目が覚めると、仲のいい女友達に拘束されていた。
彼女は、あなたを私の物にして他の誰にも渡さないと言い、あなたの心を蝕もうとする。

　（声量抑え目）

えーっと、まだ君は起きてないみたい。
寝てるうちにベッドに縛っておかないとね。

よいしょ、と。
出来た。
これで君は私の物なんだね……。

私以外誰の物でもない、私の大事な大事な宝物。
もう、誰にも渡さないからね……

寝顔、可愛い……
今なら、至近距離で見放題、興奮しちゃう……

君は、これからされちゃうことも知らずにすやすや眠っちゃってるんだね……
可哀想、だけど、それがまたそそるの……

どうしようかな。
計画では君が眠ってる間にでも、こっそり君の身体を楽しんじゃうつもりだったけど、意識はっきりした状態で君は私の物って意識植え付けられるように、童貞を奪われる瞬間を感じてもらうのもいいと思うんだ。

どっちだとしても、私の物だってことは骨の髄に沁みるほど感じてもらうつもりなんだけど、今はなんだか、君の穏やかな寝顔を前に何にも考えられないや……

すぅぅ、はぁぁ……
今私、君と同じ空気吸ってる……

もしかすると、君の吐き出した息もちょっと吸っちゃってたりするのかなぁ？
あ、ああ、これ、頭おかしくなっちゃう……
大好きな君のにおいと、可愛すぎる君の寝顔……

ああ、君が全部悪いんだよ……？
こんなにも無防備に眠っちゃって、私のこと誘惑してるとしか思えないんだもん。

ねえ、今君は、どんな夢を見てるのかな。
……私の夢、とかなら嬉しいんだけど。
それこそ、こんなに近くにいたら寝てても意識しちゃって、エッチな夢とか見ちゃうのかな。

首筋とかそーっと指で撫でてみたり、さりげなく、

（囁き）好き

って、囁いてみたりしたら、もっと意識しちゃうかな。

……だけど、夢の中なんかじゃなくて、やっぱり現実で私のこと意識して興奮して欲しい。
ほら、私はここにいるよ？
目の前にいるんだよ？

目が覚めるまで、耳ふぅーってしちゃおっと。

（耳に息を吹きかける、回数適宜）

　（声量通常）

あ、やっと目が覚めた。
おはよ。

すっごい表情蕩けてて、可愛かったよ。
私そういう君の可愛いところ大好きだから、今滅茶苦茶興奮してるんだぁ……

え？　夢の中なんかじゃないよ？
ここは現実。
君の寝てる時に部屋に入ってきたの。

んふふ、起きたばっかりじゃ、何が起こってるかわからないね。
身体、動かせなくなってるのは気付いてる？

そう、もちろん私が拘束したの。
だって、君のこと、私の好きなようにしたいんだもん。

何度アピールしてみても、鈍感な君は気付かないし、告白する前にさりげなく私の印象を聞いた時なんて、居心地のいい友達だなんて、全く恋人候補とは意識できないって感じのこと言って、私のことは眼中にないみたいだし……

それどころか、彼女欲しそうにしてさ、彼女が出来て、自然と私とは疎遠になっちゃうのも時間の問題って危機感が私の胸に纏わりつくんだよ。

だから、君が誰かの彼氏になる前に、私の物にするの。
誰にも渡したりなんかしない、私の物に。

こうすれば、離れたくても離れられないし、私のこと、女として見てもらえるよね？

嫌だとか、君がどう思ってるかなんて関係ない。
一番は君と相思相愛ってことになるんだろうけど、君の中で私が、気軽に絡める女友達っていう都合のいい立ち位置に落ち着いた時点で、君との健全な恋路に辿り着くことなんてほとんど不可能になったんだから。

むしろ、愛してやまない君のことを傷付けなきゃいけない私の気持ちに気付いてよ……

君が誰かのものになることを大人しく祝ってあげられる私なんかじゃないの。
そうなるくらいなら、こうやって身体を縛って、無理矢理にでも私の物にする方がずっと幸せで、ここ最近は君のことを監禁する計画の事ばっかり考えて、周りにも虚ろだって心配されるくらいだったんだよ？

いいの、謝ってほしいわけじゃないから。
ただ、私の物になってくれればなんだっていい。
償いたい気持ちがあるんだったら、私のすること全てに抵抗せず従ってくれる？

視線、逸らすんだ。
私の物にはなりたくないってこと？

無理だよ？

私の物にならない限り、君の手足の拘束は絶対に解かないから。
どこにも行かせないし、誰にも会わせない。
私の物になる以外の選択肢は一切与えない。

だーめ、どんなに可愛く解いてくれって言われても騙されないからね？

だって、ここから出たいって思ってるうちは、私のこと好きとすら思ってないでしょ？
そんな状態の君を解放したら逃げられるだけなのに、私に何の得があるのかな。

折角私以外他の誰の物にもならない絶好の機会を作って逃がすなんて、私もバカじゃないんだよ。
この監禁で、何が何でも君のことを私の物にするんだから。

ねえ、どうしても心を開いてくれない相手にさ、嫌でも男女の関係であることを意識付けさせて、上手くいけば二度と離れられなくなる既成事実を作れるようなこと、あるよね？

嫌がったって無駄だよ。
今の君は逆らえないんだし、ますます君を私の物にしたくなる……

いいよ、これで君の心が壊れたって、私の物でいてくれるならなんだって構わない。
むしろ、その方が私の物って感じられるのかな……

んふふっ、涙目になっちゃった。
こんな強引なことしようとしてるんだもん、そりゃそうだよね。
でも、絶対やめないからね？

ねえ、今私、君の目には女に映ってる？
仲のいい、都合のいい友達なんかじゃなくて、ケダモノみたいな生々しい交わりをしちゃう相手として見てくれてる？

怖くて、それどころじゃないか……

でも、最中になれば嫌でも感じざるを得ないよね？
そういうのって、嫌がってても男の反応示しちゃうものだし、どんなに意識してなくても、本能はわかってくれるよね？

もういいよ、君に聞いたりなんかしない。
強制的に君を男にして、私が女だって感じてもらう。
私には逆らえないんだって、私の物にされてるって頭にも、身体にも意識を染み付ける。

こうなったら、ちゃんと私に君の大切なもの、捧げてもらうから。
記念すべき一回目、しっかり記憶に焼き付けるんだよ？

・台本（ゆるボイ！）
おはよ。君のこと、誰にも渡さないよ。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩