自分とお隣さん、どちらもストーカーだったというギャグ話。

(チャイム)
こんにちはー。
隣の者でーす。
少しいいですかー？

(ドアを開く)
あ、こんにちは！
突然ごめんなさい。
体調が悪いって聞いて、よかったらご飯を作ってあげようかなと思って。
どうでしょう……？
はい！　それじゃ、お邪魔します。
あ、材料は買ってきてあるので大丈夫です。
台所、お借りしますね！

(鼻歌。是非アドリブで)
え？　あぁ、お礼なんていいですよ。
私がやりたくてやってるだけですし。
むしろ、押しかけてしまって迷惑じゃありませんでした？
大丈夫？　ならよかったです。
来てくれて嬉しい、ですか？
ふふ、どういたしまして。
具合が悪い時に一人でいると心細いですもんね。
でも、思ったより体調良さそうでよかったです。
朝は結構咳してたから心配しました。
とはいえ、油断しちゃだめですからね。
あ、しまった。コンソメの素、買い忘れちゃった。
たしかここ…に……あったあった。
少しお借りしてもいいですか？
え？
どうして場所を知ってるか……ですか？
さ、さぁ、なんででしょう？
あ、ほら、大体この辺かなって思ったら、たまたま正解だっただけで！
いやぁ、今日は勘が冴えてるなー！
……体調が悪いこともなんで知ってるか？
えー、えーと？
誰かに聞いたんですけど、誰だったかなー？
……誰にも言ってない、ですか。
……ふふ、ふふふ。ふふふふふふ。
そうですよねぇ。
昨日の夜から体調を崩して、ずっと寝てたんですもんね。
誰にも話す機会なんてなかったですよねぇ。

さて、それでは問題です。
私はどうやって貴方の体調が悪いのを知ったでしょう？
盗聴器と監視カメラ？
正解！　――へ？
いや、えっと、えぇ？
私があげた、ぬいぐるみの中？
正解ではあるんですけど、あの、もしかしなくてもバレてます？
えええ！？　な、なんで？　どうして！？
見易かったでしょって、どういうことですか？
確かに角に置かれてたから、貴方の部屋は全部見える位置でしたけど……。
まさか、最初から分かっててあそこに置いたんですか？
いったい、どういうことなんです……？
自分の方が先だったから？
ご、ごめんなさい、ますます意味が分からないんですけど……。
私がぬいぐるみをあげた経緯ですか？
あれは貴方からぬいぐるみをもらって、そのお返しという名目で……はっ！
ま、まさか……！
あのぬいぐるみの中にも、盗聴器やカメラが！？
どうしてそんなことを？　犯罪ですよ！？
お前が言うな？
アッハイ、仰る通りです。

えーと……つまり、極めて簡潔に結論だけ言うと。
貴方も私のことが好きだった、ということで。
私達、両想いだということでよろしいのでしょうか。
えへ、えへへ、そっかぁ。
え？　気持ち悪くないのか……？
うーん、正直、引きましたけど。
でも、それだけ私のことを好きでいてくれるってことですもん。
嬉しさの方が勝ちました！
それにしても、色々準備してたんですけど、無駄になっちゃいましたねぇ。
どんな準備かですか？
カメラで見てたのなら、知っているのでは？
あぁ、抱いて寝たりでしょっちゅう場所変わってましたから、見えなかったんですね。
えーと、GPSとか、睡眠薬とか、手錠ですかね。
あとは、その、媚薬とか。
さすがに惚れ薬なんてものは嘘だと思うんですけどね？
催淫効果というんでしょうか。
エッチな気分になってもらって、既成事実を……なんて。
え？　いえ、今日は持ってきてませんよ。
だって、貴方の体調が悪そうだったし。
そんな状態では効くものも効かなそうですしね。
というか、なんか急に元気そうですけど。
体調が悪いのは私を誘い込む演技？
貴方も用意してた？　媚薬をですか？
嵌められたのは私だったってことですか……。
さすがにドン引きです。
……フフ、冗談ですよ。
せっかくですし、試してみますか？

媚薬のこ・う・か♡

・台本（ゆるボイ！）
お隣さんがストーカーだったけど、責める権利は無い話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
住公子