地下アイドルだが本当に人気のない俺だが、唯一俺のことを現地で推してくれる女性がいた。
その子を俺はみるみる内に好きになってしまった。
我ながらちょろいとは思うが、勇気を出して握手会で連絡先を渡して、デートすることにした。
目的は、自分の想いを告白するために。

【】：状況
（）：声色 or SE

【2人でデートした後】
（2人で歩く音）

いやぁ、なんというか。ホント、びっくりしました！
まさかあなたが私ごときに連絡先を渡すなんて、何かの間違い、と思いましたけど。
両親のプレゼントに女性の意見を聞きたい、ですか。納得しました！

拙者はあなた様を追っかけするしがないオタク。
握手会という機会がなければ、アイドルのあなたとは会話することすらはばかれるというのに。
こうして誘っていただいて、本当に嬉しかったです。
まるで夢小説の主人公みたいなことしてますなぁ！　あはは！
いや、私は文才がいないから書いたことはないんですけどね！　ははは！！

でもびっくりしたのは本当ですよ？
私はいわゆるドルオタ。かたやあなたはアイドル。
例え本人同士は関係性が分かっているものの、傍から見たら、その……。
お、おこがましいことに、デートみたい、ですから。

あ！　いえいえ、私はそんなに美少女でも美人でもないですし、あなたと釣り合うなんて思ってませんが！
こういうのは男女2人という事実があれば、いくらでも捏造できてしまいます。
ですから、このようなことはこれっきりにして、私はそっと観客席に戻りますので。

【告白の聴き手】

はえっ？！　わ、わわわ、私のことが、好きぃぃぃ？！
な、なんでですか？！　わ、私ごときが推し神様に認知されることですらおこがましいのに！

【理由の聴き手】

……。ま、まぁ、確かに。いつもあなたは一般的にはそんなに人気がないっていうか。
私ぐらいしか推してる人がいないぐらいですけども……。
で、でもですよ！　私の推しが幸せになって欲しいっていう好きと、あなたの……。その……。
恋愛的な好きは、ちょっと違うっていうか……。

か、解釈違いなんです！　解釈違い！！
私があなた様の隣りにいるのだなんて、解釈違いなんですぅぅぅぅ！！！！
都合のいい夢っていうか、出来の悪い夢小説みたいで変だし……っ！

うぅ、そ、それは。勘違いなんですよ。
あなたはちょっとちょろいだけというか……。
私よりももっとすごい素敵な人がいるはずだから、私と付き合うとか、そういうのは……。

【読み手に幸せにして欲しい】

わ、私に幸せにしてほしい、とか。
う、うぅ……。ありえない。ありえないけど……。

ちょっと嬉しい自分がいるのがムカつくっていうか……（小声）

あーーーーーもう！
私、どうしたらいいんでしょうか？
私はあくまで推しに幸せになって欲しいのに、推しは私に幸せにしてほしいし。
解釈違い。違いなんだけどぉぉぉぉ。ぐぉおおおおおおお！！！

【提案の聴き手】

一旦保留にして、これから口説き落とす？
…………。

口説き落とす？！！！！！（驚愕）

推しに口説かれる。どんな幸せだそれ？！
いやいや、でも解釈がぁ～～～～！！
でも、ちょっと期待しちゃうっていうか……。

【口説く聴き手】

ひゃうぃ！
う、いあ、あの。その……。
……うぅ、好きぃ……。

あ、いや今のは推しが尊いことして好きってことで！
違うんです、本当に！
好きの方向性の違いだから、ノーカン！　ノーカンですからね！！！

・台本（ゆるボイ！）
女オタクが推しに告白されて、解釈違いだけど気が狂いそうなほど嬉しい！
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス