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君の優しさに甘えてて、ずっと愛してくれると思ってて
written by 夜木嵩
  • 日常
  • 恋人同士
  • 謝罪
公開日2022年10月29日 18:03 更新日2022年10月29日 18:03
文字数
2513文字(約 8分23秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
彼女
視聴者役柄
彼氏
場所
おうち
あらすじ
あなたの帰りを待っていた彼女は、最初に、あなたに謝りたいことがあると口にする。
心当たりのないあなただったが、それは、あなたの胸の中にある思いを知っての事だった。
二人の恋を、ちゃんと向き合いたい彼女の反省のお話。
本編
 (SE:ドア開く)

おかえり。

あのさ、ちょっと、あなたとお話がしたいんだけど、いいかな?
謝りたいことがあるの。

座ってくれる?

今まで、あなたが無理してたことに気付けなくて、ごめんなさい。
私、何にも知らずに、ずっとあなたを頼って、甘えすぎてた。

どうしたのって、むしろ、あなたの事の方が心配だよ。
私、聞こえてたんだ。

昨日、ベッドの隣であなたは泣いてた。
私に背中向けて、そんな息遣いも隠すようにしてたけど、隠してるからこそ、あなたは辛いんだろうなって、そんな気持ちが伝わってきてた。

そういうとき、あなたはそっとしておいてほしいって前に言ってたし、理由もわからなかったから、なんにも声はかけられなかったけど。
だけど、どうしても、好きな人を泣かせてしまってるんじゃないかって、不安になるんだ。

もちろん、一番ぐちゃぐちゃで重苦しい想いを抱えてたのは、その時のあなただってこと、わかってる。
でも、それでも、あなたの心の中も考えず、泣いてほしくないって思ってしまったんだ。

違う違う、謝ることじゃないの。
泣きたい感情なんて、抑えるものじゃないから。
というか、私が謝りたいんだよ。

何度も、あなたへの振る舞いを思い返してみた。
些細なことの積み重ねかもしれないから、何気ないことも、何から何まで。

それで、気付いたの。
私のこと、あなたに背負わせすぎてたんだろうなって。

あなたはとっても頑張り屋さんで、無理をしてでも誰かのためになることを喜ぶ素敵な人。
辛い顔も見せず、私のことをいつだって考えてくれてる。
こんなの、あなたのこと、好きにならない理由がないよ。

だけどね、私、あなたの優しさに甘えすぎてたみたい。
私が辛い時には、いつだって支えになってくれて、あなたがいるから、私はいつも笑っていられるの。

そんな私は、あなたの何になれてるのかな。

あなたに支えられた幸せに慣れて、あなたがいることが当たり前で。
その分のありがとうを、言葉でも、形でも、伝えたりなんてこと、全くしてこなかった。

あなたの、見せてくれない辛さにさえ、甘えたままで。
私、これじゃ完全にあなたのお荷物になってる。

わかるよ。
こんなこと言うと、あなたは必ず、君には一緒にいてくれるだけで幸せなんだ、って返してくれること。

それを、嘘だとは言わない。
あなたがそう思ってなかったら、恋人のままでいられてないだろうから。

そして、だからこそあなたは、心が葛藤で重くなってる。
そんな気がする。

あなたは、私のことが好き。
あなたは、お人好しで、私に尽くすのが愛の形だと思ってる。

だから、心配させたくないんでしょ?
今、まさにその通りになっちゃってるけど、自分の辛さを見せることが、彼女にとって不安を抱かせてしまう。
そう考えると、どうしても抱えてる気持ちは見せられない。

本当に、優しい人だよ。
私だって、隠したくなる気持ちはわかる。
あなたのせいだとか、感じさせたくないのも。
それが、あなたの愛なんだっていうのも伝わってる。

……はっきり言っていいかな。

私は、そんなあなたのこと、好きになれない。

甘えて、都合のいい扱いをしちゃうとかじゃなく、本当に。

自分の身勝手さばっかり映って、あなたの優しさが苦しく感じてしまうように思える。
今まで背負わせてきた分、これから、あなたの辛さを探ってしまうような気がする。

だって、私のためなんて気持ちに囚われて、笑えなくなったあなたのことなんか、みたくない。
私だって笑えない。

笑えない私なんて、あなたは嫌でしょ?

何よりも、一人で辛さをずっと抱えられてたら、私がわかんないのが嫌なんだよ。
抱え続けて、答えは見つかるの?

でしょ?
見つかったとしても、別れるだとか、そんな結論に行っちゃうだろうし。
私の知らないところで、あなたに別れたいって思われてそうで、怖いの。

だから、あなたの気持ちが見えてないと、安心してあなたに愛される気持ちに私もなれないかな。

……今までそんなこと思ってなかっただろとか、そんなのは言わなくてよろしい!

とにかく、私は、あなたのそんな気持ちに触れてしまったから、もう今まで通りには戻れないの。
無償の愛なんて、存在しないんだもん。
そうでしょ?

あなたが私を愛すのは、あなたが私を愛したいと思う理由があるから。
だよね?
どんなところが好きかは、今は聞いたりしないけど、それは、言葉に出来ない気持ちかもしれなくても、確かに存在する。

逆に言えば、その理由がなくなってしまったり、愛したくないと思う理由が出来てしまったら、私とはやっていけないでしょ?

人が人を愛すことが自由だからこそ、そこに繋がり続けられる理由ってものがないといけない。
私が今日まで忘れてたこと。

今まで私たちがやって来れたのは、あなたの優しさが、なんとか保たれていたからだってことに気付かされた。
その優しさに甘え続けていたことも。

それだけじゃ、あなたといつまでも、とか、私が言う資格、ないよね。

否定しないでいいんだよ。
昨晩の涙が、その葛藤だって言うなら、わかるはず。

だから、今日からは私も、私たちが恋人であり続ける理由を作っていきたいの。
こんな大事なことを、あなたに頼り切ってたなんて、今思うと私、ひどいね。

だけど、それは過去の話。
……って、あなたは許してくれる?

あ、うんって言った。
やっぱり、私の過去の振る舞いは認めるんだね。

それで、早速だけど……これまでのあなたへの感謝と愛を込めて……どうかな?

ご、ごめん、ご飯もお風呂もまだなのに、そ、そうだよね。

なんか、私がそういう女みたいになってるの気に食わないー。

でも、誰かのためになる気持ちって、焦ることじゃないよね。
できるときに、できる形でやる気持ちが嬉しいんだもん。

私はわかるよ?
今まで、あなたに沢山尽くされてきたから。

今度は私が甘えさせてあげたい。
あなたには何にもさせてあげないくらい。

って、それが辛くなる原因だったね。
今まで何を考えて来たのか私は。

とりあえず、明日はあなたに起こされないように、頑張って起きるところから始めるか。

……出来るかなぁ。
でも、やらなきゃだよね。

ごめんね。
私、こんなのだけど、今まで愛してくれてありがとう。

やっぱり、あなたがいないと無理みたいだから、これからもよろしくね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
君の優しさに甘えてて、ずっと愛してくれると思ってて
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

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