上京している貴方のところに幼馴染が訪ねてきた。
やってきて早々、貴方に炭酸シャンプーとオイルマッサージをしたいと言い出して…？

［自室にて］

邪魔するよー。はい、地元土産。アンタ、和菓子好きだったでしょ？

え、あれ？ラインに連絡入れてなかったっけ？

あ、ホントだ…ラインの履歴、何も残ってない。ごっめーん☆

うっさい。痛いとか言うな。ぶっ飛ばすよ？

てか、そんなことより試したいことあるから、さっさと実験台になってよ。

嫌言うな。君に拒否権とかないから。

えーっとね…これこれ。炭酸シャンプーとマッサージオイル。

うん。ASMR専門の道具取り扱ってるとこで買ってきた。ネット通販だけどね。

あー、それは単純にやりたくなったから。

イヤホン越しであんなに気持ちいいなら、リアルはもっと気持ちいいんじゃないかと思って。

は？それは嫌。アンタにオイルマッサージ任せたら、胸とか尻触りまくるでしょ。

いや、するね。絶対。

手が滑ってラッキースケベとか許さないから。

ギャルゲーでは合法かもしれないけど、リアルだったら犯罪だからね？

はいはい。とにかくそーいうことなんで、さっさと風呂場にゴー！




［風呂場にて］

入っていい？……オッケー。じゃ、失礼するよー。

よーし…それじゃ、まずは炭酸シャンプーから始めていくね。

…どうした？なんか挙動不審で気持ち悪いけど…

いや、今更恥ずかしがんなって。

つか、裸なんて昔からお互い見てきたじゃん。あたしは今は見せないけど。

うるさい、ブーブー言うな。

ほら、早くやりたいんだからさ、そこ座って大人しくしてな。

(炭酸シャンプー)

うわ、すっご…めっちゃシュワシュワいうじゃん…

へー…炭酸シャンプーってこんななんだー…

よっし…やるからにはきちんと頭皮の汚れまで、落としていくからねー…

ゴシゴシ…ゴシゴシ…ゴシゴシ…

んー？口ずさんだ方がなんかやってる感じあっていいじゃん？

そーいう音声作品でも、声優さんが音を声に出してたし。

うん。ASMRの音声作品ね。あれ、結構癒しなんだよね〜。

あたし？基本的には、イケボの男の人の聴いてる。たまに女の人のも聴くけどね。

そーいうアンタは？やっぱ可愛い女の子のキュートボイス聴いてんの？

あはは、やっぱり。萌え声好きだよねー。

別に悪くないよ。声の好みなんて人それぞれじゃん？

まぁあたしの言うイケボってのは、低音のおじさまボイスのことなんだけどねー。

イケボだよ。あたしからしたら。

低い、ゆったりした話し方の人の声が好きなんだよね。

イケボって言って語弊があるなら、オジボかな？

そうだね。アンタには無理だね。アンタ、男にしては声高い方だし。

はいはい、わかってますー。あたしも萌え声なんて出せませーん。

あたし自身、ハスキーっぽいし、どっちかっつーとアルト寄りの声域だし。

あ、いや…厳密には出せるけど、気持ち悪いだけ的な？

うるさい。全力で頷くな、スカポンたん。殴るよ？

暴力女言うな。あたしは然るべき時にしか手ぇ出したことないから。アンタが人の胸触りそうになった時とか。

転びそうになったからって…あのね、さっきも言ったでしょ？ラッキースケベはリアルでは正真正銘犯罪だから。

女の子の着替えなんて覗こうものなら、即通報だから。分かった？

あー、はいはい。男の夢ね。夢なら寝て見ろ。

え、理想のシチュ？そーだな…バックハグされながら愛を囁かれるとか？

いや、アンタは声的に無理。オジボになってから出直してきて。

脈なしだよ。分かってんなら聞くなって。

そういうアンタだって付き合いたいタイプとかあるでしょ？

あたしがそのタイプから外れてんの、知ってるから。

ふん…ま、それでいいけど。お互い、いい人見つけられたらいいねーってことで、この話おしまい！頭流すよー。

(シャンプーを流す)

はい、これでサッパリした。どう？気持ち良かった？

そ、ならよかった。じゃ、あたし先上がって、オイルマッサージの準備しとくね。




［自室にて］

もう上がった？こっちも準備完了。

とりあえず上脱いで。上半身のオイルマッサージするから。

…よし。それじゃ、始めるね。まずは背中から…

(背中をオイルマッサージ)

こんな感じでいい？もうちょっと強くしてほしいとかある？

オッケー、わかった。じゃあもうちょっと強めに…

ん？なに？どした？言いたいことあるなら、はっきり言いなよ。

…ふん。お礼言われるほどのことはしてないし。自分がしたいことをしたいように、してるだけだから。

あたしがアンタごときに気遣うなんて殊勝な真似、すると思った？

…もう、うっさい。黙って癒されてろ、バーカ。

(しばらく無言でオイルマッサージ)

背中はこんなもんかな…じゃ、次は前やるから。

(前側をオイルマッサージ)

相変わらずなよっちい身体してんね。もうちょっと鍛えたら？

…っ、あっそ。そりゃまぁこんな貧相な身体、あたし以外の女に見せるわけないよね…

けど将来彼女つくるんなら、ちょっとは意識しときなよ。余計なお世話かもしれないけど。

は？嫌。アンタと付き合うなんてこれっぽっちも考えてないから。

あたしが好きなのは年上の、ダンディな感じの男の人なの。アンタは完全に射程圏外だから。

…でも、お互い三十路になってどーーーーーしてもっていう状況になったら、考えてやってもいいけど？

あー、うるさいうるさい。調子乗んな、バーカ。

そういうことにならないように、今から努力するんでしょうが。

そんなことより…最後、足やるから出して。

うん、前側終わり。だいぶいい感じだったでしょ？

オッケ。じゃあ足もたっぷり塗ってくね。

(足をオイルマッサージ)

ん？お姉ちゃん？結婚したけどそれが？

あぁ…旦那さんはすごい良い人だよ。温和を体現したみたいな人で、あたしにもすごい優しくしてくれる。その分、お姉ちゃんの尻に敷かれまくってるけど。

ま、いいんじゃない？本人も満足そうだし、夫婦仲は順調だよ。

別にいいけど。会いたいなら会えば？

向こうが忙しくなかったら、会ってくれるんじゃない？

ちなみになんか話したいことでもあんの？

ふーん…ま、どうでもいいけど。男同士でしか分からないこともあるんだろうし。

(しばらく無言でオイルマッサージ)

あ、マッサージオイル切れそう…これでホントに最後かな。

え、耳かき？アンタがあたしに？

できんの？間違って鼓膜突き破ったりしない？

あー、はいはい。お婿さん修行ね。わかりましたよー。

将来のお嫁さんに嫌われないように、せいぜい頑張って。

今日は実験台になってもらったし…いいよ。あとでやってもらう。

期待しないでおいてあげるから、そこは安心して。

バーカ…プレッシャーかけないためとかじゃなくて、ホントに期待してないだけだから。人の言葉、都合よく解釈すんな。

…その含み笑い、キモい。鏡の前で自分の顔、見てきたら？

…はい、とりあえずこれでオイルマッサージもおしまい。お疲れさん。

ちょっと疲れたし、その辺でダラけさせてもらうねー…

耳かき？今はいい。お風呂上がりにでもやってもらうから。

うん、泊まる。元々そのつもりで来たし。

アンタとは同じ部屋で寝るけど…変なとこ触ったらぶっ飛ばすからね？

あ、やっぱ殴っていい？貧乳とか余裕で有罪(ギルティ)だから。

あっ、こら！逃げんな！待てー！

・台本（ゆるボイ！）
めちゃくちゃ容赦のない幼馴染にASMRの実験台にされた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎