貴方は後輩である彼女と付き合っていた…が、彼女のあまりに身勝手な言い分に耐えきれず、彼女と無理やり別れる。数年後、なぜか貴方の居場所を特定した彼女が直接会いに来て…？

ちょっとせんぱ〜い…わたしへのお小遣い、なんか減ってません？


いやいや、絶対減ってますって。いつもちゃんと数えてますもん。


これじゃ、今度友達と遊びに行く時に足りないじゃないですか〜…


はぁ？先輩のくせにわたしに口ごたえするんですか？


ていうか、あんまり調子に乗らないでください。先輩の社会的ステータスは誰のおかげで保たれてると思ってんです？


そうです。わたしというルックスがイケてる彼女がいるからこそ、先輩は外で一人前の男としてやってけるんですよ？そこんとこ、ちゃんと理解してください。


わかりました？分かったならちゃんと返事。できますよね？


…はっ、はぁっ？先輩、いきなり何言って…


あっ、ちょ…！いきなりキレ散らかさないでくださいよ！近所迷惑じゃないですか！


へっ…？あ、今日遊びに行く友達ですか？一応、男ですけどそれが？


浮気じゃないですって！男でも彼氏じゃなくて友達！友達と出かけるくらい、普通ですよね⁉︎


異性だったら許されないとかそういう決まりでもあるんですか⁉︎


はぁっ⁉︎ なんでそこで別れるって話になるんですか！脈絡なさすぎて、意味不明です！ちゃんと説明しt…


(後輩の言葉を待たず、男が出て行く)


な、何なんですか、あの人…いきなりキレ出して…ホント意味わかんない…


…ま、そのうち帰ってくるでしょ。帰ってくる、はず…うん…


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〜数年後〜


あ、あの、先輩…おひさしぶり、です…


あ、待って…！少しだけ話を…！


その…昔はすみませんでした！わたし、先輩にいっぱい酷いことを…！


そのことを謝りたくてこれまで何度も携帯に連絡したのに…先輩ってば全然応じてくれないじゃないですか…


こ、これでも本気で反省してるんですよ…？先輩はわたしのATMじゃないですもんね…わかってます。


えっ…？わかってないって、何が…？


あっ、あっ…！そ、それは誤解です！


あれは本当にただの男友達で、それ以上でもそれ以下でもありません！


わたしにとっての恋人は、先輩ただ一人ですから…だからもう一度わたしと…


やっ、やだぁっ！待ってください！


わたしもう、先輩と別れたくない！待ってよぉ！


(立ち去ろうとする男の後ろからしがみつく)


嫌です…！離しません…！


もう一度ちゃんとお話ししましょう？ねっ？


わたしたち、あんなに愛し合ってたじゃないですか…もう一度話せばきっと…！


(無理やり突き飛ばされる)


きゃっ！せ、先輩…！なんで…⁉︎


…う、嘘ですよね…？愛想が尽きたとか冷めたとか、先輩がわたしを拒否するようなこと言うわけありませんよね…？


いっ、いやっ！聞きたくない！わたしだけの先輩が、そんな酷いこと言うはずない！嘘、嘘！


やだぁ…置いてかないで…先輩…


(男が立ち去る)


あはっ…あはははは…


なん、で…なんでこんなことに…？


わたしの何が悪かったってんですか…先輩…


…？これ、先輩の落とし物…？


……ふふっ、あははっ！


なーんだ…そういうことかぁ。


優しい先輩が本心であんなこと言うはずないもんね。


許さない…わたしの先輩を誑かしたこの女…地獄の底まで突き落としてやる…！


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〜数ヶ月後〜


(発信)


もしもし？これ、先輩の番号で合ってますかぁ？


ふふっ、よかった。先輩、知らないうちに番号変えててビックリしました。


あっ、はい。番号は先輩のご家族から教えてもらいまして…


…改めてお久しぶりです、先輩。何ヶ月ぶりかぐらいですかね？


え？あぁ、それはですね…先輩がわたしに会いに来てくれたら、教えてあげてもいいですよ？


…いいんですか？そんなこと言って…


先輩の大事な女が、どうにかなっちゃうかもしれませんよ？


ふふっ、やっと話を聞く気になりました？


いえ。細かいことは、直接会って話しましょう。


とりあえずメールにわたしの位置情報送るんで、そこに来てください。


今から三時間以内に来なかったら…彼女さんの命は保証しませんよ？


あ、あと警察にも連絡したらダメです。先輩が連絡したとこちらが分かった時点で、彼女さんの命は無いと思ってください。


先輩と会えるの、楽しみに待ってますから。それじゃ、またあとで。


(電話を切る)


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あ〜、やっと来てくれましたか。先輩…


時間、ギリギリでしたね。チョー危ないところでしたね？


まぁ落ち着いてください…彼女さんなら、そこにいますから。ほら。


あ〜、そうですね。見ての通り、今にも飛び降りちゃいそう。


えぇ…この高さから飛び降りたら、命の保証はできかねますね。


怒らないでくださいよ。元はと言えば先輩が…いいえ、先輩を誑かしたこの女が悪いんですから。


はい。このプリクラ…前に最後に会った日に、先輩がポケットから落としてったものです。


まさか先輩が、わたしから他の女に乗り換えるとは思いませんでした…ショックすぎて、一週間は喉に食事が通りませんでしたよ。


ですから考えたんです。先輩にみっともなく媚を売った女をどう処してやろうかと…


どうせなら、先輩の前で薄汚い姿を晒してやろうと思いまして。


精神的に徹底的に追い詰めて、自殺まで仄めかして…「貴女がいなくなったら、彼は幸せになれるよ」って耳元で優しく囁いて…


いえいえ。今どき個人の住所を特定するなんて、余裕です。


はい。先輩とコイツがイチャコラしてるところを尾けただけですから。


デートのあとは必ずお家に帰るでしょう？その時に…ね？


呼びかけても無駄ですよ…先輩の声なんてこれっぽっちも届かない。そういうふうに躾けてありますから。


さ、先輩？わたしと寄りを戻すというなら、この女の命だけは助けてあげます。


ただし…このあいだみたいに、わたしに一言でも否定的な言葉を吐こうものなら、すぐさまこの女をここから飛び降りさせます。


ねぇ…早く決めてくださいよ。わたし、あまり気が長い方じゃないんですから。


この女の命を救うか諦めるか…たったそれだけの話でしょう？


…存外、賢いんですね。さっきはあんなに取り乱してたのに。


ま、わたしとしては願ったり叶ったりですけど…


おいで？先輩の方からわたしをギューって、してください。


…まさか今さらできないとか言いませんよね？


あの女の命はわたしが握っているということをお忘れなく。さ、早く。


(抱きしめられる)


ふふっ…先輩の方から抱いてくれた。嬉しい…


仲直りのキスもして？せーんぱい…


(キスされる)


ありがとうございます…これでもうあの女は用済みですね。


(男から身体を離して、女に呼びかける)


おーい、もういいよー。人質役、お疲れ〜。


あ〜、ごめんって〜。だってアンタが一番適任っていうか、先輩の元カノと顔の造形近かったからさー。


はいはーい。今度のケーキバイキングのお金は全部あたし持ちでいいからー。


うん、マジで助かった。協力ありがと〜。あとはあたしと先輩のイチャイチャタイムだから。


うん、バイバーイ。帰り、気をつけてねー。


(女友達が立ち去る)


ん？先輩、どうかしました？


あはは…騙したなんて人聞きの悪い。


先輩と寄りを戻すために、ちょっと友達に協力してもらっただけじゃないですか。


大体、ストーキングして家を特定して、洗脳するなんて…そんな超人的なこと、善良な一般市民のわたしができるわけないじゃないですか。


ちょっと考えれば分かるはずなのに…先輩ってば、よっぽど取り乱してたんですね〜。そんなにあの女が大事ですかぁ？


あ、ダメですよ。もう仲直りのキスまでしたんですから…今日から先輩の彼女はわたしです♡


…いいんですか？先輩ともあろう者が、可愛い後輩との約束破って…


あ、ちなみに…先輩の『元カノ』の家を特定したってのは嘘じゃないですよ？


はい。リア凸、いつでも仕掛けようと思えば仕掛けられますし…それでも構わないのであれば、どうぞご自由に？


わたし、先輩のこと諦めるつもりありませんから…それだけはきちんと覚えておいてくださいね？


さっ、帰りましょうか。先輩、手貸して？


(手を握る)


ふふっ…久しぶりの先輩の手、あったかいですね。


わたし、あれからちゃんと反省しましたから。


二度と先輩を財布扱いしたりしないし、男友達とも遊びに行きません。


それから…先輩が欲求不満になったら、いつでも応じてあげますから。


先輩のこと、一生大事にしますんで…これから改めてよろしくお願いしますね？

・台本（ゆるボイ！）
クズな後輩元カノの闇堕ちと人質作戦
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎