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踏み込めない領域
written by タチバナ
  • 朗読台本
  • モノローグ
公開日2022年09月13日 12:56 更新日2022年09月13日 12:56
文字数
540文字(約 1分48秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
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本編
元気の塊みたいな人だった

いつも笑顔で賑やかで人懐こい人
そんなあの人がふとしたときに見せる
暗い瞳、表情の消えた横顔
その瞳に映るのはどこか遠く「今」を映してはいなかった

一度、私は踏みこもうとした
その領域に

その時初めて
あの暗い瞳は私を捉えたのだった──

頭が痺れているみたいにぼうっとする
気づけばあの人の顔はすぐ目の前に

伸ばされた指先が頬に触れる
暗い瞳はただ無感情のまま
あの人の唇がかすかに動く

つぶやかれた言葉は声になったのかどうか
触れそうなほどに間近なのに、耳に届くことはなく
聞き返そうと口を開きかけると
次の瞬間、あの人は私から離れていた

暗い瞳は消え
そこにはいつもの笑顔
苦しくなったのは何故だろう

その笑顔が好きなのに
胸が痛む

そこは、私が踏み込んでいいところではなかったのだろう
それならなぜ、あの瞳を私に向けたのか
あの人の指先が触れた頬が熱かった

胸のざわめきは
そのまま、あの人のいない日々につながった

あの日を境に全ての痕跡が途絶え
まるで最初から、あの人という存在はなかったかのように
覚えているのは私だけだった

きっと行ってしまったのだろう
あの暗い瞳でみつめていた場所へ

ねえ、そこはどこにあるのですか
どうして一人で行ってしまったのですか

私はあんなに悲しい顔をするあなたを
独りにしたくはないです
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
踏み込めない領域
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
タチバナ
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