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叶わぬ恋の告白
written by 夜木嵩
  • 告白
  • ヤンデレ
公開日2022年06月29日 18:46 更新日2022年06月29日 18:46
文字数
2246文字(約 7分30秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
あなたの隣にはいられないとしても、この気持ちだけは届いてほしいから。

():読み方に関する指示・役の動作(効果音の発生するもの)
[]:場面指定・変更

[女、男を呼び出す]
本編
いきなりごめんね、私……君のことが好きなんだ。

急に言われても、どうすればいいかわかんないよね……

いいの。
君に答えを求めたいわけじゃないから。
ただ、この気持ちを知ってほしくて。

知ってるんだ。
君が、私じゃない人のこと、好きなんだっていうこと。
それも、私よりも君にお似合いの素敵な子で、私には敵いっこないってこと。

あの子、とってもいい子だよね。
誰にでも無償の愛を注げる、優しいの一言では足りないくらい、立派な心の持ち主で。
笑顔は眩しいくらい。
君が惚れるのも仕方ないよ……

そして、君もまた素晴らしい男の子。
あの子が好きになってしまうのも頷ける……っていうのは私も君が好きだからっていう補正なのかな。

でも、本当だよ?
君は、本当に魅力的な人で、私なんかには手が届かないくらいで……すごいや……

君ばかりは、こんないい人、私なんかよりもっと素敵な人がいるんだろうなって……好きだけど、付き合えたらいいなとも思うけれど、そんな結果が納得できてしまうんだ。

むしろ、こんな人と出会えて、好きになれた。
それだけでよかったと思えるくらい。

ううん、それだけじゃないね。
私、君に存在を認知してもらえた。
話もたくさんできた。
苗字でさん付けだったところから、私の友達が言ってるあだ名で呼んでもらえた。

君との日々が、私の記憶に溢れるくらい刻まれたんだよ。

振り返ってみれば……ううん、わざわざそんなことしなくても、君が私にしてくれたたくさんの思いやりも、見せてくれた格好よさも、くれた幸せも、簡単に思い出せるの。

最初は、馴染めなかった教室で声を掛けてくれたことかな。
それから、私が困ってる時に助けてくれるのはいつだって君だし、私の頑張りを褒めてくれるのも君。

私、きっと君に救われて生きてるんだと思う。
君がいなかったら、今日もこんなに上手く笑えてないんだろうなぁ。

(作り笑い)あははっ……

君には、感謝の気持ちでいっぱい、だね。

……えっ?
これでいいのかって、どういうこと?

だって、私はただ、君に、私は君のことが好きなんだっていう気持ちが届いてくれるなら、それで十分だから。
付き合いたいとか、君の特別な存在になりたいだとか、そんな畏れ多いこと言えないよ。

後悔なんて、しないよ?
後悔なんて……後悔なんて……

で、でも……私がここで本当の気持ち、口にしたら、絶対に君を困らせちゃうから……

私は、好きな人のことを困らせるようなこと、出来ないよ……

だって、そうでしょ?
告白のつらさは、振られる側だけじゃないはず。
わざわざ、自分の言葉で、自分のことを好きになってくれた人のことを傷付けないといけない振る側だって、幸せなことじゃないことぐらいわかるよ。

それに、君の優しくない姿は見たくないんだ。

どんなに、私のことを気遣った言葉で振ったとしても、結局私を振ったという事実に変わりはない。
どんな言葉だとしても、私は君に拒まれるっていうことだから。

私は、君に拒否されるためにそばにいるわけじゃないんだ。
優しさに包まれたいから。
時々の雄々しさに、胸を高鳴らせたいから。

私はいつだってそんな君を感じていたい。
君のことを思い出して、嫌な記憶が蘇るなんて嫌だよ。
いつだって優しくて、格好いい君でいて欲しいから。

私は、そんな君が好き。
これからも、私の前で変わらない君でいて欲しい……それだけ。

何も言ってくれないけれど、どうかしたの?

これはこれで、君のこと、悩ませちゃったかな。
単純に考えてくれればいいんだ。

……できない?

それが、君の優しさなんだね。
……私の気持ちなんて、気付かなければよかったのに。

私、求めちゃうよ……
君がその手を広げてくれる限り、抱き締めてくれることを、期待してしまう。
その柔らかな瞳で見てくれる限り、受け入れてくれることを、期待してしまう。

君の優しさは弱さなんだ。
人のことを傷付けられないっていう。

いつもなら、それで事が上手く収まるし、一時的なことで済んでた。
だけど、今ばかりは、君の煮え切らない気持ちが私には苦しいな……

……ううん、違うよね。
元はと言えば、君を困らせるような告白をした私。
どうせ結ばれる希望もないのに、余計な気持ちが生まれちゃったから。

でも、好きになったからには、何にもしないで死んでいく恋の方が私には耐えられないよ……

だから……君のこと、好きになった私がいけないんだ。

こんな無謀な恋心が生まれたりしなければ、私が叶わない現実に苦しむことなんてなかった……!
君の好きなあの子のこと、心のどこかで不幸を願ってしまうこともなかった……!
君の笑顔さえ素直に喜びとして受け止められないこともなかった……!

全部、全部、この私という現実を顧みない恋心のせいだ……!

でも……でも……そんなの、不可能なんだよ!

気付いたら君のこと、好きになってた。
気付いたら君への想いが、私の中でも誤魔化せなくなってた。

この気持ちが抑えられるわけないんだよ。
君が私を惹かれさせる男の子でいる限り、こうなるのが運命。
だけど、つまりそれは、ただ君が君でいたというだけで、君が悪いわけじゃない。
どうしようもなかったということ。

はぁぁ……
言わないように、耐えてたはずなんだけどなぁ……
もう、取り返しはつかないよね……

明日からの君が今まで通り私に接してくれるとは思えない。
変な気遣いで距離が生まれるんでしょ?
どんな顔して話しかければいいかわからないって、思っちゃうでしょ?

いっそ、わかってるけど言うしかないや。

私のこと、好きになってくれるかな……?

好きになってよ。

……そう。

……だったら、このまま大人しくしてても疎遠になるだけだから、いっか。

愛されないのは同じなのなら、私の物にしたっていいよね?

 (スタンガン)
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
叶わぬ恋の告白
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

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