おーら、ガキ。勉強教えにきてやったぞ、そこ座れ。

…ってコラ。なに逃げようとしてんだ。潰されてぇのか？

はぁ？寝言は寝て言え。

なーにがご主人様と呼べ、だ。

テメェみてえなクソガキ、ガキ呼びで十分だろ。文句あっか？

言っとくがなぁ、これでもアタシはテメェの教育係なんだよ。

一応、雇い主からは金もらってテメェを教育するように言われてんだ。

どんな家庭教師も手を焼いた札付きのガキをどうにかしてくれってな。

それに分かってんだろ？

腕っぷしの強さが、どっちの方が上か…

ついこないだ、ガチでやり合ったばっかだよなぁ？

まさかその足りねぇ脳みそじゃ、最近あったことも覚えられねえってか？あ？

馬鹿が…最初からそうやって椅子に座ってりゃいいんだよ。

余計な手間とらすんじゃねぇ。ころすぞ。

うし…んじゃ、教科書24ページをひらけー。

こないだの復習から始めんぞ。




…以上だ。理解したか？

は？殴られすぎて全部忘れた？

テメェ…あんだけ懇切丁寧に解説してやったっていうのにどうしようもねえ奴だな、コラ。

もっぺん、おんなじページからやり直すか？あぁ？

はっ、馬鹿が。

テメェが逃げようとしなきゃ、アタシだってぶん殴ったりしねえよ。

しかも無駄に抵抗しやがるから、余計に手間どっちまった。

ったく、もうこんな時間じゃねえか。

オラ、とっとと風呂入ってこい。

他のメイドが風呂沸かしてっからよ。




おぅ。上がったか、ガキ。

…って待てや、コラ。

髪もろくに乾かしてねえのに、布団に潜り込もうとすんじゃねえ。

オラ、ここ座れ。ドライヤーかけてやる。

(ドライヤー)

パッサパサだな、お前の髪は…

いいとこのボンボンのくせに、ろくに髪の毛もケアしてもらわなかったのかよ。

先代のメイド長は無能だったのか？めんどくせぇ…

あ？んだと？

口調以外は全部、今のクソメイド長の方がマシ…

それ、アタシに喧嘩売ってんのか？

今なら喜んで買ってやるが。

…嫌なら減らず口叩くんじゃねえよ、ボケ。

テメェみてえな手のかかるガキなんぞ、アタシくらいしか面倒みれねえからな。

契約切れて金もらえなくなるまでは、ガキのお守りくらいしてやるよ。めんどくせえけどな…

…なんだよ。耳痒いのか？

うるせ。さっさと見せろ、耳ん中をよ。

…汚ねえ。おい、耳ん中に指突っ込むな。

耳垢が奥までいく。手ェ下げろ。

耳かき棒は……あるか。

よし、アタシの膝の上に頭乗っけろ。

見てわかんだろ。耳掃除するに決まってんだろうが。

あとで「耳垢のせいで授業の内容が聞こえませんでした」なんて言わせねえからな。

じっとしてろよ…動いたらコロス。

(耳かき)

お前、自分で耳掃除もできねえのかよ…アホか。

しなくても生きていける？

そりゃそうだけど、あんまり痒いなら放置すんな。

耳掃除が嫌い？テメェ…

だったら、今からそれも克服しろ。

アタシが耳掃除がなんたるかを教えてやる。

ったりめえだろ？アタシは何やらしてもできるからな。

アタシほど有能な召使いはいねぇ。

少なくともこの屋敷にはな。

はっ…言ってろ、ガキが。

大人がいかに怖いかってのを、アタシで学んどけ。

それより…梵天やるか？やらねえか？

やるんだな。じゃ、このまま続けるから動くなよ。

(梵天)

おい…動くなっつったのが聞こえなかったのか、テメェは？

くすぐったい？それくらい我慢しろ。

仮にも名門のお坊ちゃんが、こんくらいのことで音ェ上げてどうすんだ、ボケ。

…のやろ。口だけは達者だな。

オマケ、くれてやる。舐めた口きいてくれたお礼だ…

(耳ふー)

あ？テメェの耳が弱いことぐらい知ってるっつの。

だからやったんだよ。

じゃ、反対の耳を……って、逃げようとすんな！ぶっ飛ばされてえか⁉︎

(ゲンコツ)

馬鹿が…膝枕されてる状態で、なんで逃げれると思ったんだ？低脳か？

うるせぇ。殴られたことを勉強できねえ理由にすんじゃねえよ。

元々お前が低脳だから、こういうことになってんだろうが。

オラ、いいから早く耳かきさせろ。

どーせ反対も溜まってんだから。

(耳かき)

やっぱり汚ねぇ。言わんこっちゃねえなぁ。

あ？なんだよ、急に…

言ったろ？テメェみてえなクソガキ、教育できるのはアタシだけだって。

ついでに給料もいいしな。

…あと強いて言うなら、その辺のいい子ちゃんよりは歯応えあると思ったんだよ。

アタシからどんだけしばかれても、なんだかんだ諦めねえクソメンタルだけは褒めてやってもいい。

ま、メンタルに全振りしすぎて、ド低脳になっちまったのは残念すぎるけどな。

あ？……うるせ。褒めてもなんも出ねえよ。

アタシは召使いとして当然のことをしてるだけだ。

オラ、いいから梵天やんぞ。

(梵天)

…何言ってんだ、馬鹿が。

誰がお前を見捨てるかよ。

お前は低脳だけど、やりゃできる奴なんだから…

ちゃんとアタシのシゴキに歯ァ食いしばって頑張ってる奴のこと、否定するわけねえだろ。

安心しろ。他の奴がなんて言おうが、アタシはお前を見放さねぇ。

アタシはお前の教育係なんだからよ…

つーことで、これからもちゃんとアタシの指導を受けろ。分かったな？

黙れ。甘っちょろいこと言ってんじゃねえ。

甘やかしても、お前の為にはなんねえよ。

聞き分けの悪いガキの耳にはお仕置きだな…

(耳ふー)

おし、これで耳かき終了。お疲れさん。

オラ、とっとと布団かぶっておねんねしろ。

あ？……バーカ、たりめぇだろ？

テメェの面倒は最後まで見てやる。約束だ。

んじゃ、電気消すぞ……おやすみ、ご主人様。

・台本（ゆるボイ！）
超不良な有能メイドにボコされながら、耳の面倒をみてもらった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎