ある日を境に、可愛い妹が引きこもりになった。
俺には懐いてくれるが、俺以外はみんな敵だと思ってしまっている様子。
だからご飯をいつも運ぶんだけど、相変わらず俺に依存しているようだ。

【】：状況
（）：声色 or SE

【兄が妹のドアにノックする】
（ノックの音）

ふあぁ……兄さん？
よかった、兄さんだ。おはようございます。

……え、もう夕方なんですか？
あぁ、今日も一日を無駄にしたんですね。堕落サイコー。

それで、兄さんは夕飯を届けに来てくれたんですよね？
いつもありがとうございます。両親とは、あまり顔を合わせたくないですから。
その点、兄さんはちゃんと私のことを面倒見てくれますし。
兄さんジャスティス。兄さんしか勝たん。

そんなにネットミームに染まってるって思ってます？
暇だからずーっとネットサーフィンしてたら、嫌でもこうなっちゃいますよ。
部屋で何も考えずにボーっとしてたら、昔の嫌なことをいろいろ思い出すので。

仕方ないですよね、優等生として学校に通っていたあの頃とは違うんですから。

どうですか？　今日は私と夕飯食べたりしませんか？
ずっと1人だから、話し相手ぐらいほしくなるんです。
私のことをちゃんと分かってくれている兄さんみたいな話し相手が。

【兄、外に出てみたらどうだ？　と聞く】

……え？　兄さん、なんて？
い、嫌だなぁ。私が外に出れなくなって、引きこもりだしたの覚えてますよね？
ほら、学校でいじめに遭って。それからずっと……。
だから外の世界なんていりません。私をいじめる世界とか必要ないです。
兄さんが、兄さんさえいてくれればそれでいいんですから。

お母さんもお父さんも、そのことを全然分かってくれませんし。
お父さんは古い時代の概念を持ち出してくるし。
いじめに負ける奴は弱い奴だとか。やれ立ち向かえだの、やれ心が弱いだの。
何もかもチカラで解決する時代は終わったんですよ。
お父さんは何も分かってくれません。

お母さんだって優柔不断で、世間体のために学校に行けって言うし。
その点、兄さんは毎日夕飯を運んできてくれます。
心の底から嬉しいって思ってるんですよ。できることならずっと一緒にいてほしいって。

……でも、兄さんもそんなことを言うんですね。
おかしいですよ。敵しかいない世界に、自分から赴くとか。
そうですよ。私は悪くない。悪いのは兄さん以外の周り。だから兄さんと私だけの世界で十分。

ねぇ、兄さん。ご飯食べない？　私の部屋で。
大丈夫。ただ喋りながら、ご飯食べるだけだもん。

私には兄さんしかいない。兄さんがいなくなったらひとりぼっちなんだよ。
肉親でしょ？　たった一人だけの兄妹でしょ？
だからもっと一緒に、そばにいてください、お願いだから……！

【兄、分かった、と渋々】

やった……！　ありがとうございます！
じゃあ早速ご飯持ってきて、兄さん！　一緒に食べますよ！
えへへ、嬉しいなぁ。私は部屋で待ってますね。

……絶対に来てくださいね。絶対、ですよ？（真面目なトーン）

・台本（ゆるボイ！）
引きこもりの敬語メンヘラ妹はあなたに依存している
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・台本制作者
二葉ベス