束縛の強いあなたの愛に染まっていたかのように見えた彼女は、むしろあなた以上に束縛の強い本性を隠していた……
これは、とあるカップルの立場逆転のお話。

　（ここからキレ気味に）

ただいまー。

え、何？
おかえりもなし？
全く君は冷たいねぇ……

急にどうしたと言われても、帰ってきた彼女に言葉もないってありえないでしょ。
むしろ、出迎えてくれるべきもの、常識なんじゃなかった？

君も、都合のいい男だよね。
私の存在意義は彼女持ちっていうステータスだけ、だったり？

否定したところで、信じてあげるかは別だよ？
だって、昨日、女の子と連絡取ってたでしょ。
隠せてると思った？

そっか。
履歴消してすらないから、見つけて欲しいのかと思った。

でも、君が何と言ったところで私に隠れてよくないことしてるのには変わりないよね？
こういうとき、君はどうしてたっけ？

　（ここから優しく）

そう、お仕置き、してくれたよね。

だったら、私も同じことしてあげなきゃ。
じゃないと、不公平だもんね？

え、どうして震えてるの？
今まで君がしてきたことだよ？
人にしてきたことが、人にされるのは無理だなんて、ひどいよね？

もしかして君、ただ連絡取ってただけだから許されると思ってる？
ふーん、そうなら、尚のこと裏切りだよ？

私、誕生日の時に弟からお祝いのメッセージ送られただけで、俺以外は他の男って言って私のことお仕置きしたよね？

君がいくら忘れていようと、私は君がしてくれたお仕置きのこと欠かさず覚えてるから。

ね？
そう考えたら、いくら好意のないやり取りだとしても君は血縁関係でもない女に、それも君からもメッセージ送ってるんだよ？
これのどこが許されるのかなぁ？

私はね、君が言ったこと守ってるよ？
男どころか他の誰とも連絡取ってない、私には君だけなの。

だって、こんなに欲深く愛してくれる君がいるだけで私には十分なんだもん。
君の独り善がりな乱暴ささえ、私のことを求めたがってるって思えば愛おしく感じられるから。

だけどね、君が私のこと束縛するなら、私も君のこと束縛する権利あるよね？
私だって、君の奴隷じゃないんだから。

というよりも、私だって君を独り占めしたいんだ。
私はそれを許してあげてるんだから、君もダメって言わないよね？

……ふーん。

　（ここから彼が過去に言っていたことを再現するように）

おら、彼氏のくせに私の愛受け止められないのか？

恋人への裏切り、償わないといけないよな？

これは罰なんだよ、ちゃんと私の物になれよ。

　（女、男を押し倒し、手錠を掛ける）
　（声、元に戻す）

どう？
君のしてきたこと、思い出した？

その青褪めた顔を見る限り、覚えてはいるみたいね。

そうだよ。
君、今まで私のことこんな風にしてきてたんだよ？

私はもう君の物になったから、これでも愛してくれること嬉しく感じるけど、最初は怖かったなぁ～？
君、そのときの私みたいな気持ちなのかな？

　（男、謝る）

え、急にごめんって言ってきてどうしたの？
やめて欲しいの？

いいねぇ、そんな君を見てると、私の物って感じがする。
いいよ、もっと言って。
もっとお願いして。

　（男、謝る）

うんうん、必死になってお願いしてる姿、新鮮で好きだよ。
私がこれまでの人生で抱いてこなかった感情が湧いてきちゃう。

恋人を思うがままにできるって、こんなにも満たされるものなんだ……
何からしようか、したいことがありすぎて迷っちゃう。

どうしたの？
何？　謝ったら許してくれると思った？

ははははっ、君は愚かだねぇ、実に哀れだねぇ……

君に聞いてあげる。
私にお仕置きするって言った時の君は、私が謝った時に許してくれたでしょうか！？

　（冷たく）
答えてよ。
簡単な問題でしょ？

都合が悪くなって何も言えないの？
でもそれ、認めてるのと一緒だよね？

そう、正解。
君は私が謝ったところで聞き入れずにお仕置きをしちゃうのでしたー。

だから、私もお仕置きしてあげるね？

はい、ごちゃごちゃ言わない。
これ以上うるさくしたらガムテでその口塞ごうか？

これだから女のこと力で屈服できると思ってる男はバカでどうしようもなくて愛おしいんだよ。

　（ここから乱暴に）

ほら、抵抗すんな、服脱がせないだろ。

私の物のくせに拒否とか、生意気だな。
いいよ、その分身体に刻み込んでやるから。

あぁもう、いちいちやかましいんだよ！
大人しく私に抱かれろよ。

別に痛いことするでもないんだから。
好きなんだよね？　私のこと。
だったら私に従うことぐらいできるよな？

　（元に戻る）

君に言われたこと思い出して言ってるだけなのに、なんだか、気分乗ってきちゃう。
だから君はこんなにも私のことをお仕置きして愛してくれてたんだね。
君の気持ち、今ならよくわかる気がする。

君は、私の気持ち、よくわかる？
怖い？

大丈夫だよ？
君だって、殴ったり蹴ったりはしてこなかったし、そういうことは気分じゃないし。

怖いのは今だけ、すぐに乱暴ながらも愛してくれることの心地良さがわかるから。

私の物になっちゃえば、苦痛でも何でもないんだよ？

君のプライドが彼女の所有物にされることを拒んでるのかな？
でも、今だけだろうね。

私、きっと君よりも乱暴で深い愛で、今まで君に愛されてきた分返してあげるから。
君の身体も心も、ぐっちゃぐちゃにされて、わけわかんなくなっちゃうかもよ？

その頃には、従順なペットかな？

んふふっ、考えるだけで幸せだね。
それなら、君のこと一生私に逆らえないようにして、ここで飼ってあげたい。

私が帰ってくる度に、「もう我慢できません、いつもみたいに滅茶苦茶にしてください」って、懇願しちゃうとか？

君のしてきたことよりも断然強い束縛だけど、もう我慢できないや。
私、君の押し付けてくる愛受け止めるのも好きだけど、君に愛押し付ける方が性に合ってるみたい。

きっとその方が、君も私もお互いのことだけを考えて生きていられるだろうから。

よし、決定だね。
ありがとう、君に最高の恋人の愛し方を教えてもらった気がするよ。

楽しみだなぁ、君が私に忠実な彼氏ペットになっちゃうのが。

　（乱暴に）

逆らうな、もう君はペットなんだよ。
君の幸福は身体で私を満たすことだけだろ？

　（優しく）

ふふっ、えらいえらい。
もう、彼女への威厳だとか気にするのは、諦めようね？

君がペットだとしても、大好きなのには変わりないから、いっぱい愛してあげる。

・台本（ゆるボイ！）
かつて君がしていたような乱暴な愛に目覚めて抑えきれなくなる彼女
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩