放課後の夕暮れ時。
太陽が沈みそうな時間に彼女はいる。
まるでそこだけ時間が止まったかのように、それでも時計の針とページを捲る音は図書室に響く。
静かでのんびりできそうな場所を探していた自分にとっては、彼女と過ごす時間も悪くないだろう。

【】：状況
（）：声色 or SE

【読み手が静かに本を読んでいる】
（ページを捲る音）
（歩く音）

……ん？
あっ、あぁ……。あなたでしたか。
図書室に来る生徒なんてあまりいないので、てっきり誰かと思いまして……。
今日は本を借りに来たんですか？
それとも勉強とか……。

【静かなところでのんびりしたくて】

あー、確かに。
ここなら騒ぐ人もいないですし。
そもそも人もそれほどいないので、静かにのんびりできますね。

……。えっと、隣にどうぞ。
多分、今日は誰も来ないと思いますし……。

【疑問の聴き手】

あっ！　いえ、特に理由はないんですけどもっ！
……その、私はどちらかというと寡黙な方ですし、
慣れた人がいた方が話し相手ぐらいにはなれると思ったので。（尻すぼみに）

お邪魔でしたら、別の席もありますし。
無理に私の席に座らなくても、いいのかなぁー、とか思ったり……で……。

【隣に座る】
（椅子に座る音）

あ、ありがとうございます。気遣ってくださって……。
はぁ、ホント。人慣れしてなくて……、すみません。

今まで本と文章だけが友達みたいな生活をしてたから。
あなたみたいに私のことを気にかけてくれる人は珍しいので、ちょっと戸惑ってます……。

【大丈夫だよと、安心させる聴き手】

あ、ありがとう、ございます……。すみません。
私も、少しは周りの人と仲良くした方がいいと思うのですが、これがなかなかできなくて。

（ページを捲る音）

本はとてもいいです。私が介在することなく、傍観者としてずっと他人を見れるから。
気楽だと思いませんか？　難しいことを考えずに、物語に没頭できることが。
そうして楽な道ばっかり進んでたら……。
あはは、人との接し方が分からなくなってしまったんですけどね。

あっ……。すみません、勝手に身の上話なんてしてしまって。
迷惑、でしたよね……？

【否定の聴き手】【信頼されていると嬉しい的聴き手】

あ、あはは、ありがとうございます……。

こんな話するつもりはなかったんだけどなぁ……（小声）

【しばらく沈黙（3秒ぐらい）】

あっ！　そうだ！
いま読んでる小説！　面白いんです！
俗に言うライトノベルなのですが、主人公たちの心の内側がすごく共感できて！
特にこのお相手の方が好きで！
1人や孤独が好きだっていうのに、その実、人のぬくもりを忘れられずにいて……。

かわいいなぁ、というか……。ちょっとだけあなたみたいに見えて……。

……はっ！（意味を理解する）

ち、違いますからね！
あなたが陰キャメンヘラとか、そういう話ではなく！
ただ、私も……。同じようなものですから、あなたにも共感してもらえるかなって。
だ、だから……。こ、この本。お貸しします。

すごく面白いので！
私はもう4巻目まで行ってるので！！
だから、お、お貸ししますのでっ！

……読んでくださると、嬉しいです。

【微笑みの聴き手】

……すみません、ちょっと調子に乗りました。
で、でもっ！　面白いですから、ぜひ！

【読むよの聴き手】

っ！（パーッと笑顔になるイメージ）
ありがとうございますっ！
じゃ、じゃあ！　読んだ後は、感想会でもしましょう！
どうせここには誰も来ませんし！　いつものように、静かで落ち着ける場所ですから！

……ここに、来てくださったら、嬉しいです。
なんて、えへへ……っ！

・台本（ゆるボイ！）
文学系陰キャ女子だって、片思いの相手の気を引きたい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス