恋人と喧嘩してしまった貴方。
部屋で泣いていると、隣の家から幼馴染の声が。
貴女は、泣きながら窓を開けます。

百合台本としても使える……と思います。

おーい。

(ガラスに何かがぶつかる音)

おーい！　窓開けてー！
ねー、いま暇ー？
一緒にゲームしよ――
え、何で泣いてんの？
あいや、違うな。
また泣いてんの？
どうせ彼女と喧嘩したんでしょ？
……なんで分かるったってねぇ。
あんたが泣くなんてそれくらいしか見たことないもの。
今日はなんか、いつもより酷くない？
まぁ、とにかく。
そういうことならあたしは引っ込むわ。
思う存分泣き明かしなさい。
じゃ！

……なにその顔。
鏡見てきなよ。凄いおもしろい顔してるよ、今。
その顔はなにゆえに？
慰めはないのかって？
それ毎回言ってくるし、毎回言うんだけどさ。
やだよ、めんどくさい。
そういうのは彼女に頼んでよ。
いや駄目か。毎回彼女と喧嘩して泣いてるんだから。
とにかく他をあたってちょうだい。
あたしは萎んだ心を膨らませるようなトークスキル持ち合わせてないのよ。
……(軽い溜息)
今日はしつこいねぇ？

そもそも凹んでる人間と関わりたくないのよ、あたしは。
だってなに言っても「けどー」とか「でもー」とか言うしさ。
放っておいたら文句言うんでこっちからアクションかけたらなんでもないないとか言うし。
かといって無視してると騒ぎはじめるし。
なにやっても爆発する時限爆弾かっての。
ん？　いや別に、愚痴聞くのはいいのよ。
聞いてあげるだけならね。
返答を求められるとさっきの「けどでも」が始まるから嫌。

で？　あんたはあたしの愚痴を聞いてて慰められる訳？
……イエスなの？　
あ、そう。変なの。
どこら辺があんたにとってプラスなんだろうね。
癒やされるようなこと何一つ言ってないけど。
冷めてる所が逆に安心……ねぇ。
ふーん、そういうもんか。
ていうか、それ褒めてる？
え？　ただの感想だから？　褒めるもなにもない？
うーん、あんたもあんたで冷めてると思うけどな。

……あんたさ。
あたしのことどう思ってる？
ただの幼なじみ？
それ以上でも、以下でも無い感じ？
ん……いや、なんでもない。
あ、なんでもないって言っちゃった。
……(深い溜息)

あのさぁ。
あんたの恋人ってさ。
あたしじゃ駄目？
どういう意味って……そのまんまの意味だよ。
彼女と別れて、あたしと付き合わない？
あたしなら、あんたのこと泣かせたりなんて絶対しない。
それなりの幸せを提供できる自信、あるよ。
また凄い顔してる。
そんなに驚きだった？
あたしがあんたを好きだってこと。

それなりにアプローチしてたんだけどなー。
窓から見えるように着替えたりとか。
え？　そりゃわざとだよ。
なんなら裸見せてもいいよ？
いらない？
あ、そう。
アプローチ方法おかしいって？
まぁ、自覚はあったよ、うん。
でもさー、今更どうすればいいのか分かんなくてさ。
あ、でもって言っちゃった。
(微笑)

まぁ、返事はすぐじゃなくていいからさ。
考えておいてよ――え？
彼女と別れる？
え？　いや、確かに云ったのはあたしだけど、そんな簡単に決めちゃっていいの？
……うん？
「別れる」じゃなくて、「別れてる」？
あ、だからあんなに泣いてた訳？
あぁ……なるほどね。

えーと、じゃあ。
あたしとあんたは今から恋人同士ということでいいのでしょうか。
そっかそっか。
じゃあ、改めて、今後ともよろしくってことで。
あ、ちょっと下がって、そっち行くから。
いいから、行くよ？
よっとぉ……とっとっとっ！
ごめんごめん、つんのめって押し倒しちゃった。
窓から窓へ移動なんて、さすがに始めてだね。
行ける距離だろうなーとは前から思ってたんだよね。
漫画ではたまに見るけど、自分がやるとは思わなかった。
無茶するな？
まぁまぁ、こんなことするのは今回だけだよ。

じゃあ……シよっか。

え？　何をって……ゲームだよ。
ははぁーん、なんかスケベな想像したな？
裸はいらないんじゃなかったんですかー？
(笑い声)
まぁ、そういうコトはそのうちね。
ほら、立って座って、ゲームを起動！

・台本（ゆるボイ！）
冷めた幼馴染と恋仲になる話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
住公子