とある高校の卒業式。卒業する先輩を追いかけて、生意気な後輩ちゃんが走ってきた。出会ってから２年間、ずっと帰り道を共にしていた後輩ちゃんは茶化しながらも自分の思っていることを口にしてくれた。

先輩。これからも、私の先輩でいてくれますか？

【】：状況
（）：声色 or SE

【後輩ちゃんが駆け寄ってくる】

はぁ、はぁ……
待ってください先輩！

もう！　卒業式終わったら速攻で帰ろうとするとか、せわしない先輩ですねぇ！
まぁ？　私みたいに先輩に一言いいたい人なんて、この学校にはいないでしょうし？
しょうがないですよねぇ、先輩ぼっちでしたから（小悪魔な感じ）

あはは！　冗談ですってば、冗談！
ホントは私がいたからぼっちじゃなかったじゃないですか！
いわば私こそが先輩の学園生活の華であり、象徴といっても過言ではないわけです。

まぁ、そんな先輩が卒業するわけですから、私も寂しいって思ったり、しないでもしないんですよ。
私だってこの学校生活の華は先輩だったわけですし。

覚えてます？　私が入学してから、2年間ずっとそばにいたこと。
美味しかったたい焼きに、モチモチしたお団子。
それからコンビニ帰りに食べたアイス。あれは罪の味がしたなぁ。

え？　食べ物の話ばっかだって？
そーんなわけ……。たい焼きにお団子。それからアイス。むむ？
ホントにおやつの話しかしてない。
これじゃあまるで私が食いしん坊みたいになってますが？！
違うんですよ！　思い出がこれしかないとか、そういうのじゃなくって！

先輩と一緒の帰り道が私は好きだったんですよ。

一緒に下校ってすごく学生っぽいじゃないですか。
買い食いとか憧れませんでした？　私、高校に上がるまで買い食いダメって言われてたから。
だから先輩と一緒に食べるおやつって、すごく美味しくって！
おかげでちょっと太りましたけども……。

だから、先輩が卒業するって忘れてたんです。
ずっと私の一緒にいると思ってたから。
実際卒業式になるまで、現実味なかったんですけど……。
びっくりしちゃいました。ホントに卒業するんですね。

……ずっと、一緒にいれたらよかったのになーって。
どうして高校生活って３年しかないんでしょう。
それも先輩と出会ってから２年ぽっち。こんなんじゃ全然先輩のこと分かりませんよ！

だから、ってわけじゃないですけど。
……その。えっと。……あはは、なんか改まって言うの恥ずかしいですね。

スーーーーーハーーーーー
よし！

先輩。これからも、私の先輩でいてくれますか？
帰りに買い食いしながら、２人で歩いて。
いつもじゃなくてもいいです。たまにでもいいです。
だから、これからも一緒にいてください。

えへへ、これが学生の先輩へ送る最後の送辞ですよ！
じゃあ言わせてください。

ご卒業、おめでとうございます。先輩！

・台本（ゆるボイ！）
生意気な後輩ちゃんは卒業する先輩を惜しんじゃう
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス