よぉ。ご命令どおり、買収工作はあらかた終わったぜ。

あぁ。金銀財宝を大量に持ってったら、大抵の人間はこっち側に流れた。

ついでにもっと進んで協力してくれるなら、金の鉱脈の在処(ありか)を教えてやるとも言い含めといた。

おう。このマモン様にかかれば、どこに富が眠っているかなんて一発で分かるからな。

強欲の大悪魔なんて肩書き、俺にしか似合わねえだろ。

アンタもそう思うよな？魔王様。

あ？俺？

俺自身は金銀財宝なんてどうでもいい。

(抱きつく)

俺には魔王様がいるからな。

それに比べりゃ金銀なんぞ、ゴミと大して変わんねえよ。

そこらへんにいっぱい落ちてんだし。

(抱き寄せられる)

へへっ…分かってんじゃねえか。

俺ら悪魔の主人としての自覚、ちゃんと持ってくれてんだな。

でもそれだけじゃ足りねぇ…

俺はもっとお前が欲しい。もっとお前を感じたい。

お前に会う前の俺なら、こんなこと絶対言わなかっただろうな。

あぁ。文字通り、金銀財宝にしか興味がなかったし。

でもそんな俺を、お前が変えてくれた。

俺を召喚した日のこと、覚えてるか？

あの時のお前は、何もかもに絶望してた。

そんなお前を見て思ったんだよ。

「こいつは俺と同じだ」って。

己を満たしてくれるものがこの世界にはないんだって、目ェしてた。

な、だからよ…お互いでお互いを満たし合おうぜ？

今も飢えてんだろ？魔王様よぉ。

分かるぜ。なんたって、強欲の悪魔だからな。

いいじゃねえか…ふしだらでもなんでも。

アンタは地獄の魔王なんだから。

もっと堕ちたっていいと思うぜ？

外からガタガタ言うやつがいたら、俺が黙らしてやるよ。

今、空から降りてきてる小綺麗な羽つけてる連中、とかな。

へっ、たりめぇだろ？

勝算のない戦いなんて仕掛けねえよ。

さらに勝算を高めるために、こうして抱きしめて、魔王パワーチャージしてんだろうが。

心配すんな。天使なんて返り討ちしてやるよ。

…どんな結末になっても、俺を見放すなよ？

俺は俺自身と、お前のために戦うんだから…

お前がいなくなったら、多分俺は……

…いや、なんでもね。忘れてくれ。

…！魔王、お前……

…そっか。今更だけどお前、悪魔思いのいい奴だな。

今の言葉、しっかり胸に刻み込んだからな。

(キス)

もう離さねえよ、魔王。

お前の足りないもんは満たし続けてやるから…

お前もあたしを満たしてくれよな…へへっ♪

・台本（ゆるボイ！）
地獄の悪魔たちによる狂宴〜強欲の大悪魔・マモン編〜
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎