征は⁉︎

現場を副長に任せて自分だけ帰ってきたって…

っ、わりぃ…陛下の護衛任せられたのに、こんなザマになっちまって…

あ、あぁ…まだあたしは動ける。

ここは引き受けるから、陛下を探し出して守ってくれって…

大丈夫なのかよ…この数相手じゃいくらお前でも…

…わかった。陛下のことはまかせろ。

ここは頼んだぞ、隊長さんよぉ!



よぉ。なんとか無事っぽいな。

ん?あぁ、陛下は無事だ。

あのテロリストどものアジトも突き止めて、諸外国の軍勢と連合組んで叩き潰してやった。

とりあえず雨降って地固まる?ってやつかな…

国同士のお付き合いも上手くいきそうだ。

あ?なんだよ、縛られてることがそんなに不思議か?

ふざけんじゃねえよ、ホントに…

病気持ちなんだってな、お前。

それをあたしどころか陛下にまで隠して、遠征行って、しかも強行軍で一人だけこっちに帰ってきただぁ?

なんでそんな無茶すんだよ…!死ぬところだったんだぞ!

よく咳してたのはそういうことだったんだな…

医者から全部聞いたぞ。

ホントは騎士として働ける身体じゃないって。

お前の強さは知ってるつもりだけど、いくらなんでも病気には勝てねえだろ…!

ほら、これ。退役書。

陛下にありのままを報告したら認めてもらった。

勝手なことしたのはお前の方だろ!何言ってんだ!

そりゃあの時助けてもらったことは感謝してるし、恩に着てる!

けど、これ以上無理したら命の保障はなかったってのに、何やってんだ!

陛下もあたしも騎士団のみんなも、お前には死んでほしくねーんだよ!

あたしが不甲斐なかったのは謝る。

けどな、もうお前を戦わせるわけにはいかねぇ。

こうやって拘束してんのは、そういうことだよ。

…お前が納得しねーのは分かってた。

だから無理にでも黙っててもらうぜ。こうやってな。

(ディープキス)

信じられねーかもしれねーけどさ…

あたし、お前のこと好きになってたみたいだ。

…っ、わっかんねーよ!

なんで好きになったかなんて!

いっつも他人ばっか優先しやがって…!

海を荒らし回るしか脳がなかったあたしを、ここまで引き立てたお前が悪いんだからな…!

嫌だ。拘束は解かねえ。

お前は今まで十分戦っただろーが。

あとのことは全部あたしに任せな。

お前から教えてもらったこと、無駄にしねーから。

もちろん、毎日とはいかねーけど、お前の世話だってしてやる。

おい、目ぇ逸らすな。

今はあたしだけを見ろ。

あたしがこんな近くにいんのに、よそごと考えんじゃねえ。

…お前が今の自分の立場を受け入れたら、拘束は解いてやるよ。

それまではずっと、ここにいてもらうからな…
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
海賊の女を騎士に転身させたが、最終的に拘束された
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
 pixivにてフリー台本を投稿しています。
 台本の創作は自由にやらせてもらっております。よろしくお願いします。
有償販売利用の条件
当サイトの利用規約に準ずる
利用実績(最大10件)
松平蒼太郎 の投稿台本(最大10件)