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後輩の必死で強制的なプロポーズ
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • 後輩
  • プロポーズ
公開日2022年07月23日 18:27 更新日2022年07月23日 18:27
文字数
2079文字(約 6分56秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
仲のいい後輩はあなたにプロポーズをする。
恋人ではない後輩だが、必死に、しつこく結婚を求めてくる。
その執念の訳とは、行方は。

():読み方に関する指示・役の動作(効果音の発生するもの)
[]:場面指定・変更
本編
先輩。
私たち、結婚しませんか。

いえ、聞き間違いじゃありませんよ?
結婚です。
つまり私がしてるのは、プロポーズってことです。
流石に急すぎましたか?

違いますよ?
罰ゲームでもなければ、冗談でもない、本気のプロポーズです。

この記入済みの婚姻届を見れば、私が本気だって事、伝わりますよね。

もちろんですよ。
だって私は、先輩のことを心の底から愛してやまない女なんですから。

身体も心も、先輩に差し出せるものならなんだって捧げたいです……!
だから、その契りをこの形で示そうかと思ったんです。

付き合ってないだとか、私のことをよく知らないとか、そんなものはどうでもいいんです。

一生を先輩に捧げるのに、恋人だなんて、もどかしく中途半端な関係を挟む意味はないですよね?
それに、この愛さえ気付いてくれるなら先輩のこと、絶対に幸せにしてみせますから、私のことを知らないなんて不安を抱く必要もないんです。

先輩は、ただ何にも考えず、私のプロポーズを受けてくれればいいんですよ?
はいの一言だけで、先輩にこれでもかというばかりに尽くしてくれる最高のお嫁さんが誕生するんですから。

人生でこれほど簡単な二択なんてないですよね、先輩?

……えっ。

無理って……先輩?
そんな、このタイミングで私のことからかうなんて、性格が悪いんですからぁ。

……ほ、本気、なんですか?
そんな、訳が分からないです。
私のことを拒む理由なんてないのに……

これで、何度目でしたっけ。
先輩はどうしても私のことを受け入れてくださらないんですね。
私には先輩しかいないというのに……

私は決して諦めたりなんかしませんよ。
だって、先輩を逃してしまえば、一人死ぬしか私の未来はないんですから。

これは、ある意味で先輩のおかげで先輩のせい。

……先輩が悪いことをしたわけじゃないんですけどね?
むしろ、先輩がいてくれなかったら、私はこんな幸せに生きてなんかいないんですから。

先輩。
私は先輩との出会い、しっかりと覚えてますからね。

あれは昨年の冬のこと。
一人夜道を帰っていた私が、男に襲われた時……。
先輩は、死に物狂いで男に殴りかかって、必死で私を助けてくれた……

まだ、見ず知らずの他人でしかなかったというのに、助ける義理もない関係で、救いの手を差し伸べてくれた先輩に、私は生きる希望を感じたんです。

この人のためなら、何だってできる。
そんな確信があの日から、今もずっと……

もう私、先輩しか見えてないんです。

厳密に言えば、先輩以外の人間を見ることが怖くてできないんです。
過去のいじめの記憶もあって、誰も見ないふり、親も面倒事を持ち込むなとばかりで、女も男も、他人も身近な人も、何を信じればいいのかわかんなくなっていたんです。

それに重ねて、例の事件。
ここまで運命に愛されない人間がこの世にいるんだなって、しかも、それが私なんだなって、呪いたくなりましたよ。
私、あのまま穢されて殺されるのなら、それでもいいのかなって、恐怖の傍らで思ってしまったんです。
どうせ、あのまま生きてても、何もなくて、どっちにしても変わらないんだろうなって。

そう思っていたのに、訪れたのは穢される未来でも、何もない未来でもない、幸せに満ちた未来。

どうでもいいと思っていた幸せも、目の前にやって来ると手を伸ばしたくなるものですね。

私、今ではこんなにも先輩が全てという人生に変わってしまいました。
ね、先輩のせい、ですよね?

でも、もちろん先輩があの時、助けてくれなければよかったと言いたいわけではないんです。
先輩といる時はずっと、感謝の気持ちを忘れていませんよ。

私のヒーローとして、そして、私に生きる意味を与えてくれた、第二の親として。
私、先輩なしでは生きていけないんです。

だから、結婚してください。

少しだけわがままなのもわかっています。
でも、私にだって生きる自由があるんですよね?
先輩があの時、答えを示してくれたじゃないですか。

私の唯一生きる道が、先輩のお嫁さんなんです。
先輩は私をいつだって守ってくれて、私は先輩にいつだって尽くし続ける。
共に生かし合う幸せを築きませんか?

私は、先輩が私以外の得体の知れない誰かと結ばれるのが怖いんです。
先輩もまた、私を見捨てるなんて想像もしたくないし、私のたった一人のヒーローが、邪な誰かに穢されるのも見たくない。
そんなの、先輩がいなかった場合のあの時と私には同じなんです。

だから、そんな滅茶苦茶な未来がやって来ないという誓いのためにも、私と結婚して、私を離さないでほしいんです。

他の選択肢は、先輩にあったとしても、私にはないんです。
私には、先輩と一緒にいることしか生きる方法はないんです。

それでも、先輩は私のことを見捨てると言うのですか?
……見捨てませんよね!?
私のことを救ってくれたあの先輩が、そんなことしませんよね!?

私は、信じてますよ?

……信じてないと、心が持たないだけ、とも言えるんですけど。

それでも、私は先輩が私を愛してくれるかくれないかが全てということに変わりはありません。

生きるか死ぬか、愛されるか愛されないか。

先輩がその刃を握っているんです。

答えてください。
私は、先輩の隣で生きていいですか?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
後輩の必死で強制的なプロポーズ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

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