悪霊に取り憑かれた妹の除霊をとある神社の巫女に頼むが、彼女の正体は鬼で、男は除霊の代償として彼女から呪いをかけられていた。呪いによる苦痛が全身を駆け巡る中、呪いをかけた張本人である鬼が現れる。そこで彼女が男に要求したこととは…？

くくっ…苦しそうじゃな。わしが今すぐ楽にしてやろうか？


なんじゃ？何か言いたいことがあるなら
はっきり申してみよ。


ほぅ…わしがお主の身体に何をしたか、知りたいか？


仕方ないのぉ。そこまで言うなら教えてやろう。


お主の身体には呪いがかけられておる。
わし特製の呪いが…な？


ふふ、察しが良いようで何よりじゃ。


そう…巫女として持つ呪力と、鬼として持つ妖力を掛け合わせた呪い。


その呪いはもはやわし以外には解けぬ。


どうしてこうなったかは…
皆まで言わずとも分かるな？


そうじゃ。お主の妹に取り憑いていた怨霊を祓った対価じゃ。


あの時、わしはこう言ったな？


「妹を助けて欲しくば、その身を差し出せ」とな…


お主はそれを承知した。じゃから、今このような状態に陥っているのであろう？


まぁ、待て。結論を急ぐでない。
わしはお主をちょこっと試したに過ぎん。


左様。お主が本当に我が夫にふさわしいかどうかをな…


そうじゃ。お主は妹ともども、生まれつき霊力が強い。


ゆえに、妹の方は悪霊を引き寄せ、あのように苦しむ羽目になった。


そしてお主も、妖怪や幽霊絡みの厄介ごとに巻き込まれたのは、一度は二度ではあるまい。


呪いをかけたのは、その体質を見込んでのことじゃ。


お主ほど霊力に恵まれた体質の者ならば、多少のことでは死なんじゃろう。


そうじゃな。普通の人間ならとっくの昔に死んでおる。


お主はそれほどまでに高い素質を持っている。


現にお主は我が呪いに耐えておるしな。


じゃが、それも時間の問題。わしが呪いを解かねば、お主はいずれ死を迎えるであろう。


そうじゃ。お主の命運はこのわしが握っているといっても過言ではない。


さ、命が惜しくば、我が前に跪き、誓え。


「わたしの全てを貴女様に捧げます」とな。


よいのか？断って…


お主がここで死んだら、妹は誰が守る？


これまで兄妹仲良く、身を寄せ合って生きてきたのであろう？


お主が死んで、一人残された妹はさぞ悲しむであろうな。


さぁ、早く決めよ。さもなくば、呪いはお主の全身を駆け巡り、侵蝕し尽くす。


ここまでする理由か？さっきから言っておるじゃろう。


お主と夫婦(めおと)になるため、と。


執着もするわ。妹の除霊を頼みに来た時に、わしのことを美しいと言ったのはお主じゃろう？


人から忌み嫌われるはずの鬼を魅了する言葉を吐いたのじゃ。その責任は取ってもらわんと。


気の迷いだろうがなんだろうが、取り消しは効かん。


あんな短い言葉でわが心の臓を射抜くとは…全く、お主も罪な男よのお。


逃げられると思うなよ…古(いにしえ)より鬼に狙われて逃げおおせた人間はこの世におらん。


いくら霊力が強いといっても、お主は人間。命は惜しいじゃろう？この世に妹一人を残して死ぬのは辛いじゃろう？


ただわしと夫婦(めおと)になるだけで、自身の命は助かり、妹を悲しませずに済む。ならば、お主が選ぶべき答えは一つしかあるまい。


ふふっ…ようやっと跪いたか。愛い奴じゃ…


うむ…その言葉、しかと聞き届けた。


お主は今日からわしの夫じゃ…顔を上げよ。


(キス)


…これで呪いは解けた。さぁ、立て。
わしらの帰るべき場所へ帰るぞ。


無論、わしが寝ぐらとしている神社じゃ。
あそこがこれからわしとお主の愛の巣になる。


安心せい…妹もじきに招待する。
これからは三人で共に仲良く暮らそうぞ。


ま、妹といえど、
わしらのまぐわいの時間は
邪魔させんがな。


愛すべき妻への種付け、しっかり頼むぞ…
だ・ん・な・さ・ま♡

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレな鬼の巫女に呪われて、夫婦になることを余儀なくされた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎