私の同居人は数か月前に仕事を辞めて、家に転がり込んだ。
頑張る頑張る。と口では言っているものの、落ち込んでいる彼女を見てて辛かった。
私が支えてあげなくちゃ。そう思っていたら、なんとなく。そうなんとなく。好きになっていた。

【】：状況
（）：声色 or SE

【聴き手が家に帰ってくる】
【読み手が家でぐったりしてる】

おっ！　おかえりー。
今日の夕飯なにー？　私はカレーがいいと思っています。
えへへ、なんてねー。で、今日の夕飯は？

【カレーの材料を見せる聴き手】

おっ、本当にカレーなんだ。ありがとー。
無職の私なんかにお昼ご飯まで作り置きするつもりなんて、なんという神様……。
天女？　もしくは女神的な。

まぁそんな冗談は置いておいて……。
手伝うよ。今日も仕事いっぱいこなして疲れたんでしょ？
せめて居候させていただいている手前、このぐらいはさせてくれないと、罪悪感で死ねる……。

冗談だって、死なない死なないー！
第一、人の家で首吊るとか、大迷惑すぎるし。

えーっと、材料は―。
人参、玉ねぎ、山芋……。山芋……。
苦手ってわけじゃないし、むしろカレーライスの山芋って、なんか好きなんだけど……。
変わってるよね。イモはイモだけど、外しにきてる感が。

文句なんてないけどねー。ジャガイモじゃすぐに腐っちゃうし。
あとはカレールーに、チョコレート。いいねー、チョコレート！
一欠けらいれると味に深みが増す！

じゃあさっさと作っちゃいますか。
キミは休んでていいよ。カレーのいい匂いがするまで、ソファーに腰かけてウトウトするがいいさ！

【ソファーに座る聴き手】
（料理の音）

んー？　就活はどうなの、って。
まー、まだ何にもしてないや。

前の仕事やめてから、なんか仕事へのやる気が全然なくって。
おかしいよね、前職はバリバリのキャリアウーマンとして出来る女だったのに。
今じゃただのヒモ女。しかも年下の女におんぶにだっこの情けない、ね。
別に付き合ってるわけでもないのに、よく許したよねー、キミは。

……本当はさ、これでもちゃんと頑張ろう、頑張ろうって思ってるんだよ。
でも朝起きたら立ち上がれないし、やっと起き上がったと思ったらお昼だし。
ボーっとしてたらもう夕方。
私ってこんなにやる気なかったっけなー、って自分が嫌になる。

でもキミが帰ってくるまでにはちゃんと元気になるんだよ？　不思議だね。
もしかしたら、私、キミのことが好きだったりするのかな。なーんて。
同時にこういう曖昧な関係が心地よかったりもして。変なの。

……ありがとね、私が一番ダメな時に声をかけてくれて。
おかげで激ウマカレーを作ることができるわけですな！　ははは！

（テーブルにカレーを置く）

はい、おまたせ！　私さんの特製カレー！
じゃあ、いただきまーす！　あむっ！
んー！　美味しい！　やっぱり山芋カレー、案外イケるね！

これならキミの奥さん候補にもなるんじゃないかな。
今の時代、同性婚とかも流行ってるみたいだし！
専業主婦で食っていけないかなー、なんて。

【あり的反応を見せる聴き手】

……ほ、ほーん。その反応、意外とアリみたいな反応だねー。
それはそれでちょっと照れる、と言いますか……。
ほ、本気で私みたいなヒモ相手でもいいの？

【そっちはどうなの、読み手！】

いや別に？！　わ、私はどっちでもいいと言いますか。
楽できるならいい、みたいなー？
キミをそういう目で見たことありませんしー？
ほ、ほら！　利用したりされたりするみたいな、ね？　そんな関係よ！

【じゃあ就活しての聴き手】

うぅ、耳が痛い……。
じゃあ、就職したら。ちゃんと職が安定したら……、付き合ってくれる？

【OKの聴き手】

……うん、そっか。……そっかー！
だったら頑張らないとなー！　……うん、頑張らないと。
頑張って、明日からやるー！

【悪態をつく聴き手】

あはは！　すっごい不服そうな顔ー！
本当にちゃんとやりますよー、だ！
目標が出来て、ちょっとやる気出てきたし！
うしっ！　じゃあ、約束だね！

・台本（ゆるボイ！）
年上ヒモ女は付き合うために就職を頑張る！【百合】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス