キミは教室に落ちているボイスレコーダーを見つけた。
誰のかは分からないけど、内容が気になったキミは試しに聞いてみることに。
それはキミのクラスメイトで、同じグループにいるダウナー彼女だった。
内容は、キミ宛のように聞こえる……。

【】：状況
（）：声色 or SE

【聞き手くんがボイスレコーダーを起動】
【ここからボイスレコーダー】

あー。あー。これ聞こえてるのかな？
こういうの使ったことないから、分かんないんだよね。
まぁ、なんとかなるか。

えー、っと……。
どこから始めればいいんだっけ。台本台本……（小声）

おはよう。こんにちは？　こんばんわでいいかな。
挨拶とかいっか。おハローってことで。

これを聞いているってことは、わたしから何らかの方法でボイスレコーダーがキミの手に渡ったってことでいいんだよね。
別に秘密の怪文書とか、モールス信号とかじゃないよ。
なんというか、たまにはキミに面白いプレゼントでもできればなー、って。

すごいと思わない？
この面倒くさがりで有名のわたしが、キミのためにボイスレコーダー買ってくるとか。
行動力の化身だよ。あとで褒めたまえ。

……って、そんなことは別にいいんだよ。
本題はこれからなわけなんだし。

今日はキミに言いたいことがあって、これで録音してるの。
直接言えばいいじゃんとか、その他諸々の反論は禁止です。バリアー。

キミはきっと心当たりがないと思うんだ。
だってクラスではいっつも目立たないようにしてるし、グループでも空気だから。
それでも、さ。キミはわたしのこと気にかけてくれてるみたいじゃん？

所構わず声かけたり、記念日でもないのにご飯誘ってくれたり。
この前とか、クラスの集まり嫌だろ？　みたいな顔でカラオケ連れてってくれたじゃん？
ぶっちゃけカラオケとかうるさいだけじゃんって思ってたから、実際行ってみて後悔したよね。マジでうるさい。

でも。……なんと言いますか。
空気を読んでくれたことについては、感謝していると言いますか。

人とかマジ苦手なの知ってるでしょ？
でもキミならいっか。って思えるようになったの。
大して長い時間を過ごしてるわけじゃないのにね。不思議だよ。

えーっと。要するに何が言いたいかと言えば、ね。
わたしのそばに。……ずっといてくれないかなー。な、なんて。

【ボイスレコーダーはここまで】
【聞き手くんが目の前で顔を真っ赤にしている読み手を見る】

あー、死にたい。
なんでよりによってキミが拾っちゃうかなぁ。
この若気の至りを生涯ずっと大事に隠して、墓場まで持っていくつもりだったのに……。

……それで、何か言いたいことはないの？
慣れないことまでして、その。……わたしらしくない事を聞いて。
何か思ったことはないかって言ってるの！
……なんかあるでしょ。気持ち悪いとか、勘違い野郎とか、さ。

わたしはこれ撮ってた時、すごく恥ずかしかったよ。
でも。キミに……まぁ。そんな感じの気持ちが伝わればいいなー、って。

…………わたしは言った。だから今度はキミの番。
聞かせて、キミの気持ち。

・台本（ゆるボイ！）
ダウナーなクラスメイトの落とし物はキミ宛のボイスレコードラブレター
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス