【お母さん魔女による過保護生活】

坊っくん…朝よ。起きて。

おはよう。よく眠れた？

そう。ならよかった。

朝ごはん、できてるわよ。一緒に食べましょ。



お粗末様。食器、下げるわね。

ん？なあに？欲しいものでもあるの？

…えぇ、もちろん行くわ。

わたしの大事な坊っくんに罪を着せた愚かな連中はまだ残ってるから。

ごめんね…奴らを根絶やしにするまではわたし、ずっと坊っくんのそばにいられないの。

でももう少しだから…もう少しで奴らを全滅させられる。

もう二度と、坊っくんを処刑台になんて登らせない。

坊っくんを傷つけるような奴らは、ママがぜーんぶ、片付けてあげるからね。

何言ってるの。あんな奴らの言葉を真に受けちゃダメ。

坊っくんは何も悪くない。

坊っくんはただ、あの愚かな領主の息子だったってだけでしょ？

あの男が死んだのは自業自得。

領民から重い税を不正に取り立てていたんだから、殺されて然るべきよね。

でも坊っくんは何も悪いことしてないじゃない。

それなのに、あの村の人間ときたら…

わたしの可愛い坊っくんにまで手をかけようとして…！許せない…！

村は滅ぼしたけど…まだ生き残りがいるから。彼らも一人残らず狩らなくちゃ。

坊っくん…いい？彼らはなんの罪もない貴方を殺そうとした連中なの。

そんな奴らを許していいと思う？いいわけないわよね？

わたしは坊っくんの乳母に過ぎないけど…坊っくんの本当のママになるって決めたから。

えぇ…坊っくんの生みのママから託されたの。「この子をよろしくね」って。

父親とは正反対の良い人だったわ。それこそ聖母のような方で…

まぁ昔話はこれくらいにしておきましょう。

ママはもう行くから。

坊っくんは家でお留守番してて。

出入りできないように結界が張ってあるから、不用心に出ようとしないでね。怪我するから。それじゃあね。





【魔女による殺戮ショー】

残念だったわね。ただの人間風情がこのわたしから逃げ切れると思った？

えぇ、そうよ。魔女であるわたしから逃がれられる人間なんていない。

さ、残りのお仲間は？あと一人いるのは知ってるわよ。

…は？何よ、それ…！

ふーん…つまらないことしてくれるじゃないの…死ね。

(舌打ち、歯軋り)

ほんっっっとうにつまらないこと、してくれたわね…！

坊っくん…！どうか無事でいて…！



あら、ごめんなさい。手が滑ってしまったわ。

あら、こっちも…ごめんなさい、ゴミかと思っちゃった。

なんだ…これ、全部人間だったのね。あまりに穢らわしいから、間違えて捨てちゃった。

ふふふっ…ねぇ、そこの貴方。どうして坊っくんをさらったの？こんなゴミのような連中の手を借りてまで…

へぇ…魔女を討伐するための義勇兵、ね…弱過ぎて話にならなかったけど。

とにかくあとは貴方一人。坊っくんからその穢らわしい手を離しなさい。

…それで坊っくんを人質に取ったつもり？ホントに救いようがないわね。

手を離す気がないなら…わたしから離させてあげるわね。

(手首切断)

あはっ、可哀想…手首、ナイフごと取れちゃったわね♪

貴方が最後の一人…苦しみ悶えながら、死んで？





【お母さん魔女による甘やかし】

坊っくん…気がついた？

(抱きしめる)

よかった…！坊っくんが無事で…！

えぇ…坊っくんをさらった悪〜い人たちは全部、ママがやっつけてあげたから。

怖い思いさせてごめんね…もう大丈夫だから…

坊っくんを傷つける奴らは残らずいなくなったから…大丈夫。

いいの、坊っくんが気に病む必要はないわ。ママが不甲斐なかっただけだから。

坊っくんのことはママが責任持ってきちんと守ってあげる。

坊っくんが立派に成長するのも、そばでちゃんと見届けるから。

どんなことがあっても、ずっと一緒よ…坊っくん？

・台本（ゆるボイ！）
魔女堕ちした乳母は悪徳領主の息子の本当のママになるべく、自らの手を血に染める
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎