SE：ドタドタと廊下を走る音

SE：勢いよくドアを開ける音

#息を切らせながら

ハァッ…ハァッ…ハァッ…ハァッ…！

じょ、上官殿ッ！

SE：勢いよくドアを閉める音

SE：急いで近寄る足音

#息を整える

ンッ…ハァ…ハァ…ハァ…ッ！

#パニクりながら

軍に潜む間者（かんじゃ）に撃たれたと聞きましたが、真（まこと）でありますか？！

お身体の方は、大丈夫なのでありますか！？

何か、重篤な後遺症などは…ッ？！

#ポカンとした顔で

…へ…？

傷に響くから、静かにしろ…で、ありますか？

#平身低頭で

ッ…も、申し訳ありませぬ！

上官殿が凶弾に倒れたと知り、つい取り乱してしまって…ッ。

#安心したように一息ついて

…ハァ～…しかし、上官殿が無事であることが分かって、何よりであります…。

もし、上官殿が亡くなっておられれば、小生（しょうせい）も殉ずる覚悟でありましたから…。

…冗談でも、そんなことを言うのはやめろ、って…。

#憤慨しながら

な、何をおっしゃるでありますかッ！

小生は、そんな小心者ではありませぬ！

その証拠に…ッ！

SE：刀を抜き放つ音

#真剣な目で

ッ…見ての通り、これは、上官殿から恩賜（おんし）された軍刀であります…。

上官殿から賜（たまわ）って以降、肌身離さず持ち歩いておりますが、無論、ただの飾りではありませぬ…。

この軍刀は、上官殿に刃向かう不届き者を成敗するだけでなく、小生が、上官殿以外の男に辱しめを受け、純潔を汚された時に…。

あるいは、上官殿が黄泉（よみ）へと旅立たれた時、小生もお伴できるように、佩刀（はいとう）しております…。

だからこそ、上官殿には、ただの戯れ言と受け取っていただきたくないのであります…。

小生は、文字通り、上官殿に、全てを捧げているのでありますから…。

#驚愕しながら

…なッ！？

じょ、上官殿？！

何故（なにゆえ）、突然、こめかみを押さえて…！？

やはり、かの裏切り者から受けた傷が、癒えておられるのでありますか？！

#歯を食い縛る

ギリッ…！

#憎悪を込めながら

おのれェ…絶対に、許さないでありますッ！

上官殿に背向くだけに飽き足らず、ここまで苦しめるその悪行…！

たとえ、天が許そうとも、この小生だけは許しはしませぬ！

ッ…上官殿ッ！

彼奴（きゃつ）は、今、どこにいるのでありますか！？

…行方知れず、ですと？

であれば、小生自らが探し出して、その首を刎（は）ねてやるであります！

こうしている間にも、彼奴が逃亡の支度を始めているやもしれないでありますからな…！

#不安そうな上官の顔を見て

…上官殿？

よもや、小生では、力不足と思われておられるのですか？

#一点も曇りのない笑顔で　胸を張りながら

フフッ…ご心配なさらないで下さい、上官殿！

この手の任務は、小生にとっては十八番であります！

つい先日も、酒宴の席で上官殿を誑かそうとした遊女を、秘密裏に処分してやったところでありますからな！

それに、もしもの時は、軍内の怪しい人物を片っ端から拷問にかけて、洗いざらい吐かせてやるので、全く問題はございませぬ！

では、早速、小生は、準備を…ッ。

SE：上官が女兵士の腕を掴む音

#驚いた顔で

…って、上官殿ッ！？

なぜ、引き留めるのでありま…ッ？！

SE：上官が女兵士を抱き寄せる音

#右耳　10cm　小声　顔を真っ赤にしながら

なッ…な、な、な、何をしてるのでありますか、上官殿…！？

小生を、いきなり抱き寄せて、一体…ッ？！

#素っ頓狂な声で

…へ…？

小生を、危険に晒したくない…って…。

し、しかし、今すぐ追いかけねば、彼奴を逃してしまうやもしれませぬが、よろしいのですか…？

#悔しそうに

ッ…分かり、ました…。

上官殿のご命令であれば、小生も従うであります…。

しかし、その代わりに、上官殿にも、約束して欲しいのであります…。

それは…。

#移動しながら

んっ…はぁ…。

#左耳　5cm　囁き

小生に、首輪を嵌めていただきたいのであります…。

といっても、物理的な意味ではございませぬ…。

ただ、小生を、死ぬまで上官殿のお側に置いていただきたいという、それだけの願いであります…。

それさえあれば、小生は、何も望みませぬ…。

名誉も、栄光も、立身出世も…。

#一転、重い口調に変わって

…しかし…。

もし万が一、上官殿が、小生を見捨てるようなことがあれば、その時は…。

#ハイライトの消えた笑みを浮かべながら

フフッ…小生…何をしでかすか、自分自身でも分からぬでありますから…な…。

フフフ…フフフフ…。

・台本（ゆるボイ！）
狂犬系ヤンデレ後輩女兵士に首輪を嵌めさせられる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
平 朝臣